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洋画日本語タイトル「幸せ・しあわせ」の効用

2020年8月28日にまた「幸せ」という言葉を日本語タイトルに使った洋画が公開されます。『幸せへのまわり道』です。

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オリジナルのタイトルは A BEAUTIFUL DAY IN THE NEIGHBORHOOD(訳:ご近所さんの麗しき1日)です。この邦題、映画の内容を説明しているというわけではありません、映画はどちらかというと「幸せへの近道」的なお話です。だからこのタイトルは配給会社が考えた雰囲気訳ですね。

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「幸せへの...」というと『幸せへのキセキ』もかなりの雰囲気訳です。オリジナルのタイトルは WE BOUGHT A ZOO(訳:私たちは動物園を買いました)ですから。内容的には確かに幸福追求の物語ですが、どの映画もハッピーエンドの映画は「幸せへのキセキ」映画ですよね。

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副題に「幸せへの第二章」と付けたのは『マリーゴールドホテル』の続編、オリジナルタイトルは THE SECOND BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL(2番目に素晴らしいエキゾチックなマリーゴールドホテル)で終活する男女を巡るお話なのでまあいいでしょう。

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「幸せなXX」という形容詞的な使われ方も多く、これもその典型です。英語タイトルは BRITT-MARIE WAS HERE(訳:ブリット=マリーはここにいました)。シンプルな状況説明の原題が、お節介な日本語タイトルの説明によりネタバレしてる例です。

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「しあわせ」と平仮名にするとより雰囲気訳の印象が増します。まあ、流石にMAUDIE(主人公の苗字)だけのオリジナルタイトルで何の映画かわからないので内容を説明するタイトルを付けたくなるのはわかります。「しあわせ」は便利な言葉ですね。

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「隠れ場所」まで「しあわせ」にされてしまいました。THE BLIND SIDE(訳:見えていない側面)という含みのあるタイトルのニュアンスが吹き飛んでいます。

このように観客の「しあわせ」願望を利用した日本語タイトルにはあまり感心はしません。オリジナルタイトルを知る事で見えてくるパースペクティヴもあります。


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