横着者の情報考察①〜スマホとSNS〜

 私は現在、デジタルメディア研究所の「コンセプト・バンク」というプロジェクトに携わっています。コンセプト・バンクは色々な活動をしていて、その一つに、Facebookのグループを使った情報まとめ活動があります。

コンセプト・バンク Facebookグループ

 Facebookが日本で始まったのが2008年。当時はスマホも出たばっかりで、ネット利用はまだほとんどがPCから。mixiやTwitter、個人ブログが全盛の時代です。Facebookもなんだかんだ言われながら始まりましたが、初期の頃は登録している友達も少なく、外部記事の「いいね」ボタンを押して自分用のまとめサイトを作っているような感じでした。

 2000年以降に、日本における新聞の発行部数(一般紙、スポーツ紙の合計)が世帯数を下回るのが2008年です。Facebookがこのタイミングを狙っていたのかどうかはわかりませんが、ある意味象徴的な年にリリースしています。

新聞の発行部数と世帯数の推移 一般社団法人日本新聞協会

 余談ですが、私は2012年に居酒屋の店長として韓国ソウルに約1年間滞在していました。初めてソウルの地下鉄に乗り、その車内で見た光景に驚きました。学生からお年寄りまで、座っている人も立っている人も、ほとんどの乗客がスマホを手にし、画面に見入ってタッチパネルを操作しているのです。

 当時の日本はまだまだガラケー全盛で、やっとスマホが普及し始めた段階です。しかしお隣の韓国はすでにスマホの普及が終了しつつある状態でした。同じ年に日本でLINEが始まりましたが、韓国の若者は既にKakao Talkで四六時中友達とチャットをしていました。結構カルチャーショックを受けましたね。あれ?日本てIT先進国じゃなかったの?と。

2013年のスマホ普及率、韓国73%、日本は25% - Google調査

 で、Facebookですが日本でのブレイクは2011年頃。iPhone4、4Sのあたりです。スマホの普及が若者を中心に加速し始めたのと並行して、Facebookの利用が増えたという感じですね。

 そして2014年あたりから若者のFacebook離れみたいな話題がちょくちょくネット上に登場するようになります。mixiでもあった「mixi疲れ」と同じです。理由は親が使っているからとか、他人のリア充投稿に嫌気がさすとかいろいろでした。その頃からヘビーユーザーほど外からの情報をシェアして、それにコメントするというタイプの投稿が増えてきたような気がします(統計データを持っているわけではないのであくまで主観です)。もちろん今でも旅行記や食べ歩き、飲み会でウェーイ!などの投稿は多いと思いますが、このあたりはニュースアプリの利用が増加した事も関係していると思われます。ちなみにSmartNewsのリリースは2012年、Gnosyは2013年です。

 同じ頃から中高年のFacebookユーザーも増えてきました。こうした新しいユーザーは、社会経験が豊富なので投稿も上手です。真新しい価値や溢れるエネルギーを感じる投稿は少ないかもしれませんが、その分、人の感情を逆なでしたり関係者を傷つけたりしないよう配慮した、品のある(笑)投稿をします。あと中高年の方は、しっかりと自分のテーマを持ち、テーマに沿った内容を淡々と投稿している傾向があるように思います。

フェイスブック、世界中で「若者離れ」 「おじさん世代」のSNSになってしまうのか

 Facebookはソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)と云われています。ソーシャルとは「社交」。社交って実社会では大人のたしなみみたいなものです。それまでのユーザーは若く、社交のなんたるかもわからずむやみやたらと投稿していました(だから面白いのですが)。まだ自分のエゴを飼いならす事に長けていない若者が、実名で感情に任せて投稿をすれば、そりゃ人を嫌な気持ちにさせたり、喧嘩沙汰が起きるのは当然です。結果的に若者は1:1のチャット中心のLINEや、匿名の繭に守られたTwitterに流れ、実名ゆえに投稿に信頼と責任が問われるFacebookには中高年が溢れた。これはただ単にサービスの特性に合わせた棲みわけであって必然的な流れだと思います。よくある若年ユーザーが減ったから今後Facebookは衰退するという話は的外れで、ちょっと論点がズレているんじゃないかなと思います。

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