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間違うのが怖くて、一歩前に出られない人に読んでもらいたい絵本『教室はまちがうところだ』をご紹介します。

絵本紹介士のkokoroです。 “絵本紹介士”とはその字の通り、絵本を紹介する活動をしています。
幼い頃から読書が好きで、大学は児童文学科で学びました。またここに至るまで、挫折を経て心のことに関心を寄せ続けてきました。
ある時から絵本の楽しさに改めて気づき、多くの絵本を読んできました。
絵本は子どもが読むもの、と思われがちですが、大人の心にこそ響きます。
楽しくなり、癒され、深く心が動き、考えさせられる。
そんな風に心惹きつけられた絵本を1冊ずつ紹介しています。
実際にその絵本を手に取って頂き、思いを共有してもらえたら、こんな嬉しいことはありません。


今日の絵本は『教室はまちがうところだ』蒔田晋治・作 長谷川知子・絵 子どもの未来社
です。

1・この絵本のあらすじ

あなたは間違うことは怖いですか?
間違うことが比較的平気と思う人もいるかもしれませんが、たいていの人は嫌だと思うと思います。

それはその場の空気が間違っても「いいよ、いいよ、大丈夫、」と言ってくれるところか、「何?間違った?!」と叱られるかにもよるでしょう。

この絵本の教室は間違えても大丈夫だと言ってくれています。
そんな場所だったら間違えることも怖くなく、どんどん発言できますね。

この絵本は詩のスタイルになっていて、

教室はまちがうところだ
みんなどしどし手をあげて
まちがった意見を言おうじゃないか

『教室はまちがうところだ』蒔田晋治・作 長谷川知子・絵 子どもの未来社 より引用

からはじまります。

いきなり元気づけてくれるはじまりです。
間違ってはいけないと手をあげるのが怖いのはいけない、
先生だけが話す教室ではいけない

神様だってまちがうのだ、

勇気を出して発言していくうちに正しい答えも出せる

安心して手をあげろ
安心してまちがえや

『教室はまちがうところだ』蒔田晋治・作 長谷川知子・絵 子どもの未来社 より引用


そして、言う本人の方も何を言われたって自分の意見をしっかり持つことの大切さも教えてくれています。

2・この絵本が伝えたいことは「間違うこと」を許しあう場づくり

この絵本の舞台は教室になっていて、先生と生徒がいます。
この「間違うことが許される」場所はまずは先生がそう思って場づくりをしないと成立しません。なので、まず先生の思いありきです。そのうえで、このような教室があると素晴らしいです。

また家庭だって一緒です。子どもは特に経験が少ないので間違うことも多い。大人だって間違う。それを笑って許しあえる家庭だと、皆安心できる。もっといろんなことに挑戦して、がんばろうと思える。親がそんな風に意識している家庭っていいなと思います。

これを職場にすると、どうでしょうか。
もちろん、学校と職場とは違うし、職場は間違いやミスが大変なことになる場合もあり、いちがいに間違いをなんでも許す場を作るというのは違うかもしれません。

でも、例えばアイデアや企画を出す場で、その場ではストレートにはまるものでなくとも、そこに生かせるものがないかどうか考えるとか、そういう新しい発想をすることを認める、とか、誰もが自由に発言できる場を作るということは大切なのではないでしょうか。

言い換えれば、本当の答えなんてやってみなければわからないのであって、「間違い」も「正解」も結果を見なければわからないのです。いえ一見結果が「間違い」となったとしても、何かしらそこで得た学びが次に繋がっていくので「間違い」なんてないのかもしれません。


3・この絵本から惹かれたのは自分を持つことの大切さを教えてくれていること

1・あらすじでもお伝えしましたが、この絵本では自分の意志をしっかり持つことの大切さ、自分の感覚を受け入れることの大切さも教えてくれています。

間違っていたとしてもそう思うのだから仕方ないと。
それも生きていくのに大切なことだと思います。
いつも一緒にいるのは自分、一生一緒にいるのは自分。

その自分の思ったこと、言うことがたとえ一般的には間違っていると思われたとしても、そう感じる根拠や感性があったはず。それを考えて言うことは素晴らしいことなので、そう感じたことは否定せず、自分の感じ方・考えを受け入れることが自己肯定につながります。

何かを発信したということ、何かに挑戦したということ、そのことだけは褒めてほしいなと思います。

そのことをも教えてくれています。


3・このような教室があったなら素晴らしい

本当に現実にこのような教室があったらいいな、と私も思いました。
なかなか私も子どもの頃、発言できなかったので。
でも、子どもはどんな子でも本当は好奇心旺盛。だからなんでも自由に発言できるような空気なら、どんどん発言して間違ったとしても、何を間違ったか教えてもらってまた自分で考えて発言したり、行動していけると、大人になったとき、自分の意志やアイデアをたくさん持てて、それを世の中に発信できる人になれ、生き生きと人生を楽しく生きていけるようになっていくことでしょう。

3・まとめ

この絵本を読むと間違うのが怖いと思っている人がほっとラクになり、元気になります。
それぞれが自分の意見を堂々を言えて、それを温かく受け入れる場を持っていると、人は安心でき、そして成長していけます。

それをこの絵本ののびのびした味のある絵、そして手書きの詩、それがすごく自由で力強く、楽しくて読んでいる人にストレートに響きます。

間違うのが怖いと思っている人、ぜひ読んでみてください。




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