Jazz The New Chapter 5 あとがき / 執筆者一覧

《 Jazz The New Chapter 5 執筆者一覧 》

唐木元
・ウォリーズ・カフェ ―〈登竜門〉として機能し続ける老舗ジャズ・クラブ

小室敬幸
・対置されるべきでない〈親類〉として考察するクラシックとジャズの関係
・ブラッド・メルドーを起点に考えるジャズとバッハ

原雅明
・〈生演奏を含むヒップホップ〉の可能性を示したDJクイックの先進性

細田成嗣
・インタビュー Kris Davis
・現代のジャズ・アヴァンギャルドに映るアンソニー・ブラクストンの巨大な影

本間翔悟
・ジャズ・リスナーのためのLAヒップホップ入門
・密接な交流を続けてきたLAのジャズとヒップホップ
・インタビュー Sly5thAve

宮川雄気
・デザイナー、ローランド・ルフォックス・ニコルの横顔

八木皓平
・ラフィーク・バーティア「Breaking English」が見せた劇的進化

ディスクレビュー執筆者一覧

神谷ハヤト
高橋アフィ
花木 洸
松林弘樹
山本勇樹
吉田ヨウヘイ

柳樂光隆
・上記以外全て

《 Jazz The New Chapter 5 企画協力一覧 》

本間翔悟
・inside and alongside the L.A. Jazz Scene
 西海岸ヒップホップとジャズ——LAシーンの背景

小室敬幸
・What Is Jazz?feat. Americana ,Classical Music etc.
 現代の状況から遡って考える ジャズって何?

神谷ハヤト ※、花木 洸松林弘樹宮川雄気
・ディスクレビュー選盤協力

(敬称略 | ※はJTNC初執筆)

《 あとがき 》

『Jazz The New Chapter 5』(以下JTNC5)は前書きにも書きましたが、僕の積年の疑問から始まっています。結果的に、自分なりにそれに少しは答えられるものになったと思っています。

例えば、サックス特集は90年代以降~現在のジャズを把握するための入門編のような特集ですが、あそこで彼らが語っている「サックスという楽器を通して行っている表現のこと」は、他のジャンルでも起きている何らかの事象とも繋がっていると思います。

この本は、ジャズという言葉がタイトルに冠してありますが、ジャズだけでなく、今、世界中で起きている音楽の革新のことを知るためのヒントになればと思っています。

個人的にはこの本を作っていた1年はジャズ以外だと

Bjork『Utopia』
Nai Palm『Needle Paw』
Moses Sumny『Aromanticism』
Meshell Ndegeocello『Ventriloquism』
Goro Ito Ensemble『Architect Jobim』
Ryuichi Sakamoto『async』
Frank Ocean『blonde』
Solange『A Seat at the Table』
O.S.T.『Lady Bird』

あたりを聴いていました。

この辺りは、たぶん「ジャズとは何か?」を考えた特集と密接に繋がっていると思います。

よかったら併せて聴いてみてください。

ここからは論考を書いてくれた人について。

ここではすべてこの本のコンセプトに沿った文章を書いてもらっています。そうじゃない原稿が来る時もありましたが、ここ最近はほとんどないです。みなさん『JTNC』を読んで理解してそれに合わせたうえで、その範囲の中で自分らしく書いてくれていて、とてもありがたいです。『JTNC』『Miles Reimagined』『100年のジャズを聴く』と積み重ねてきたことで、共有されているものがある気がしています。

『JTNC 1』から全号で論考を書いていただいている原雅明さんとは特に打ち合わせをしたわけでもなく、特集の概要を伝えただけですが、あの原稿が来ました。僕が求めていたものと、僕の想像を超えるものと、その両方を併せ持った原稿が来る、それは『JTNC 1』のころから、毎度のことです。ライターかくあるべしって感じです。

八木皓平に関しては、どうやら八木がラフィーク・バーティアについて、どこにも書いていないとわかったから。そもそも僕自身が八木があのアルバムをどう聴いたのか読みたいと思ったから。なので、僕が書く予定だった1ページを空けました。

唐木元さんはわざわざボストンまでこのために行ってくれてウォリーズの謎を解明してくれました。唐木さんはJTNC現地駐在員的に、ボストン~NYでの状況を体感しつつ、リアリティーを持って書いてくれてます。ただの留学生やミュージシャンではなく、ジャズ以外の音楽のことを分かったうえで書いてくれて、しかも現地にいる人の希少さよ…
そういえば、『Rolling Stone JAPAN  vol.03』に『JTNC 5』の原稿と対になる記事を書いてるそうなので、ぜひ併せて読んでみてください。

あと、本間翔悟。彼はJTNCの編集協力をずっとやっていて、この本がやりたいことを誰よりも的確に把握しています。本間は『JTNC 4』でもフィラデルフィア特集で論考を書いていて、今回含めると既にかなりの分量を執筆済み。で、今回のLA特集では半分以上が彼の仕事。実は僕がこの本を作るときに、ジャズと他ジャンルの両方のリテラシーがあるライターを探しているんですが、なかなかいません。今のところ本間は、ヒップホップ/R&Bとジャズの両方いける数少ない存在。しかも、新譜から旧譜まで行ける。だから、『100年のジャズを聴く』の企画と編集も任せました。ここでもそのまま任せてます。

細田成嗣くんとは何となく話していて、「この本でなんか書けることある?」って聞いたら、アンソニー・ブラクストン系譜の流れの話をしてくれたので、だったらここにもハマるよねと任せました。僕はフリージャズを取り上げたかったのではなく、現代のジャズを紐解くのに重要な部分だと思ったから、あの記事をお願いしました。あとは、細田くんが長い記事を任せてみたいくらいライターとして伸びていると感じたからです。

ディスクレビューを書いてくれた神谷ハヤト高橋アフィ花木洸松林弘樹山本勇樹吉田ヨウヘイにも感謝を。
ジャンルが入り混じっていて、言語化が難しい音楽について、書いてくれて助かりました。特に(たしか30本くらい書いた)僕と並んで膨大な数を書いた神谷くん、花木はお世話になりました。

それから、今回は初めて寄稿してくれた方が何人かいました。

宮川雄気くんは以前から会うとよくデザインと音楽の関係の話をよくしていて、彼が自身のブログに書いていた原稿( ECMとデザインの話 )がすごく良かったのもあり、論考とインタビューの間のような原稿を4ページでお願いしました。

『JTNC』でデザインに関することはやりたいと思っていたけど、納得する文脈が見つからず、ずっと棚上げしていたんですが、宮川くんと出会ったことで彼に相談したら、すぐに案を出してくれて、それがそのまま形になりました。その後、REVIVE MUSICのボスのメーガン・スタービレイがたまたま来日し、いろんな経緯があり彼女に初めて会うことができて、そのままインタビューすることになり、『Jazz The New Chapter』の元ネタといってもいいサイトREVIVE MUSICのことをリスペクトも込めて、満足するボリュームと内容で紹介することに繋がりました。その後、彼がマカヤ・マクレイヴンのシークレットな来日公演のポスターを作ってくれたりして、マカヤを一緒に迎えたりもできました。全ては偶然の積み重ねで、行き当たりばったりですが、僕の本は基本的にすべてそんな感じで、人との出会いから始まります。

また、今回の『JTNC 5』では、原稿のみならず、インタビューでもクラシック音楽に関する発言が多く、自分だけでは難しい部分もかなりありました。
知識の足りない僕を様々な形で助けてくれたクラシック音楽の専門家の小室敬幸くんにはめちゃくちゃ感謝してますし、彼無くしてはこの本のディテールは整わず、きちんと形にならなかったと思います。

ここでどうしても紹介したいエピソードをひとつ。
小室くんに僕が担当したカマシ・ワシントンのインタビューのテキストを送ったら、音源も欲しいというので送ったところ、カマシがプロコフィエフの『ロミオとジュリエット』をハミングしている部分を聴いて、

「(カマシが歌ってたのは)ロメジュリのなかのティボルトの死(タイボルトの死)という曲の後半部分でした(結構有名なところです)。これの6:58ぐらいからですね。親友を殺されて復讐しようと決闘しているシーンです。」

とメールをくれて、「ハミングわかんのか、専門家って尋常じゃねーな…」とビビりました。自分がジャズに関して、ここまで役に立ててるのかなと背筋が伸びたやりとでした。

ちなみに小室くんはクラシック音楽の専門家なのに学生時代にマイルス・デイヴィスについて論文を書いているほどのジャズ好きで、僕が『Miles Reimagined』を出した後に面識ないのに突然「ぜひお会いしたいです」的なメールをくれて、なんとなくいい予感がしたので、会ってお茶しながらマイルス話をして以来の付き合いです。

これも辿ればグラスパーが『Milesahead』の音楽を担当したことが全ての始まりで、「柳樂くん、マイルスの本作らない?そろそろ過去のジャズについても一冊作るのもいい気がして」と声をかけてくれた『JTNC5』の編集者の荒野さんの誘いがきっかけとも言えます。

さらに言うと、『Miles Reimagined』の時に、挾間美帆がギル・エヴァンスを解説するインタビューをやってから、「次はジャズとクラシックとの関係も整理してみたいな」と思ったというのもあります。

この『JTNC 5』は、ある意味で『JTNC 3.5』とも言える『Miles Reimagined』の延長にあるもので、あそこで出てきた疑問を回収するための本なのかもしれません。

もし『Miles Reimagined』を持っていたら、僕が書いた「再考:ジャズ/マイルスとヒップホップ」を読んでから『JTNC 5』のケイシー・ベンジャミンやマカヤ・マクレイヴンのインタビューを読んでみてください。そこには明確な繋がりがあるはずです。

書きながら気づきましたが、僕が『JTNC 4』~『100年のジャズを聴く』~『JTNC 5』でやってきたことは、小室くんが書いた『Miles Reimagined』の書評《2016年のマイルス・デイヴィス~「Jazz The New Chapter」と「ジャズ史」を通して眺め返す~》へのアンサーになっているとも言えるかもしれません。

恐らく僕の仕事は『JTNC 1』からずっと切れ目なくなんとなーく繋がっていて、この『JTNC 5』は2018年時点の経過報告のようなものなのかもしれません。

PS
『Jazz The New Chapter』は、新譜もしくは新譜に準ずる作品を出しているアーティストを取り上げていますが、記事ページを売る形で、新譜や来日公演の宣伝のための広告費をもらって、広告主が望む記事を作る広告モデルでの制作方法はとっていません。

僕らが大きく取り上げたいアーティストを扱っているレーベルや企業に「広告どうですか?」と聞くだけで、広告費が出ても出なくても内容は変わりません。逆に「広告費を出すから扱ってほしい」と言われても、本の論旨上、扱えないアーティストに関してはお断りしています。必然的に広告費はほとんど入ってきません。(※本に広告が載っているからといって、広告費をいただいているわけではありません。)

なので、この本はムックですが広告費はほとんど入ってきていません。ほぼ読者の方にお買い上げいただいた分、つまりほぼ本の実売だけで回しています。

そんな広告費を出しても出さなくても変わらない状況の中でサポートいただいたレーベルには感謝しています。

そして、お買い上げいただいた読者の皆様には最大限の感謝をしています。

どちらも僕らの活動に対するドネーションみたいなものだと思っています。

いただいた分は、この本で足りたら理想ですし、足りない分は次の『Jazz The New Chapter 6』でお返ししたいと思っています。

引き続き、サポートよろしくお願いします。

Jazz The New Chapter 監修者 柳樂光隆

※この後、テキストは何も書いてませんが、このテキストに100円の価値があると思ったら、投げ銭をお願いします。JTNCの制作費にします。

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柳樂光隆

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