見出し画像

資産を守ろう

ここ何年かの間、
1年という時間が進むまでに、
必ずというくらいに聞くカードの盗難被害。

時にカードショップが被害に遭い、
時に個人が被害に遭い。
当たり前の話だけれども、
年々のカードの高騰の影響で被害額は大きくなっていく。

例えば、5年前に100万円分の被害だったとしたら、
現在の換算では300万円になっている事も珍しくない。

今はコロナ禍で大きなトーナメントも開催されないけれども、
GPなどの会場で盗難が起きるのもわかる。
窃盗が成功してしまうと一般年収以上の金額が手に入る事もあるのだから。
失うものがない人にとってはローリスクハイリターンだ。

コンビニ強盗が成功したとしても、
せいぜい100万円がいいところ。
コンビニ強盗なんてものはリスクのわりにリターンの低い犯罪だ。
コンビニで監視カメラが無いなんて事は考えにくい。
顔を隠していたとしても逃げ道を含めて不利な事は多い。

こういった一般的な犯罪と比べて、
カードの窃盗はリスクが低めで、
リターンは高めである事が問題だ。
自分のコレクションに名前を書いている人はいないし、
カード1枚が何万円もするようなものだと、
複数枚あっても100万円の札束1つよりも場所をとらない。
コレクションの所有証明が難しい点を含めて、
犯罪者側に有利な事も問題だ。

カードショップのデュエルスペースで遊んでいる人が少し目を離したら、
かばんを盗まれる、またはデッキを盗まれるなんて事も起き得なくもない。
自分が知らないだけで既に起きているかもしれない。
特に知らない内に1~2枚だけ抜き取られている場合は、
気づくのも遅くなり、犯人も特定しにくい。
これでは安心してカードショップで遊ぶ事もままならない。
特に都心部は人が多いだけに危険度も高くなる。

画像1

去年だっただろうか。
Twitterでコレクションを自慢したら、
その後盗難被害に遭ったという事件。
この事件は家主不在を狙って入った空き巣だった。
窓ガラスを割って入り、
片っ端からコレクションを盗んでいったという。

これではカードゲームの大会でも、
自分の家でも安心出来ない。
カードの高騰化がこういう形では本当に嬉しくない。
本来ユーザーが楽しむためにあるものが、
純粋、単純に楽しめない環境になっている。
このカードは本来ゲームをするためであり、
投機と転売の対象ではない。
カードショップのオーナーという立場もあるが、
それ以前にコレクター、プレイヤーの立場である自分は、
ハッキリと言って高騰化を一切望んでいない。
純粋にコレクションとプレイを楽しみたい。
安心してこの2つを楽しめる環境こそが望まれるのだが、
なかなかそうもいかない情勢が本当に困りものだ。

さらに盗難被害に遭った人はカードゲームへの情熱を奪われる事もある。
事もあるというより普通は奪われる。
コレクションと一緒に気持ちも奪われるのはあまりにもつらい。

友人がカードを盗まれる事で情熱を失い、
結果、縁が薄くなってしまう事は間違いなく二次被害だ。
とりわけカードのコレクションを盗むという行為は、
時々、取り返しがつかないカードをその人から奪う。
例えばサインカードやPSA鑑定されて世界に数枚のカード。

他にも
・友人から誕生日を祝ってもらったカード
・友人から結婚を祝ってもらったカード
・好きなアーティストさんに描いてもらったアーティストプルーフ
・入手困難で滅多な事で出回らないカード
挙げていけばキリがない。

こういったものはもうお金ではない。
こういう視点ではカードの窃盗は、
単純にお金を窃盗する事もよりも悪だ。
人によっては親しい人や自分を殺害される事の次くらいに、
コレクションを盗まれる事が許せない人もいる。
極端な事を言ってしまえば、
「カードを返せ。相当分の金を払ってやるから返せ。」
と犯人に言ってでも取り戻したい被害者だっているはず。
そのくらいに大切なものだ。

今やレガシー、ヴィンテージは言わずもがな、
モダンやEDHのデッキでも結構な金額になるデッキはある。
(EDHは人によってレガシー、ヴィンテージと同列で見るべき?)
そして前述の通り、
金額以上の問題が大きい。
モダンのデッキで安いデッキであろうと、
その人の気持ちがこもっているデッキであれば、
それはもうお金の問題ではない。
デッキの基本土地にこだわってみたり、
特定のカードがプロモだったり絵違いVer.だったり。
それぞれの人の趣味嗜好でデッキを持っている。
それぞれの人の趣味嗜好で集まったカードは、
その人達の心が詰まっている。

色々と言いたい事や思うところがまだまだあるけれども、
今回のお話で何が言いたいかというと、
これを読んでいる人にある言葉を伝えたい。

note記事の

で知り合ったおじいさんの言葉。

「資産ってのはね、
 手に入れてからが大変なんだよ。
 自分の大切なもの、資産、
 それらを守るにはお金を払わなければならない。」

この一言。
この言葉をもらった時とても心に響いた。
なるほどと納得もした。

このおじいさんはとても苦労された方だと思う。
店主が会いに行くたびに人生で起きた色々な事を語ってくれる。
店主はそれを1時間でも2時間でも飽きずに聞いている。
いや、どちらかと言うと聞きに行っている。
そんな中で頂いたこの言葉がこの時とても大切に感じた。

思い当たる事がいっぱいあったからだった。
資産にしても大切なものにしても、
そこにお金や労力を払わなかった事で失った事は自分のミスだった。
本当に大切なものや資産は、
お金や労力を払って守らなければいけない。
店主はこの言葉を受けて、
即座に2つ目の貸金庫の契約を決断出来た。

このおじいさんはこうも言っていた。

「資産を築く事は頑張ればなんとかなる事も多い。
 けれども、それだけじゃダメだ。
 お金持ちになっても全て失う人は多い。
 守りきってこそ資産家だよ。
 だから資産を築けたら守るためにケチケチしないほうがいいよ。」

と。
財を成した方の言葉は説得力が違う。
この言葉は友人にも言えると思う。
友人を得る事は出来ても、
友人として維持する事が大切。
「今月の友達代を払う」
といった冗談の話ではなくて。
友人間にもギブアンドテイクはあるし、
親しき仲にも礼儀ありでもあるし、
コミュニケーションのためのお金を惜しんでもいけないという話。
(もちろん無理をしてもいけないけれども。)

失ってから「こうすれば良かった。」では遅い事もある。
カードも友人も両方あってこそカードゲーム。
自分の持つカードと友人の両方を大切にしよう。

ではまた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?