BADBADNOTGOOD『Ⅳ』が夏にぴったりだし、素晴らしいこと

BADBADNOTGOODの今年出たアルバム『Ⅳ』が夏にぴったり過ぎて、いい感じなんだけど、僕の周りではそんなに話題になってない感じするのちょい残念。

ここで全曲試聴可➡https://badbadnotgoodil.bandcamp.com/album/iv

個人的に夏って妙にノスタルジックな気分になったりするんだけど、そういう気持ちを喚起させてくれるいいアルバムが来たって感じ。タイトル曲の「Ⅳ」とかにあるレアグルーヴ感の懐かしさとかを聴くと「あーMAINSTREAMとかから出てるこういうエレピ物のスピリチュアルなやつよく買ってたな」みたいな感じでグッとくるのよね。

こういうスピリチャルでちょっとファンクっぽさもあるジャズロックみたいなのやってるクラブジャズ系のバンドっていたことはいたと思うけど、大抵ダサいし、賞味期限も激短いんだけど、BBNGはやっぱりセンスいいから、そんなことにはならなそう。「今、やったらダサいこと」は一つもやってないし、すぐには古びないだろうなってバランス感がある。 すごいな。まぁ、これは踊らせるために作ってないってことも大きいとは思うけど。やはり「ダンスに縛られないこと」=「リズムが自由になること」=「上ものの可能性も広がること」も今の大きなキーワードだな。クラブジャズや生演奏レアグルーヴバンドとの違うは完全にそこ。

しかし、BBNGの今作はずいぶんレアグルーヴ感があるというか、とはいえ、レアグルーヴのトレースでもない。個人的にはマッドリブの元ネタをアップデートしている感みたいな印象かな。「Structure No. 3」とかそんな感じ。これサンプリングしたくなる人多いんじゃないかしら。MUROさんとかにうまくプレイしてもらったらめっちゃかっこよくなりそう。

今っぽさと(レアグルーヴ的な)懐かしさが同居してて、時代感がわからなくなるのがいい。BBNGは決して演奏が上手いタイプのバンドじゃないんだけど、この「フィーリングの塩梅のジャスト具合」が群を抜いている。ここまでのセンスをもったバンドは過去にいないだろうな。

そう言うの考えてると、やっぱマッドリブっぽいんだよなぁ。Yesterdays New Quintetのセンスと感覚をバンドメンバー全員が共有しているみたいなイメージ。共有できるプレイヤーが揃っているってことは簡単そうで、意外とスペシャルなことなんだよな。圧倒的に今っぽいけど、ふっと旧譜聴いているような気になる瞬間ある。

これのどこが素晴らしいのかを言葉にするの難しいけど、なんとなく感じるのはクリシェの使い方が上手いし、的確。すげーレアグルーヴとか詳しいのかなぁ。ジャズのクリシェを使った意匠というか、ジャズっぽさを効果的に聴かせるデザインがすごいなぁ

BBNGの新作『Ⅳ』の良さの鍵は、サンプリング感覚というよりはインスパイアに近いくらいリズムとかフレーズとかのディテールをアジャストしているのに、必要なフィーリングだけは完璧に寸分違わず残しているところなのかな。鍵は残し方かもなぁ。そして、それを「バンド」でやれることはスペシャルなことだ。そして、それを「技術」というよりは「センス」と「アイデア」で成し遂げて、世界の市場で評価されていることは日本人のプレイヤーにとってはとても夢がある話だし、参考になるのではなかろうか。

これ、すげーいいアルバムだから、もっともっと聴かれてほしいなぁ。

CD出てます。要チェック!➡ http://www.beatink.com/Labels/Beat-Records/BBNG/BRIL2034/

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柳樂光隆

柳樂光隆の音楽評論

柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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