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トイレさま

 ぱんくろうが、トイレに駆け込んで親友のトイレさまに用を足し、満ち足りた顔で僕に手を振ったのを見届けてから登校すれども、気分は一向に晴れない。朝起きて20分弱の間では、腸は依然不活性状態にあるのであって、適温の自宅を出て、夏は暑く冬は寒い外気に15分弱曝されることでようやく体が目を覚ます。
 しかし、トイレさま、僕はまだ、あなたには謁見できないのです。あなたがお許しになっても、いけないのです。あなたの親友たる、ぱんくろうに気を遣っているのでもありません。僕はあなたに会いたいけれど、世間がそれを許さないのです。軽んじられるのを恐れているのです。

 ぱんくろうがどんなだったかもう忘れたけれど、自宅にはトイレさまがいつもいるから、あなたの顔は忘れずに済みました。今ではもう、人にどう思われようとも、一時間かけて外気に触れたすっかり活性化した腸を会社のお金ですっかり宥めてから仕事に取り掛かっています。

文責:ぴーにし

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