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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2023年1月13日劇場公開)

本国ポスターのキャッチフレーズは、"Will you go on the record?" つまり「あなたの名前を出してもいいか?」そして映画もそれがテーマです。

ニューヨーク・タイムズ紙の記者、ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターが報道したスクープ記事を元にした原作本「その名を暴け─#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い─』(新潮社)はもう文庫になっているので読んでいる人も多いと思います。

この映画で興味深いのは、既に多くの人が知っているであろうハーヴェイ・ワインスタインの悪行をどのように客観的な情報に基づいて記事にするのかというところ。立派なお仕事映画になっているんです。その様子がとてもスリリングです。

キャリー・マリガンとゾーイ・カザン

記事にできるかできないかの肝は、証言者の氏名公開なんです。ことがことですから、どの女性も自らの恥を世間に晒したくはないのです。だから記者達も決して無理強いはしません。ただ心変わりをしたら連絡してねとちゃんと連絡先を残すところなどよく描けています。しかも記事の最終段階ではワインスタイン本人に確認(または何らかのコメント)を取る必要がありますから、その場面はラスボス対決感もあり手に汗握りました。

とにかく、ニューヨーク・タイムズの社風でしょうか、風通しがよく上司達が部下の記者達にのびのびと仕事をさせるんです。その信頼ぶりを見ているだけでも勇気づけられます。

2023年1月から早くも良質な映画が公開されます。扱われている出来事は本当にいたたまれないですが、この記者達と被害者達の行動動機が救いです。

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