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お客様が神様なら私たちは天使になる。【仕事エッセイ】

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著書「それでもお客様は神様ですか?」のその後の未公開エッセイ。サービス業の仕事・接客・人間関係・その苦悩について書いたものです。
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記事一覧

あの頃の虚しい日曜日。

これはもう、昔のこと。私の勤めていた電器屋が、大型店の電器屋にお客さんを取られてしまい、…

青木詠一
4年前
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人ではなく、物事を叱るために。

休みの日に職場から電話があることほど嫌なものはない。その日、一日がどんよりとした気持ちに…

青木詠一
4年前
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謎のチェックおじさん。

いろいろなお客さまを見てきた。長く接客業をしていると不思議なお客さまの行動に頭を悩ますこ…

青木詠一
4年前
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自動販売機と小さな彼の表情。

小学4年生くらいの男の子だった。 私を見上げるその瞳は、とても無表情と言えるもので、今何…

青木詠一
4年前
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怒らなくなったお客様に想うこと。

この頃、お客様が怒らなくなったなぁと思う。 レジが長い行列になっても、誰も怒らずに黙った…

青木詠一
4年前
38

私から逃れたいから。

心の傷は、どうして他人に見えないのだろうかと思う時がある。体の傷だったら、誰にでもわかる…

青木詠一
4年前
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金がない!と私に問うお客様。

「わしは今、金がない。だがわしは今、テレビが買いたい。さぁ、どうすればいい?答えてみろ」 いきなり売場でそう言われた。 これは私が昔、電器売場で働ていた頃の話だ。あの頃、本当にいろんな変わったお客様がいらっしゃった。これはそのほんの一つのエピソードだ。 それは白髪の老人だった。 その風貌はまるで、カンフー映画の師匠のようだ。その老人が、テレビ売場で、じっと商品を見つめていたものだから、私が何気なくいつものように「いらっしゃいませ」と軽くにこやかに声をかけたら、いきなり

売場に残された買い物カゴ。

食品スーパーに勤めるようになった頃、とても不思議に思うのがあった。それは売場によく見られ…

青木詠一
4年前
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失くしたもの、得たもの。

これはもう、昔のこと。食品スーパーの仕事の中で、とても困難なことが起きた。目の前の中年の…

青木詠一
4年前
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あの頃の笑顔と不良品と。

あの頃、なぜかその人が買うと、不良品になってしまうというとてもやっかいなお客様がいらっし…

青木詠一
4年前
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方向音痴と初夏の頃。

まだ、初夏の頃のこと。朝一番のクレームに、私はお客様宅へと向うことになった。お客さんが、…

青木詠一
4年前
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大人たちの後悔と天使の笑顔と。

まだ、私が電器売場店員だった頃の 今も忘れられない大切な夏の思い出です。 ・・・・・・・…

青木詠一
4年前
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欠落した心。

「あなたには、心の中の決定的なものが欠落していて、その不完全さが、あなたと周りの人間を不…

青木詠一
4年前
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レジでお金を投げる人、急ぐ人。

うちの奥さんは雑貨店で、主にレジ業務をしている。ずっとレジに立っていると足がパンパンになって大変らしい。 「まったく!仕事をしているのに、運動しないものだから、全然、痩せないじゃない!」と愚痴をこぼしている。いやいや、それ以前にお菓子の量を減らせばいいと思うのだけどな。 そういえば、こんな愚痴もこぼしていた。 「理由は分からないのだけど、レジでお金を払うときに、お金を投げるお客さんが案外、多いんだよね」とため息交じりに彼女が話す。 もちろん、それは悪意があってお客さん