ジョグの天才
3月の終わりになると、それまでSNSを封印していた駒澤大学の学生たちがSNS上に復活してくる。今年もそういう年がやってきた。たぶん、卒業式がSNS解禁の合図なんだろうなあ。
ツイッターやインスタグラムのアカウントが開設されてファンが「わいわい」と騒ぐタイムラインをみながら、こちらのアカウントをポツポツと選手たちがフォローしはじめるのをみて「ああ、今年も春がやってきたなあ」と桜開花のような気分になるのがこの季節である。
DMの通知がきたので、開いてみるとインスタのアカウントを開設したばかりの赤星選手からDMが入っていた。
「ジョグの天才と言ってくださり。ありがとうございます」と。
それは2020年の5月のこと。
砧公園を走っていると「新入生」が入ってきたことはすぐにわかる。駒澤大学に長くいると、その練習から「駒澤のリズム」みたいなものができあがっていき、「駒澤のフォルム」みたいなものが仕上がっていく。新入生はそのどれにも当てはまらないので、浮いて見えるのだ。
毎年、タラタラとジョギングしながら、そんな選手に抜かれていきながらも「おっ」とひときわ目をひく選手に出会うことがある。顔も名前も知らない選手なのだけど、それが個性なのだろう。そういう選手はちゃんとチーム内での競争を勝ち上がり、3年生になるころには主力として顔も名前も知られる選手となっていく。
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