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甲子園での闘い方を変えた事が阪神タイガースの優勝への道を照らす? 2015年ドラフトとパークファクターを中心に戦略を探る

日本プロ野球において、甲子園(阪神タイガースの本拠地)と神宮(東京ヤクルトスワローズの本拠地)は、それぞれ独特の特色を持つスタジアムとして知られています。
 過去数年の間、これらのスタジアムやその背後にあるチーム戦略が、どのようにチームの成績や選手のパフォーマンスに影響を与えてきたのか、特に2015年のドラフトを中心に探る試みを行います。そして、そこに隠された阪神タイガースの優勝の要因にも迫ります。 

1.甲子園と神宮の違い:

 甲子園と神宮はそのサイズに大きな違いがあり、神宮は甲子園の約3分の1の面積しかありません。

 ・この違いはホームランの出やすさにも影響しており、2008年から2023年までの期間で30本以上のホームランを打った選手は、阪神ではわずか1人なのに対し、ヤクルトでは16人もいます。
 ・基本的には上位3位を見てもヤクルトの方が阪神よりも高い傾向があるが、年によっては1位が圧倒的に高いが2位以降が阪神の1位以降と同格だったりする年があり、基本的には多くの選手が受けるものの、その影響を大きく受ける選手が限られるというケースが見受けられます。
 
 このような球場の特性を示す指標として「パークファクター」というものがあります。パークファクターは、各球場の得点環境を示す数値で、1より大きければ得点がしやすい球場、1より小さければ得点がしにくい球場となります。
 ・具体的に、2022年のパークファクターを見ると、甲子園は0.91、ヤクルトは1.14と、神宮がより得点がしやすい球場であることが示されています。仮に2008年から~2023年までにこの値を適応して計算する。全体平均は3.92だが、阪神は3.66である一方でヤクルトは4.29となっているが、パークファクターの補正をかけると阪神は4.02でヤクルトは3.81と平均に近い値となり阪神の方がヤクルトよりも失点をする結果になる。
 
 このように球場というのは選手の成績に大きく影響を及ぼし、甲子園は通常の球場以上に失点を防げる
 一方で神宮は通常の球場以上に得点を量産しやすいというわけである。

2.2015年のドラフトから変わった: 


 2015年のドラフトを境に、阪神タイガースの選手指名戦略が変わったことが窺えます。2009年から2014年までの6年間で打者を1位指名したのはたったの一回でしたが、2015年から2022年の間では5回と大幅に増えています。
 これとは対照的にヤクルトは、同じ期間で打者を1位指名した回数は変化が少なく、2009年から2014年は1回、2015年から2022年では2回です。

この戦略の変化が実を結び、現在のタイガースのラインアップには、OPSが8割を超える実力者として大山、佐藤、近元の3名が名を連ねています。
 これら3名はすべて2015年以降のドラフトで1位指名された選手たちであり、タイガースの打者中心のドラフト戦略の成功を物語っています。

3.阪神タイガースの優勝の要因:

 阪神タイガースの優勝への道のりには、ドラフトを通じての得点力の向上が大きな要因として挙げられます。

年度ごとのリーグ平均を基に、タイガースの得点・失点を標準化してみると以下のような傾向が見受けられます。


• 得点面でのパフォーマンスは、2011年を境に一時的に低下していました。特に2011年から2019年にかけては、2017年を除き、マイナスの傾向が続いていました。しかし、2020年を迎えるとその流れが変わり、2022年は一時的に下降したものの、2023年には0.98という、2008年から2023年までの期間で3番目に高いスコアと過去の10年11年に続いた値を示しています。

• 一方、失点に関しては、大混戦であった2015年だけがプラスの値を示した以外、優秀な記録を示しています。

対照的にヤクルトとの比較では:

• 得点は、2017年と2020年のみマイナスとなっており、特に2017年の山田哲人の不調や、2020年はバレンティンの退団や山田哲人の不調も相まって低い記録になっていました

• 失点は、2008年、2010年、2021年の3年を除いてマイナスの傾向が見られるものの、それ以外の年ではプラスの結果と失点が多い結果を示しています。

これらのデータから、阪神タイガースはドラフト戦略の成功により攻撃力を増強し、一方で一貫して優れた投手陣を維持してきたことが優勝への大きな要因として考えられます。ヤクルトとの比較を通じても、両球団の戦略の違いや、それに伴う得点・失点の傾向の違いが明確になることが確認できます。

4.独自データから考察する


順位と年度別

前々回のデータ(https://note.com/elffel/n/n5f4c8d506fef)の数字から投手の安定性は投手は3割と低めである。そのため、投手力を安定して戦わせるのは難しい。その事と照らし合わせて考えてみると両球団の特徴をこのようにみる事が出来る。

 甲子園は広い球場であるため、投手陣が不調であってもその影響は少ないため阪神タイガースは比較的安定した順位をキープしやすい。
 一方で神宮は狭い球場であるため投手が不調であるならばその影響は非常に大きく、ヤクルトは大きく負け越しやすいが、反対に球場が狭いため得点力が非常に高くなりやすいので通常でも高い打撃成績を有する選手が好調になると通常では出しづらい記録を出しやすくなるので高い得点力を有して優勝するまでに至る事がある。

 結論として、阪神タイガースはその本拠地である甲子園の特性と、変更されたドラフト戦略をうまく活用し、攻撃と守備のバランスを保ちながら成功を収めていることが伺えます。対照的にヤクルトは神宮の特性を活かした得点力を持ちながらも、投手陣の安定性が求められる状況となっています。

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