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Heize新曲「We don't talk together」レビュー

韓国の女性アーティスト、Heize(헤이즈:ヘイズ)のデジタルシングル「We don't talk together」が、7月7日(日)にリリースされた。BTS(防弾少年団)のSUGAがプロデュースし、注目を集めている。

このnoteでは、Heizeの経歴を振り返り、「We don't talk together」をレビューする。最後には、Heizeの人気曲5曲をポストしてあるので、もし興味があれば聴いてみてほしい。

Heizeの経歴

本名は장다혜(チャン・ダヘ)。SUGAと同じく、出身は大邱。幼いころはチェロを学び、クラシックとバラードに傾倒したが、ネットでラップにふれて興味を持ち始めた。

大学は、釜山にある釜慶大学校へ進学。経営学をまなぶ一方で、ラップの歌詞を書き始める。その後、ソウルへの上京を夢見るも、父親が反対。「学科1位の成績をとったら上京してもいい」という条件を受け、猛勉強し、実際に1位の成績をとったというエピソードも。

2015年、リアリティ・ショー「UNPRETTY RAPSTAR2」に出演。日本でいう「フリースタイルダンジョン」の女性版だ。

番組では、その実力や美貌もさることながら、準優勝に輝いたKittiBとのラップ対決で、元カレがヒップホップアーティストのCrucial Starだと暴露され、注目を集めた(Crucial Starは、Heizeのシングル「조금만 더 방황하고(もう少しだけ彷徨って)」にフィーチャリングとして参加している)。

「UNPRETTY RAPSTAR2」では準決勝に進出するも、敗退。しかし、これを機に音楽に専念することになった。

以降、「저 별 (Star)」(2016)、「비도 오고 그래서 (You, Clouds, Rain)(Feat. 신용재 (Shin Yong Jae)」(2017)で音楽番組1位を獲得。アーティストとして活躍している。

 ■저 별 (Star)

■비도 오고 그래서 (You, Clouds, Rain) (Feat. 신용재 (Shin Yong Jae)

これは"新たなHeize"ではない

クラシックとバラードをルーツに持ち、これまで主に「비도 오고 그래서(You, Clouds, Rain)」(2017)のようなジャズR&B、「널 너무 모르고 (Don't know you)」(2017)「첫눈에 (First Sight)」(2018)のようなバラードR&Bを多くリリースしてきたHeize。

そんな彼女のターニングポイントとなったのが、今年3月にリリースされた作品群だ。なかでも注目すべきは、3月8日(金)に発表された「Jenga (Feat. Gaeko) 」。Dynamic DuoのGAEKOをフィーチャリングしたこのナンバーは、Heizeが得意なジャジーなテイストも残しつつ、これまでになくチルアウトした作品に仕上がった。続けて、19日(火)の「SHE'S FINE」、28日(木)の「이유 (No Reason)」。これらはHeize単独の楽曲だが、「Jenga (Feat. Gaeko) 」の作業の影響を受けたように、これまでになくリラックスした空気感が印象的だった。

実はこの片鱗はすでに「첫눈에 (First Sight)」でも見せていた。Heizeはそれまでより幾分ソフトな歌声を披露し、新たなアプローチを試みていた。ただ、当時はまだビートを強く効かせており、密度の高いサウンドやコーラスを"間引く"作業、つまり引き算の手法に踏み切れないようにも映った。まだ、どこに新境地を見出せばいいのか、定まりきっていなかったのかもしれない。

そんな彼女に影響を与えたのは、アメリカのメインストリームの音楽だろう。今は、Post Malone、新世代アーティストであればKhalid、Billie Eilishなど、それぞれの感性を加味した、ミニマルでチルアウトしたサウンドが主流だ。

また、「UNPRETTY RAPSTAR2」から早4年。Heizeは今年28歳、韓国では29歳になる。大人の女性へと成長するなかで、悲痛な恋愛をドラマチックに歌い上げたり、それを厚いサウンドで演出する、言わば"力技"とも捉えられるスタイルの、次のステージを探していたはずだ。

Heizeにとっては、その答えと、今の音楽の流行が、見事に合致したタイミングだったのだろう。

そのようなGAEKOとのフィーチャリングを機に、新境地に見事踏み出したHeize。そして、その次にあるのが、SUGAプロデュースの「We don't talk together」だというのも明白だ。

本作は、前作のテイストを引き継ぐような、チルアウトしたR&Bだ。ただ、それだけではない。オーガニックで、アンビエントなアレンジは、楽曲の夢幻的な世界観を描く。それに誘われるように、Heizeの歌声は、ソフトなだけでなく浮遊感をはらみ、その世界観を色濃くする。それがこの楽曲を特別なものにした。

ニュースでは、「今まで披露した音楽スタイルとは異なる」と報じられたが、果たしてそうだろうか。「We don't talk together」は、明らかにこれまでのHeizeの延長線上にあり、同時に、彼女がその道を1歩1歩、着実に歩いてきたことを教えてくれる。そんな1曲だと感じた。

Heizeの人気曲5選

自身の活動だけでなく、フィーチャリング作品、OSTなどにも参加しているHeize。それぞれのシーンで表現も異なるので、ぜひ聴き比べてみてほしい。

【1】And July (Feat. DEAN, DJ Friz)

【2】첫눈에 (First Sight)

【3】Round and round (Feat. 한수지)

【4】Jenga (Feat. Gaeko)

【5】널 너무 모르고 (Don't know you)

ちなみにこの曲は、PRODUCE48のポジション評価で採用された曲でもある。IZ*ONEメンバー、カン・ヘウォンのラップ、惜しくも12位で落選したハン・チョウォンのボーカルなとが評価を集めた。

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