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『ゾウと巡る季節−ミャンマーの森に息づく巨獣と人々の営み』


 タイトルの写真は、大西信吾さんの写真と文章による㈱渓流社から2010年に出版された『ゾウと巡る季節−ミャンマーの森に息づく巨獣と人々の営み』です。この本のページをめくっていると、ゾウが人に仕えるためのトレーニングの写真などつらい気持ちにもなるページがあります。ミャンマーには使役ゾウという、人間に仕えるゾウがいるようです。

 ラオスで象使いのトレーニングを受けた時、「昔は象は人間に仕えて働いていたけれど、荷運びが象からトラックに移り変わり、象が生きていくために(野生には帰せない)、観光用に人を乗せているのだ」と教えてもらいました。「人の方が軽いよな〜」というのが第一印象でした。そのゾウたちは、夕暮れには森に送り返し、朝、森に迎えに行き、私達の相手をするわけです。

 この本との出会いは、私が食品の加工について図書館で調べていた時、座った机の後ろの棚を振り返ると、なんと棚からニョキッと飛び出ている大型の本で、“ゾウ”の文字が目に飛び込んできました。(ゾウのシルエットやゾウ・ぞう・象などの文字が目に入ることを、「ゾウ目」と読んでいます。ちなみに、キノコ好きの人は「キノコ目」というらしいです。)

 大西さんのことをネットで調べていると、2016年には素敵なインタビュー記事その1、2018年のインタビュー記事その2がありました。ともに、象が森を守るということを強調されておられます。2018年の記事では、「無理やり困難な労働をさせているのではなくて、ゾウの特性にあった仕事」と語っておられます。タイのゾウのように観光のために街で人を乗せるより、山の中で生きて行く方が幸せだかもしれない、と大西さんは考えています。私が使役ゾウに対して思うのは、なんだかムリムリ重労働をさせられて・・・。そう思ってしまうのも偏っているのでしょう。餌の不自由のない動物園のゾウ、いつ象牙をねらって襲われるかもしれない保護区のアフリカゾウ、私がラオスで出会った観光客用のゾウたち。。。

いろいろと考えるきっかけをいただいた大西さんの本でした。