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なぜ生きるのか彼女は答える。

池田晶子氏の「あたりまえなことばかり」という本がある。いわゆるこれは哲学の本なのですが、私は彼女の何も恐れのないストレートに表現している文章がとても好きで、彼女の本を好んで読んでいる。

「なぜ、人は生きるのか?」と人は問う。
「それは生まれたから」・・・と彼女は答える。

べつに冗談で言ってるわけじゃない。そこに行きつくまでの長い道のりを、人の真理を、比喩でたとえることもなく言葉のもつ力のままに、わかりやすく教えてくれている。

人は生と死の問題を、どこか果てしなく遠い場所へとそのまま置き去りにしてしまうけれど、見知らぬ誰かを平気で殺してしまうような、こんな意味不明な時代だからこそ、その思考は重要になる。

昔のこと、新聞にこんな哀しい記事がポツンと載ってた。幼い子供が、踏み切り内に入ってしまい、それを母親が助けようとして、ふたりとも特急列車にはねられてしまったとのことだ。

それは母親が子供を抱き上げた瞬間に、だったそうだ。

たぶん母親は、列車が目前に近づいていることは分かっていただろう。自分の死よりも子供の生を、脳が判断するよりも早く心はすでに走り出していたのかもしれない。

そう思うと、”生きる”とはなんだろう?と心は途方もなく、奈落の底へと落ちてゆくようだ。
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他人の死を、私たちは何度か目にするけど、自分の死は永久に見ることは出来ない。そんな死って、そもそも一体なんだろう?生きるってどうして?なぜ人は存在するの?幸せって何?こんなに苦しいのに、自分ってなぜここにいるの?・・・そう、考え出したら切りがない。でも、今は大切なことだ。

哲学なんて難しい、と思われる方は、彼女の本をぜひ、おすすめしたい。
ちなみに池田氏は、小柳ルミ子さん似のきれいな人で、その辛口な文章とのギャップがあまりにも大きすぎて、なんだか不思議な感覚が残る。まるで、中学の頃の好きな先生に叱られてるようで、感謝しつつも驚いてしまう。(残念ながら池田氏は若くして亡くなられた。)

彼女に限らず、女性はどんどん強くなってゆくような気がする。なのに今は男達だけが、愚かな過ちをくりかえしているような気がする。ま、いつかしっぺ返しを受けることになるのだろうけど。

最近、私が見つけたとても素敵な言葉をこれを読んでくださっているみなさんに届けたいと思う。これもまた、素敵な女性の素敵な言葉です。単純な言葉だけれど、人生に壁を感じたときによく効くクスリ・・・いや、言葉です。

失敗したって、いいじゃない。

機械じゃないんだから。

フジ子 ヘミングウエイ

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一