睡眠薬
僕らは睡眠薬だ
眠れない夜にしか互いに頼らないだけの
依存を肯定し合う意味での冷徹が
見透かした様に輪郭を弛緩させて
仮にその思惑が奥の奥にまで届いたら
瞼を下ろし沈潜の刹那に
苔生す皮膚の日溜まりで呼応し合えただろうか
僕らは睡眠薬だ
寄る辺ない日に黙って越冬の準備をしている
撫で付ける様にカーペットの起毛を揃え
自分の身体に見合う分の熱を拵えて
剥き出しの感傷だけ飢えて凍えてくれないか
明くる日 変わり果てた姿に一応 泣いてみせるから
その醜悪さも後できっと向かわせるから
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