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使ってみたい生理用アイテム、5選。

とにかく生理は憂鬱だ。

私はPMSがひどく、月のうち数日は全快で働けないことがある。関節痛やむくみといった身体面、抑うつや不安感といったメンタル面の症状によるものだ。

特にメンタルの症状では、「怠けているだけではないのか」「本当はもっとできるはずなのに」と自分を責めがちになる(「自己否定」もPMSの症状とされる)。

しかし、フェムテック市場の成長とともに、"生理"界には新しい風が吹いている。避けて通れないブルーな期間を、より快適に、体に優しく、楽しんで過ごせるようなプロダクトが次々と開発されているのだ。

かつて、クローズドで、ほの暗い印象があった生理の話。このnoteでは、そのイメージをリフレッシュするような、そして私自身がこれから使ってみたいと思うものを5つ、挙げてみたい。

【1】「K+1%」のランジェリー

2018年10 月にスタートした、女性用サニタリーランジェリーブランド「K+1%(ケープラスワンパーセント)」。ブランド名は、「アメの日も ハレの日も あなたのKireiとKawaiiに+1%する存在でありたい」というコンセプトから。

ディレクターは、歌手、インテリアコーディネーター、グラフィックデザイナー、そしてランジェリーブランドのスーパーバイザーなど、多彩な経歴を持つスド=キョ=コ

現在は、ショーツ(3,500円・税抜)、ブラジャー(4,500円・税抜)を、それぞれブラック、マスタード、スモーキーピンク、フォレストグリーン、ロイヤルブルー、フューシャピンクの計6色で展開している。

K+1%を選んだ理由は、デザインがあることだ。

ブランドページで触れられているように、サニタリーショーツは女性にとって「ま、いっか」的存在だった。デザインなんて二の次。とりあえず、おしりの上までギュッ!と締め付けてくれればいい。そんな"諦め"だった。

だからこそ、デザインという付加価値は大きい。その期間を消極的に過ごすのではなく、積極的に楽しみを発掘しよう、喜びに出会おうとするエネルギーを感じるからだ。

デザイン性の高いサニタリーランジェリーといえば、ベイクルーズが運営する「EMILY WEEK(エミリーウィーク)」も気になっているのだが、K+1%は、汚れが目立たないようクロッチに黒色を使用している(EMILY WEEKはショーツのカラーによって白色もある)。そのため、ここではK+1%をピックアップした。

K+1%のプロダクトは、オンラインで購入可能だ。

【2】「sisiFILLE」のサニタリーパッド

オーガニックコットンを使用したライフスタイル・プロダクト・ブランド「sisiFILLE(シシフィーユ)」。2015年11月にサニタリーパッドとライナーを発売し、現在はヘルスケアやスキンケア商品も展開している。

運営元は、オーガニックコットンの輸入・販売、日本国内での企画・製造・販売を行っているパノコトレーディング。同社の本田久美子さんが、「忙しい毎日を生きる現代の女性にこそ、自分をケアすることの大切さを感じてほしい」という思いからローンチした。ブランド名は、オーガニックコットンの産地のひとつであるタンザニアの「sisi(私たち)」という言葉と、フランス語の「FILLE(少女)」から名付けられた。

sisiFILLEを知ったきっかけは、ライフ&カルチャーコミュニティ「She is」の特集だ。

もともと、オーガニックのサニタリーパッドに興味があった。しかし、PMSや生理は"喉元過ぎれば熱さを忘れる"典型例のようなもので、結局近所のドラッグストアに駆け込み、いつものサニタリーパッドを購入していた。

しかし、特集を読んで、いかに自分のケアを怠っていたかを振り返ると同時に、sisiFILLEのコンセプトに共感した。同時に、生産地が故郷の香川県だと知り、なんだか運命的なものも感じた。

今は手始めに、ソフィの「はだおもいオーガニックコットン」を試している。PMSや生理痛が改善されたかといえば、そうではないのだが、なぜかドロッとした血の塊が出なくなった。それに伴い、不快感が若干軽減された。

ただし、産婦人科女医・宋 美玄さんによると、布ナプキンによって「子宮が温まる」「生理痛が軽減される」のは、医学的・生理学的には正しくないという。準じて、オーガニックコットンのサニタリーパッドも同じことだろう。血の塊が減ったのも、プラシーボ効果なのかもしれない。

ただ、それが自分を大切にするというケアの精神と繋がり、さらに不快感が軽減されるのであれば、勘違いだとしてもマイナスはないだろう。

サニタリーパッドは、ふつうの日用(24個入・600円・税抜)、多い日用(16個入・600円・税抜)、特に多い日用(10個入・650円・税抜)の3種類。多い日用のトライアルパック(3個入・200円・税抜)もある。すべてオンラインで購入可能だ。

【3】「Carmesi」のサニタリーパッド

2017年にインドでスタートした、サニタリーパッドのeコマースブランド「Carmesi(カルメシ)」。

社名を冠したサニタリーパッドは、抗菌性、吸収性、耐久性に優れた竹の繊維と、片栗粉でできている。ナチュラルな素材へのこだわりは、長年デリケートゾーンの発疹に苦しめられた創設者、タンヴィ・ジョリーさんの実体験によるものだ。

女性目線で作られたプロダクトには、現在、多くのファンがついている。Carmesiは、通常のサニタリーパッドの2~2.5倍の価格にもかかわらず、インド国内では7万人以上の女性が購入している。

Carmesiの特徴は、女性への労わりだけではない。環境への配慮も格別だ。

インドでは、毎年およそ9,000トン(約4億3,200万枚)のサニタリーパッドが廃棄されている。その多くは、適切に処理されず、埋め立てられ、土壌を汚染している。これは多くの発展途上国が抱える問題だ。

その点、Carmesiのサニタリーパッドは、微生物によって分解される天然成分を使用している。そのため、自然に戻っていくという利点がある。

このような特徴から、同社は約5,500万円のエンジェル投資を受け、Forbesなどのメディアでも取り上げられた。

生理用品は、まずは女性が自分自身を労わる視点からスタートするだろう。しかし、企業の長期的な成長を考えたときに、それがサステイナブルなプロダクトであるか、そして世界的なニーズや展開を見込めるかという点も見過ごせない。Carmesiはその点で画期的だ。

現時点ではインド国内でしか購入できないようだが、いずれ世界で展開するのではないかと予測している。ちなみに、サニタリーパッドは、レギュラーサイズとXLサイズがあり、それぞれ10個入(約375円)、30個入(約1,053円)、120個入(約3,766円)のボックスがある。サブスクリプションサービスを利用すると20%オフで購入できるのも魅力的だ。

【4】「calm」のコーディアルシロップ

2017年7月にスタートした、シロップアーティスト・高橋友香さんのブランド「calm(カーム)」。

コーディアルシロップとは、ハーブや旬のフルーツを使ったシロップのことだ。古くはイギリスの家庭で作られていたという。

高橋さんがシロップを作り始めたのは、ニューヨークのルームウェア・ブランド「SLEEPY JONES」のポップアップイベントがきっかけだったそうだ。クッキーを打診されたが、「シロップだったら自分でクリエイトできるという根拠のない自信みたいなもの」があり、試作品を提案。見事、快諾してくれたという。

その後、"心に力を与える"ことを目標に、コーディアルシロップを作り続けてきた。

コーディアルシロップには、テーマにそったハーブが使われている。例えば、Luscious daily(甘美な日々、毎日美しい)がテーマの「ルバーブ・シロップ」には、ローズやラベンダーなどの"愛にあふれる"ハーブ、Shine(希望の光)がテーマの「サンフラワー・シロップ」には、ひまわりやセントジョーンズワートなどの"元気が出る"ハーブをブレンドしている。

私はコーディアルシロップが好きだ。なぜなら、自分を"甘やかす"ことができるからだ。苦難を乗り越えたとき、コーディアルシロップのホットドリンクをテイクアウトして夜の街を歩くと、独りきりでも、誰かに甘やかされた気分になった。とろりとした美しいシロップは、物理的にも、精神的にも"甘い"ものだった。

ただ、当時はそれを女性特有の問題の解決策につなげることができなかった。前述のとおり、常に「これは怠けではないのか」という意識があったので、この問題においては自分を甘やかしてはいけないと感じていたからだ。

しかし、女性ホルモンの変動という不可抗力を前に、自分を甘やかす術を持っておくことはとても重要だ。もちろん、calmのシロップは生理に特化したものではないのだが、商品のテーマを知ると、つらい時期に、心の拠り所になってくれるのではないかと感じた。

高橋さんのコーディアルシロップは、1本あたり約3,000円。実店舗では、THE MOTT HOUSE TOKYOoniwaBROCANTEに置いている。また、Zarigani cafebuikでは、シロップを使ったドリンクが提供されている。

【5】排卵期予測アプリ「Clue Plus」

世界的に最も有名な生理トラッカーといえば、2013年にドイツのスタートアップ企業がローンチした「Clue(クルー)」だ。

科学者や大学と協力した論理的なアプローチが特徴で、「出血」「おりもの」「体温」「気分」「食欲」「SEX」など30項目をトラッキングし、記録・分析することができる。その機能性から、フェムテック=Clueのイメージを抱く方も多いはずだ。

私は、PMSに悩み始めた2016年12月に、Clueをダウンロードした。そこから約3ヵ月使用したのだが、このときは機能性の高さが仇となった。

とにかく、入力事項が多い。項目を絞ればいいのだが、心当たりがありすぎて、結局「あれもこれも入力しなければ」と思い始めてしまった。それが「あれもこれも入力できていない」「入力し忘れてしまった」という自己嫌悪に繋がり、Clueの利点を十分活用できていないという思いも相まって、結局やめてしまった。

その後、昔使っていた「ルナルナ」を再開。ただし、これもすぐに止めることになる。

今の私の優先事項は、PMSのプッシュ通知があること。それがないサービスは、ルナルナを含め、目的を果たせない(ルナルナにはさまざまなコースがあり、PMS通知もあるかもしれないが、Web上では確認できなかった)。

そして「Cube」を使い始めた。これは、2013年創設の日本企業Flask LLPが開発したアプリだ。とにかくシンプルで、360円を課金すればPMS通知機能をつけることができた。

Cubeにはとてもお世話になった。しかし、このアプリからも離れることに決めた。理由は生理不順だ。

CubeのPMS予測は、次の生理開始予定日から逆算して通知される。つまり、そもそもの予定日が異なると、PMSの時期も正しく予測できないということだ。

したがって、生理周期が安定している人であればおすすめだが、生理不順の女性には、なかなか難しいかもしれない。

日数を信頼できないとなれば、基礎体温をはじめ、日々の体調を細かく記録していくしかない。そして、そこから精度高く分析してくれるサービスを利用するしかない。

それができるのは「Clue」だ。

手間はかかるかもしれないが、それほど深刻な問題なのだと痛感した今、私は約3年ぶりにClueへ戻ることにした。

ちなみに、Clueは無料で利用できるが、今回は「Clue Plus」メンバーに登録した(月額980円、半年3,900円、年間5,900円から選択可)。より精度の高い分析を利用できるからだ。感想はまたnoteに記していきたいと思う。

以上が、今後使いたい生理アイテム5選だ。

フェムテック市場は今後も伸び続け、サービスも充実するだろう。個人的には、サニタリーパッドのサブスクリプションサービスを、Clueのようなアプリから利用できるようになればと思うし(今年2月、P&Gが生理用品サブスク企業「This is L」を買収したので、近いうちにサブスクサービスが登場・普及するだろう)、サニタリーパッドのバラエティパックがあれば選ぶ楽しみがもっと手軽になり、自分に合うものへの近道になると思っている。

専門機関へつなぐサービスも必要だろう。ユーザーと医師をつなぐ「ルナルナ メディコ」のようなサービスが普及し、導入施設が増え、利用しやすくなると嬉しい。メンタルケアも重要なので、不安を吐露できるカウンセリング機関も入っていると安心できるのではないか。

また、そもそもの性教育の必要性も感じている。生理の話がクローズドで、男性社会においてタブー視されている現状が変われば(もちろん常日頃から生理トークをしろというわけではないのだが)、夫婦・カップルの生活、職場などで、少しは安心して過ごせるのではないだろうか。マンガ「生理ちゃん」がヒットし、映画化された流れは、そのような女性の潜在意識の表れだと思っている。

何にせよ、生理を、女性であることを悲観せずに生きたい。そんな気持ちをサポートしてくれるアイテムやサービスを、これからも探していこうと思う。

▼参考文献
・omron「vol.181 イライラの原因は、もしかしたら『月経前症候群』
・DRESS「布ナプキンで『子宮が温まる』『生理痛が減る』は眉唾
・Forbes JAPAN「片栗粉と竹で作ったプレミアム生理用ナプキン『カルメシ』。インドで静かなブームに
・She is「スプーンひとさじで気持ちが変わる。コーディアルシロップのススメ
・J-WAVE「心に効くシロップって??【calm】が作るコーディアルシロップの魔法
・BeautyTech.jp「P&Gがオーガニック生理用品サブスク企業を買収、フェムテックに大企業も注目

Top Photo: ©To Van on Unsplash