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4回転を飛んでも勝てない

 こんばんは。
 だいぶ前の話になってしまいますし、ウクライナ侵攻の進む中では、かなり空気の読めない記事なのかもしれませんが、なんとなく私の中に残ってるので、記事にしてみようかなと思います。

 今日は、私の大好きな、フィギュアスケートのお話。

アレクサンドラ・トゥルソワ

 北京オリンピックで、フィギュア女子の銀メダリストに輝いた、ロシアの選手です。
 女子フィギュア史上前代未聞の4回転を5本という、男子でもしんどい構成かつ高難度のプログラムで挑んだ彼女は、同じくロシアのアンナ・シェルバコワに敗れ、金メダルを逃しました。オリンピックでは、試合後に点数を見て取り乱したトゥルソワが、「もう二度とスケートなんかしない!」と泣き叫んでいた様子が、中継などに映り込んでいたことで、物議を醸したこともありました。

 そんな彼女についてのニュースで一つ、彼女の方向性について物申しているものがありました。「4回転を全種類飛びたいのか、大会で優勝したいのか、どちらかを決めるべきだ」というものです。

4回転を飛んで勝てたら、幸運なこと

 確かに、点数の高い4回転ジャンプですが、完成度の低い4回転と、完成度の高い3回転ならば、後者の方が点数につながります。4回転を飛んでも、回転不足だったり、転んでしまったりで点数を落としてしまったら、4回転をとんでも3回転と同じ基礎点になってしまったり、3回転より低い点数になってしまったりします。

 日本の坂本かおりは、確実な構成で点数を取っていく代表でした。対照的とも言えます。4回転ジャンプはもちろん、トリプルアクセル(3回転半)さえも入れない凡庸な構成に、厳しい批判を受けたことありました。
 私は、見ていて引き込まれる表現力や、身体を大きく使ったステップ、ダイナミックなジャンプは、彼女の努力の結晶だと思いますし、最近ではありふれてきた4回転よりも個性的なもののように感じています。坂本選手、大好きです。

 まあ、フィギュアの採点方式には、色々とあるわけです。
 難しい技を沢山やったからといって、優勝できるとは限りません。逆に、難しい技にチャレンジしなくとも、十分に戦う方法はあります。

 トゥルソワ選手は、誰よりもたくさんの4回転を飛び、誰よりも高難度のプログラムにチャレンジしていました。彼女自身は、「4回転を5本飛べば勝てると思っていた」ようですが、シニア以降、彼女は主要な大会で優勝を逃し続けています。
 これが結果で、現実なわけです。

 4回転をたくさん飛ぶことは、勝利のための方法の一つではありますが、勝利を約束するものはありません。確実な4回転を5本全てで飛べるのならば話は変わってきますが、とても難しいと思います。

 ニュース記事では、「4回転を飛んで勝てたら、それは幸運なことだ」とさえコメントされていました。そういう世界なのでしょう。

”勝つため”の努力

 しかし、考えてみればとても自然なことで。

 少なくとも私は、彼女が『4回転を飛ぶこと』を重視していたように思います。その目標のために努力をすれば、4回転は飛べるようになるでしょう。
 副産物として『優勝』が付いてくるか、来ないか。
 あくまでも『優勝』は、『4回転を飛ぶ』という目標に対しては、副産物でしかないわけです。

 では、何の努力をすべきなのか。
 それはもちろん、『優勝』するための努力でしょう。

 構成点と呼ばれる項目が5つある(今シーズンからはルールの改正で3項目になりました)のですが、北京の結果を見ると、トゥルソワ選手のものは他のメダリストと比較して若干低いんですよね。もしも、構成点がシェルバコワ選手と同程度だったら、優勝できていたかもしれません。
 あるいは、彼女はショートで一度転倒しています。確か、冒頭のトリプルアクセルだったと思います。もしも、確実なトリプルアクセルを決めることができていれば、優勝していたと思います。

 ショートをダブルアクセルにして、SP・FSともに完成度をもう少し高めるのも、有効な戦略だったかもしれない?

 何はともあれ。
 私が勝手に考える、彼女にとっての『勝つための努力』は、構成点を上げることや、確実なジャンプを決めることなのかなぁと。

彼女らしくて好き

 しかし私は、別に、彼女が優勝しなくてもいいと思います。
 私は彼女のファンの一人ですが、大会で成績を残す彼女が好きでファンをやっているわけではありません。

 難しいプログラムに果敢に挑もうとする彼女が好きだし、新しいことに臆さない彼女が好きです。
 彼女のやることなら、なんでも応援したいなって思います。

 もしも、構成点を上げるための技術を磨いて、その代わり4回転の本数は減ったとしても、それはそれで見てみたい彼女の姿です。
 今まで通り、沢山の4回転を飛んでいる彼女も、見ていたいですね。
 4回転飛んで、構成点も高くてという彼女も、確かに興味はありますけれども、期待しようとは思いませんね。途方もなく難しいことだと思いますから。
 年をとって身体の変化もあるでしょうし、北京で一度銀メダルにまで輝けば、今までほどのモチベーションを維持するのは難しいのかも。あるいは全然別の要因で、これからは点数が下がる一方かもしれません。そうなったとしても、ずっと応援はしていたいです。

 何にせよ、応援し続けていたいですね。
 我を貫く気の強い女性、少しだけ憧れます。


 それでは今日はこの辺で。
 また来週。

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