コーヒーの酸味(coffee acidity)

コーヒーの酸味は、人間の舌に存在する味受容膜にプロトン(水素イオン)が結合することで知覚されているのだと思います。

コーヒー豆に含まれている酸は、水に溶けると、プラスのイオンとマイナスのイオンに分れます。これを、解離と呼んでいます。そのとき発生するプラスの水素イオンが、コーヒーを飲んだときに感じる心地よい酸味(すっぱさ)の正体だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。

コーヒーの酸味は、多種多様な味の酸が混ざりあって作られています。コーヒーの酸には、コーヒー生豆に最初から含まれているクロロゲン酸、リンゴ酸、クエン酸などと、焙煎によって新たに生成するギ酸や酢酸などがあります。

五つの基本味の一つが、酸味(サワー)です。複雑な味を組み立てている味覚の基本となる要素を基本味と呼んでいます。基本味には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの味があります。サワー(酸味)は、その基本味の1つです。

標高の高い地域で産出するコーヒー豆のほうが、標高の低い地域で産出されるコーヒー豆よりも、より多くの酸味を持っていると考えられています。

東アフリカの高地産のコーヒー豆や中米の高地で産出するコーヒー豆には、比較的に多くの酸味が含まれているようです。標高の高い土地で、ミネラルを多く含む火山性土壌で育ったコーヒーノキから収穫されるコーヒー豆ほど、より良質な酸味を多く持っているのかもしれません。

コーヒーの酸味は、コーヒーの風味と合体した形で感じるので、酸味が少ないと味が平坦になる可能性があります。しかし、極端に強い酸味のコーヒーは、欠陥を持つコーヒーだと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。

Acidity(アシディティー)は、「コーヒーの香味」の範囲内で酸味を表現するのに用いられている用語だと理解しています。そして、一般的に、浅煎りコーヒーの香味を肯定的に表現するのに使われている用語だとも理解しています。


コーヒー豆の精製方法と酸味

収穫したコーヒーの果実から、不必要な外皮、果実、内果皮、銀皮などを取り除いて、コーヒーの果実の種子を商品価値のあるコーヒー生豆に仕上げる工程を、コーヒー豆の「精製」処理工程と呼んでいます。

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