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不審者じゃない、ただの写真好きな人。

写真を撮ることが好きだ。でも、同時にとても苦手だ。どうすればいいのだろうかと思う。

ずっと気になる風景があった。時折、その場所を車で通り過ぎるたびに気になっていた。広々とした田園風景に、ただ大きな2本の木があるだけなのだが、何気ないその風景の美しさに私は魅了されていた。

撮りたいと思った。

でも、田舎道のせいか道が狭くて車を止める場所がない。それでいつもあきらめていた。でも、とてもよく晴れた日に、私はカメラを持って出かけた。今日こそあの風景を撮ろうと思ったのだ。

駐車できそうな場所を見つけ、車を止めた。少し遠くなったが仕方ない。その場所へと向かってゆく。だんだん小走りになる。いつしか走っている。あの風景を今日こそ撮れるのだ。そう思うと、少年の私が今の私を追い越していった。

いつも遠く憧れていた風景が目の前にあった。はやる気持ちを抑え、私は写真に撮ろうとした。すると、向こうから犬を連れた女性がやってきた。こんなとき、私はどうしていいかわからなくなる。私のカメラが苦手な原因がここにある。たとえばここが美しい花のある公園なら「カメラを持って写真を撮ってる人」と正しく認識されるだろう。

でもここはただの小さな田んぼ道だ。近くに民家もある。そこにカメラを持った冴えない男がいる。もう不審者にしか見えない。もしもこの付近で何か事件が起きたなら、この女性は警察に証言するのだろう。「確かにここにカメラを持った変な男の人がいたんです!絶対に怪しいです!」と。

どうすれば私は怪しまれずにすむのだろうか?胸に大きく「ただの素人の写真好きです」と書きたいところだが、それはそれでなおさら怪しい気がする。結局、素人のカメラマンとしてずっとカメラを構え続けた。女性が通り過ぎるとき、犬にほえられた。(「ワンワンワン!」が「誰だ誰だ誰だ!」に聞こえた)女性が「すみません」と小さな声で謝っていたけど、しっかりと私を見ていた気がする。

たぶん、私の被害妄想だと思うけれど、それにしても、他の写真好きな人たちはどのようにしているのだろうか?とても気になる。

写真を撮ることが好きだ。でも、同時にとても苦手だ。

それでもいつかきっと、どこで写真を撮っていても「あ、不審者じゃなくて、ただの素人の写真好きな人だ!」と人から(犬からも?)正しく認識される私になりたいと願う。

そんな今日この頃です。

*写真は明日の朝、投稿予定です。
いい写真がとれました。(私の中では。)お楽しみにぃー!

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一