noteサムネ0815-6

私の好きなフレーバーテキスト


ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。

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フレーバーテキストが1番好きなカードはなんですか?
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今回はこれについて回答をしていこうと思う。

「ほーら ――― 夜食にぴったり。」


面白いもので言えば、このフレーバーテキスト、
《無惨の饗宴/Grim Feast》
が結構好き。

ほとんどの人がカードの効果を言えないマイナーなカード。

《Grim Feast/無惨の饗宴》
コスト:1黒緑
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、無惨の饗宴はあなたに1点のダメージを与える。
クリーチャーが戦場から対戦相手の墓地に置かれるたび、あなたはそのタフネスに等しい点数のライフを得る。
レア

効果はアップキープは飢餓状態で1点ダメージ。
獲物があると(画像だと人だが)パーティタイム。

フレーバーテキストは、
「ほーら ――― 夜食にぴったり。」
という、効果とイラストからホラー感とジョークが一体となっているもの。

ミラージュのレアにして、
「どうしてこれレアにしたの?」
とカードデザイナーに100回は言いたくなる程のガッカリカード。

カードテキストを読んだだけで大半の人が、
「このカードをデッキに入れたい。」
などとは考えない。

3マナ払って自分のアップキープに1点ダメージ。
対戦相手の生物が死んだらタフネス分のライフをもらえる。
・・・相手に生物がいない場合はただの自殺装置で、
単体では何もする事が出来ない置物。

ナニコレ。

それが3マナ?

1マナでも使うかどうか怪しいのに3マナ?

ゲームバランスって知ってる?
ゲームバランスって知ってる?
ゲームバランスって知ってる?

時代もカードも違うけれども、
1黒緑という同じコストで、
同じエンチャントの《破滅的な行為/Pernicious Deed》が、

《Pernicious Deed/破滅的な行為》
コスト:1黒緑
エンチャント
(X),破滅的な行為を生け贄に捧げる:点数で見たマナ・コストがX以下の、
すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーとすべてのエンチャントを破壊する。
レア

この効果。
100人が100人こっち使うよ。

誰?
《無惨の饗宴》考えた人、誰?
脳みそに何が湧いたらこんなカード作れるの?
この時代にミラージュ開封してこのレア引いた人の気持ちわかる?
フレーバーテキスト以外何も面白くない産業廃棄物だよ、これ。
紙なんだよ、紙。
わかる?
紙の原料があるんだよ。資源の無駄遣いなんだよ。
ミラージュの次のエキスパンションのヴィジョンズで、
《資源の浪費/Squandered Resources》という名前のカード作っているけど、
まさにそれだよ。

わかってて作ったんじゃない?《資源の浪費》
同じ黒緑のエンチャントだし。
《資源の浪費》は強いカードだったよ。

トーナメントカードにもなったよ。

この《資源の浪費》は全然資源の無駄遣いにならなかったよ。
でも、《無惨の饗宴》はひどいよ。
無惨だよ。
全然饗宴出来ないよ。

ちょっと、
フレーバーテキストの話題なのに、
ひたすらこのカードを酷評するだけの話になってるよ、どうするのこれ。
これ、なんにもオチ思いつかないよ。

うん、やめよう、このカードの話。
フレーバーテキスト面白いねで終わりにすべきだったね。

あのね、店主ね、
マジック始めた頃にミラージュのパック買ってね、
このカード引いてね、
レアなんだから何か使い道があるんだろうって真剣に考えたの。
で、
「レアだから強いというわけではない。」
という結論に自力で至るまでに結構時間かかったわけ。

「レアだから強いんだろ?」

と結構な時間思ってたわけ。
だからね、このカードのデザイナーに言いたいんだ。

「俺の時間返せええええええええええ!!!!!!」

って。
さて、そろそろ本題へ・・・。

歴史好きな店主が選ぶお気に入りフレーバーテキスト


《セラの天使/Serra Angel》も捨てがたいけれども、
歴史好きな自分としてはこのフレーバーテキストが一番。

《Jester's Cap/道化の帽子》
コスト:4
アーティファクト
(2),(T),道化の帽子を生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とする。
あなたはそのプレイヤーのライブラリーからカードを3枚探し、それらを追放する。
そのプレイヤーは、自分のライブラリーを切り直す。
レア


フレーバーテキストは、
「敵の弱みだけでなく、強みも調べることだ。
 ――― ソルデヴィの機械魔術師、アーカム・ダグスン」

英語では、
「Know your foes strengths as well as their weaknesses.
 ――― Arcum Dagsson,Soldevi Machinist」

日本人に馴染みのある言葉に置き換えるならば、
孫子の兵法にある、

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

が近い。

《道化の帽子》の能力もまさにそれを体現していて、
このカードはとてもとても気に入っている。

ヴィンテージの茶単にメインから投入する事も多々あるのだが、
状況を選ぶとはいえ強い。
ヴィンテージの世界では勝ち手段が3つくらいしかないデッキがある。
その3つはどれも1枚ずつしか採用していない場合、
その3枚を《道化の帽子》で追放してしまえば負けない。
対戦相手次第では《道化の帽子》を起動した途端に投了する。
(こちらにライブラリの中を見られないため。)

逆に勝ち手段がクリーチャーメインの相手ではあまり役に立たないが、
その場合はサイドアウト要員としてわかりやすくデッキから抜ける。
ヴィンテージをやって長いが、
《道化の帽子》をメインに入れている人は自分以外にほぼ見ないけれども、
《道化の帽子》起動→対戦相手が投了は何度も見てきた。

以前にフランスで1戦目で《道化の帽子》を1ターン目に置いたら、
「それ、メインに入ってるの?」
と言われた。
その日だけでも3人に言われた。
余程想像外のカードなのだろう。
そういえばこの時も、
《道化の帽子》を起動した途端に投了された。

この経験からも言える事だが、
「敵の弱みだけでなく、強みも調べることだ。」
のフレーバーテキストは、
「敵のデッキの強み(勝ち手段)を調べ、
 それさえ潰せば負けない。」
という事を非常にわかりやすく表現している。

このカードはゲームバランスを崩壊させるほどの強さではないが、
《外科的摘出/Surgical Extraction》などの対戦相手のライブラリを見られるカードと同じで、情報量もアドバンテージの1つになるカードだ。
《外科的摘出》の場合は単一のカードを完全に潰せるが、《道化の帽子》は3種を選べるところに強さがある。

レガシーではだいたいのメインを張るカード達が4枚積みな上に、ある程度はクリーチャーで殴ってくるデッキが存在しているので、《道化の帽子》はそれほど活躍の場を持てないのだが、ヴィンテージはそうではない。
クリーチャーが3体以下のデッキだったりする事もある。

そして、ヴィンテージは他のルールとは違って、
「1枚制限カード」が存在する。
これにより60枚のデッキのカードの種類が、40種を超える事もある。
そうなるとその40種から3種をピンポイントで追放される事で、全くデッキが機能しなくなる事がある。

仮にデッキの勝ちパターンが5種だったとしても、
その中から最も強い、脅威である3種を潰し、
残り2種に現状からどう対策するかを考えれられるのだから、
これを弱いとは言わない。
それに《道化の帽子》の2枚目を引いたら、
残った勝ち手段も潰せる。

ここ数年の経験の中では
《ドルイドの誓い/Oath of Druids》デッキから
・《グリセルブランド/Griselbrand》
・《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》
・《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
の3枚を抜いたら対戦相手が投了した事もあった。
その時の対戦相手のライブラリにはこの3枚しか勝ち手段は無かった。
もちろん自分が使っていたデッキは茶単(MUD)なので、
単純なデッキ相性では不利だったが、
これ1枚で一瞬にしてひっくり返せた。

ヴィンテージの世界でこそ輝く《道化の帽子》の存在と、
そのフレーバーテキストの意味は、
他の追随を許さないほどの妙味がある。

もちろんのこと、
《セラの天使/Serra Angel》のフレーバーテキストも大好きだ。

日本語
「光の翼と信仰の剣と共に生まれたこの天使は、
 怒りと純粋さを体現する。」


英語
「Born with wings of light and a sword of faith,
 this heavenly incanation embodies both fury and purity.」


これは剣と魔法のファンタジーの世界観の雰囲気が出ていて、
かなり好きなフレーバーテキスト。

しかし、
フレーバーテキストの妙味とカードの効果、
そしてあのニヤリと笑う道化の絵、
この全てがよく出来ているので、
フレーバーテキストの良さでは《道化の帽子》が勝る。



自分はこの1枚を選んだけれども、
他の方はどんな1枚を選ぶのかに興味があるので、
もしコメントをしてくださる方がいたら、
・カード名
・フレーバーテキスト
を書いてくれたら嬉しいです。



ではまた。



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