信じるかどうか

夕飯を食べていると、母が話し始めた。今日、墓参りに行ったという。

そこで1匹の猫が足元にまとわりついてきたそうだ。その猫は墓参りが終わっても母から離れようとせず、母の車にまで乗ろうとした。

僕が持って帰ってくればよかったのにと言うと、

痩せていて、毛も禿げていて、みすぼらしい見た目だったから

と返された。

会話は途切れ、僕は咀嚼しながら考えた。

僕が考えたのは死んだ飼い犬のことだ。お盆に先祖が帰ってくると言われている。僕が墓参りに出会った動物に、特別な意味を与えたいだけなのかもしれない。今日はお盆でもないし、先祖でもない。でも犬のお盆は今日なんじゃないか。

そう思ったとしても、今から墓まで行こうと僕は言わない。思うだけだ。

麦茶は冷えていなかった。だから、お茶漬けは温かった。


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