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まーくんのこと-5 皮膚型リンパ種について-2

前回の記事の続きです。

はじめに、今回の記事はいくつか写真を載せています。参考になるように実際の症状を写真と合わせて説明します。わんちゃんのかわいそうな写真はあまり見たくないな…というかたは、ここから先はお気をつけくださいね。

まず、こちら3月のまーくんです。

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頭のてっぺんがポコポコしていますよね。ここらへんの毛や皮膚が落屑したことにより、すこしデコボコとした毛並みになっています。

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そして耳は裏側がだいぶ脱毛進み、ピンクの皮膚があらわになっていました。

 この写真を撮った時期は、ステロイドを服用していたこともあったからか皮膚の色もきれいなピンク色に落ち着いています。実はこの写真はまーくんの脱毛が目立ち始めてから一番皮膚に関しては「いい状態」と思えたときの写真です。検査前はもっと赤みが濃いキツいピンクで、炎症してるような色合いでした。

このままお薬もきちんと服用を続けて、寝床もしっかり清潔にして過ごせばこの脱毛はおさまるはず!と信じていました。

 真菌感染を踏まえて、大きな意味で皮膚のトラブルに良い食べ物は…と夜な夜なネットで調べ物をしていいんじゃないかと思ったものを取り寄せたり、腸内環境を整えるのも大事か…と近所の生乳100%ヨーグルトのお店に毎週通ったりしていました。

直接的で劇的な効果を求めていたのではありません。とにかく広い視野で考えて、まーくんの身体にとって1ミリでも良い影響のあるものを毎日必死に探していました。

その後、ステロイドの量を減らしつつ、他の症状のケアもあれやこれやとしながら過ごしていました。私はこの時期は実家に週に2回ほどのペースで帰り、その度にまーくんの写真を撮っていたのですがどうにも 脱毛がおさまっていない… むしろ、脱毛部分が広がっている…ということを認めざるを得なくなっていました。

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この写真を撮ったのは4月初旬です。皮膚の色味は、悪くないとは思うのですが…。

この間に、薬が効かないことからアトピーも疑われ、アポキルという新薬も試したのですがこちらも何の効果はみられませんでした。

先生はこの時点で、このように脱毛が治らない病気の症状のひとつとして皮膚型のリンパ腫があると軽く説明してくれていました。ただそれを調べるためには皮膚の一部分を切り取るような大変検査を必要とすることと、珍しい上にとても大変な病気なのでいずれにせよその検査はすることはないと先生と一緒に決めました。

最初の診断で真菌感染という結果が出たのならばとにかく薬を試し、服用後の状態を観察し、必要であれば違う薬を試すまたは再検査して菌の状況を確認する、そのプロセスをじっくりやっていくしかありませんでした。

まーくんは他の症状でしんどい思いをしていたので、もしかしてストレスなのではないかと考えたりもしました。もしそうだとしたら、と想像するだけで心苦しくて申し訳ないきもちでいっぱいになりましたがお世話になってた先生はストレスからの抜け方ではないと思う、と言ってくれたのでそれを信じていました。

薬を一定期間試した結果、状況はよくならないので(むしろ脱毛部分は別部分などにも広がっていた)4月中旬に先生にもういちど往診にきてもらい、細菌培養検査をしてもらうよう予定をたてました。

 しかし、この時期にまーくんにある大きな変化がみられました。

1月に入ってから自分からおすわりや伏せの体制をとれなくなったまーくんが、なんと、自分で寝る体制をとるようになったのです。(この一連の流れについてはまた詳しく記事にします)

この事態には家族で祭りのように喜びました。父親が「まーくんがリラックスして寝ています!」と撮って送ってくれた動画を、毎日なんども繰り返して見ました。寝る前に見て、とてもいい夢を見た日もありました。

 この良い状態を保ちたいと思い、往診のキャンセルをしました。前回の往診ではたいへんな騒ぎになったので、まーくんにとって刺激になることはできればしたくなかったのです。

脱毛や皮膚の状態は確かに気になるけれど、本犬はおそらく痛くも痒くもなさそう。ひとまずは検査結果に沿って処方されたお薬はちゃんと飲んでるし、とにかく今はまーくんの穏やかな時間を1日でも長く守りたい。刺激を与えることは控え、静かに、家族だけで過ごそう。栄養をつけて、ゆっくり休んで、落ち着いたらまた検査をしよう。まーくんが気にしていないのであればどんだけハゲちゃっても大丈夫。そう思っていました。そうして、2018年が始まってからまーくんとわたしたち家族にとっていちばん穏やかな時間になりました。けれどもそれは束の間でした。

5月に入り、連休もおわって少したったある日、まーくんは起き上がらずに一日中寝ていました。食事と水分はなんとかとらせて、様子を見ました。

次の日は起き上がることができたのですがまた次の日は一日中寝ていました。そしてその次の日は起き上がることができたのですが、すぐにぺたんと座り込んでしまい、ぱたりと横わたりました。

 食欲はしっかりとあり、排泄も規則正しくしていました。この二点に関しては問題は全くなかったです。ただ、わたしたちが支えてももう立てなくなってしまいました。身体的な力が出ないというのもそうなのですが、気力もずいぶん落ちてるように感じられました。


( この下に、一番脱毛が目立つ写真があります )


静かに横になっているまーくんを優しく撫でていると、前足の内側に、小さいのですがかさぶたっぽいものができていることに気がつきました。出血して、それが乾燥したもののような…。なぜこんな場所にこんなものが?と不思議でした。また、毛が抜けおちてしまった耳の付け根あたりにも似たようなものができていました。

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こんな感じです。

このタイミングで、先生に往診にきてもらいました。先生は、まーくんのぐったりとした姿を見てお迎えが近いのかもしれないですね、と言いました。長年の経験から、感じることがあったのかもしれません。

 しかし食欲はかなりあることなどから、私はまだまだまーくんと一緒に過ごせるはずと思っていたので予定通り、細菌培養検査をお願いしました。

まーくんはまだ生きてるし、まだまだ生きるし、私はこの皮膚の状態をしっかり調べて、ケアを続ける。ただそれだけの気持ちでいました。

 この時、先生はまーくんの耳の付け根あたりのかさぶたに気づきました。そしてそこにスライドガラスをキュっと抑えて出血をさせました。これは何をしているんだろう?と不思議でした。

 先生は往診を終え病院に戻り、私は午後診療が始まった頃に病院に向かいました。培養検査の結果は一週間ほど待たないといけないので、この日はそろそろなくなりそうな抗生物質などのお薬をもらいに行くだけの予定でした。

 ところが病院に着いたわたしに、先生は往診にきたときに採取したまーくんの血液を顕微鏡のようなもので見せてくれました。

そこにはたくさんの紫のつぶつぶが写っていました。

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これがその実際の写真です。

先生はこの紫のつぶつぶは、リンパ球なのだと説明してくれました。血液検査でこれだけの多さのリンパ球が見られること、薬を服用してるにもかかわらず脱毛や落屑が治らないこと、この数ヶ月の間に観察してきたまーくんの皮膚の状態、これらすべてを考えた上で先生はまーくんは( 診断を確定するためには皮膚生検が必要なのだけれど )皮膚型のリンパ腫と言えるのではないかと思っている、とのことでした。足の内側などにできてるかさぶたのようなものも、この病気の症状のひとつかもしれないと。

 皮膚型のリンパ腫と診断されたのなら、(まーくんは皮膚生検をしていないので診断はされていませんが)治療法としては抗がん剤の投与などがありますが(ステロイド投与して、症状を緩やかにするなどもあるそうです)まーくんにはもうそのような体力は残っていません。

ただ、もしもこの病気が進行したらこのままどんどん毛は抜けて、皮膚は真っ赤に炎症し(出血や化膿なども)それが全身に広がり、痛々しい状態になっていくとのことでした。

 先生は、どんなことでも相談してくださいと言ってくれました。病気が進む愛犬にこれ以上つらい思いをさせないためにそれをもう自分の判断で止める飼い主さんもいますと説明してくれました。

病院からの帰り道、私はわんわん泣きながら帰りました。

帰り道に、まーくんの大好きなレバーを買って帰ろうと思っていたのですがとてもじゃないけどスーパーに寄る気力がのこっていませんでした。とにかく早く家に帰りたい、両親に会いたい、まーくんを撫でたい。

両親に泣きながら説明をし、兄にも電話をしました。父親はすべてを黙って聞いてから、仕事から帰ってきて疲れているのにまーくんの介護をよりしやすいようにと寝床の大改造をし始めました。

兄はわたしが電話をした次の日にまーくんに会いに帰ってきました。まーくんは寝たきりではありつつも、この日まで食欲は旺盛とのことでした。

そしてその次の日の5月17日。まーくんはあさごはんを食べませんでした。水もいらない、と舐めることすら拒否します。母親は何かを察し、すぐに私をタクシーで帰ってきなさいと呼んでくれました。

11時ごろ、私と母親が見守るなか、まーくんは静かに息をひきとりました。

私はこの時、二日前にレバーを買って帰らなかったことをひどくひどく後悔しました。昨日の夜まで食欲があったのに。

これで私がこの病気について書けることを、全部書きました。まーくんは皮膚リンパ種が進行する前にお迎えがきたのだと思います。実際の治療はしていないのでそのことについては何も書けませんが、初期症状やその期間については何か少しでも参考になれば幸いです。

できるだけ気をつけながら書きましたが、読みづらい箇所やわかりにくい部分などありましたらごめんなさい。

最後に時期だけをまとめると:

 1月 
・首まわりの皮膚がうっすら赤いことに気づく 
・フケが出はじめる

2月
・ぱらぱらと耳の裏から脱毛しはじめる
・2月中旬 ステロイド投与を一時的にはじめる

3月
・ストロイド投与2週間後、皮膚の赤みがおさまる
ここからステロイドは減薬へ
・3月下旬 脱毛部分がひろがり、落屑も多くなりはじめる
・目の涙やけが出るあたりから脱毛しはじめる

 4月
・どんどんひろがる脱毛箇所
両耳周辺 頭のてっぺん 目のまわり 口まわり(粘膜周辺ですね)
しかし皮膚の赤みはでていない
・あらわになった皮膚に黒い色素沈着がぽつぽつと出はじめる
・前足あたりもちょっとずつ毛が抜けはじめる

 5月
・13日 足の内側や耳にかさぶたのようなものを見つける
・15日 皮膚リンパ種の疑いがある、と先生が考える
・さいごは全身からフケや落屑が出ていました

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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