見出し画像

忌野清志郎さんが教えてくれた人生をロックに生きる術


出逢いの経緯


紫のアイシャドウで目の周りをぐるっと囲んで、頭はツンツンで、なんかキラキラしたド派手な衣装を着て、ステージの上でスタンドマイクを握ってガラガラのだみ声で歌ってる、強烈なヒト。


名前をみて思い出したイメージ。


ビジュアルの印象に圧倒されて、彼の人間性についてほぼ何ひとつ知らなかったってことにこの一連のことで気づかされる。
 

実際どんなことをしてどんなことを考えて生きていた人だったのか。わたしと同じようにイメージだけで知らない人も多いかなと思って、せっかくだから書いてみることにした。
 

---

それはふらりと散歩がてら図書館に行った日のこと。2020年の自粛期間が始まったくらいの頃だったと思う。(遊びに行くこともできずに、すでにちょっと飽きていた)何気なく上から順番に眺めていた文庫棚の中で目に入ってきた背表紙の文字。


『ロックで独立する方法』忌野清志郎


あ、そうそう、清志郎さんといえば。

もう5年くらい前だと思うけど、なにかのTV番組で清志郎さんファンとして集められた芸能人が清志郎愛をアツくアツく語りあっていて、もう彼はここにはいないのに、未だに変わらずこんな熱狂的に人を惹きつけ続けられるんだなぁ、すごいなぁ・・・と思ったこと。名前を見て思い出した。

この頃のわたしは魅力的なひとの魅力の出どころに興味があって、その引力はどこからくるのか、もしかしたらヒントが見つかるかもしれない。そんな気がしてその本を手にとってみた。


こうやってインスピレーションで本を選ぶのは久しぶりで、本屋さんだったらきっと出逢ってないだろうなぁ〜と、なんだか面白くなりながら貸出窓口に向かった。

---

※ちなみにこれ下書きに眠っていた記事を掘り起こして初稿から2年4ヶ月が経ちやっと公開に至ったという、とんでもない1本。笑 時間かかってなんとか書き上げた発酵熟成note、もう少しお付き合いいただけたら嬉しいです〜!

---

あまりになにも知らなかったので、家に帰って、清志郎さんについて改めて調べてみる。

1951年-2009年。バンドマン。
1968年高校在学中にRCサクセション結成。
1970年「宝くじは買わない」でデビュー。「雨あがりの夜空に」「スローバラード」「い・け・な・いルージュマジック」など多種多様なヒット曲を放つ。恒例の武道館、日比谷野音等 LIVE パフォーマンスでも数々の伝説を作った。
91年の RC活動休止後も、ソロ活動の他、映画・ドラマ出演や絵本の執筆、サイクリストなど活動は多岐に渡る。
2008年2月『忌野清志郎 完全復活祭 日本武道館』では、当時の日本武道館最多動員数を記録。
2020年、デビュー50周年を迎えた。


あ、RCサクセション。曲は知ってる。


スクリーンショット 2021-01-30 3.07.07

(ここのコメント欄があったかくて最高なので心が荒んだ時とかにぜひ見てほしい・・・)


---

清志郎さんが伝えたかったこと


ある程度の経歴を踏まえたうえで本を開いて1行1行読み進めていくと、そこにあるのは喋っている音声をそのまま文字に書き起こした荒削りで綺麗にされてない言葉たちで(褒めてる)、なんだか目を閉じたら清志郎さんが隣にいて私に向かって語りかけてくれているのをじぃっと聞いているような気持ちになっていった。

進めるほどに、裏切られる展開。

タイトルからしてロックで独立したい=音楽で食べたい、本気でやりたい人に向けて書かれた本なのかなーと予想していたけれど、読めば読むほど違った。

書かれていたのはこんなこと。

・ウケる、いわゆる <売れる> ものばかり作っていないか

・本当は言いたいと思っているのに何かを恐れて口に出していないことはなんだ

・本当にやりたいことにエネルギーを使えているか、望んでいないことにエネルギーを使ってないか


シンプルに言うなら


情熱はどこにある?

どう生きたい?

何に命を燃やす?


何か心に引っかかりのある人たちが『う"』ってなりそうな問いかけ。

アツい。


読みながら、実際わたしはずっと生き方や写真のこと、誰かと生きることを考えていたし、そんなふうに「音楽」というワードに、それぞれが心の中に思い当たる『何か』を重ねるだろうなと思う。


ただやっていることを『独立』とは言わない

ある章の一節にこうやってハッキリ書かれていて思ったんだけど、清志郎さんが言ってるのって受け身でいたり忖度してないで心にあることを信じてやり尽くせ〜!情熱を燃やせ〜!だなーと。


自分の真ん中、コアにあるものを追いかける。それは食い扶持を稼ぐでは留まらない、もっと壮大なもの。
(お前らのびのび、やってるか〜!楽しんでるか〜!って、そろそろ隣からあの声で聞こえてきそうだよ・・・!笑)


まだまだだと切り捨てるでもなく、上から目線で諭すわけでもなく、ちょっと先をいく先輩くらいのテンションでフラットに人生の話をしてくれる絶妙な距離感の言葉たち。


やりたいことをやりたいように楽しんでおまえらしく堂々と生きていいんだよ〜!と

背中をぱーんと軽く一発叩いて背中を押されたようで、読み終えた後の気持ちはなんかスッキリして、なおかつ心がほかほか温かかった。


---

人生に向き合う気力をくれる生き様


自分の人生に向き合うのには、エネルギーがいる。

わたしは過去、ある人に『漂流しているような生き方に見える』と言われたことがあった。

いま思うとたしかに、人生の大きな決断をする時でも「なんとなく流れで」とか、人に言われたことを信じて進めてしまうことも多かったし、先んじて自ら決断するというよりはどうしても決断しなければならないタイミングがくるのを待ってしまうことが多かった気がする。

それを伝えられた時、それこそ尖った流木がぐさっと胸に突き刺さったようでとても痛かったんだけど、その時のわたしは『自分で決めて自分の人生を生きている』と思いたかったから、痛みに気づかないふりをして。

でもそれはきっと図星だったからこそ、やっぱり後から思い出してもずっと痛かった。


その生き方を続ける?それでいいの?

これはずっと棘のようにチクチクわたしの心を刺す問いで、今回清志郎さんの本を読みながらも、やっぱりこのチクチクしたものを多少なりとも感じることになった。

誰かや何かに遠慮したり譲って生きるのも、周りに倣うのもとっくにやめたいと願ってきたはずなのに、それでもやっぱり気づくと世間一般的な幸せとか、常識と言われているものに無意識に囚われてしまっている自分がいる。


でもそれは嫌な感じというよりは、根っこのあったかくて熱い言葉によってわたしの心はじんわりと熱されて動かされているという感じで。

気づくとわたしが本当に大切にしたいこととか、わたしの真ん中にあるものを声に出していくことを自分に許してあげたいと思っていた。

それは自分を変えなきゃいけないというよりも、自分の中にあるものをもっと大切に育てていきたいという感覚。
 

売れるより、アバンギャルド。(前衛、先駆け、革新って意)

彼の生き様を聞いていると、なんかこのままじゃ終われないし、なんかちゃんと心でやりたいことやらなきゃ終われない、どうにかしてやりたいって気になってくる。

存在だけで、今でも多くの人の心に火を灯す人。

いまどうしようもなくじわじわと動かされているみたいに、心に火の灯った自分でいたくて、そんな火を分けてもらいに、またYoutube見に行っちゃうんだろうなぁ。

こうやって、惚れ込んでいってしまうんだろうね、清志郎さん。ずるいなぁ、かっこいいなぁ。皆んながどうしてそんなに惚れ込むのか、わたしも段々とわかってきている気がするんだよね。

この記事が参加している募集

振り返りnote

ありがとうございます!! 何度も感じたことを言葉にさせてもらってきた モスバーガーに還元します〜!!笑