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コリン・ステットソン @ Super Deluxe 2018.03

コリン・ステットソン( COLIN STETSON http://www.colinstetson.com/ ) @ スーパーデラックス 観てきました。

コリン・ステットソンはボン・イヴェール、バッドバッドノットグッド、ヨハン・ヨハンソン、アニマル・コレクティブ、LCDサウンドシステム、アーケイド・ファイア、トム・ウェイツなどなど、様々なジャンルで引っ張りだこのサックス奏者。
自身のリーダー作も多数発表していて、単音楽器であるはずのサックスのソロなのに、全くサックスソロには思えない様々な音が同時に、しかも立体的に鳴っている摩訶不思議なサウンドを生み出す奇才でもある。
Apple Music https://itunes.apple.com/jp/artist/colin-stetson/204463551
Spotify https://open.spotify.com/artist/4G6HhUUQ1LgyYnA2WJppf8

いやー、すごかった。

目の前には管楽器と屈強な男ひとりなのに、腹にくる低音がズーンと飛んできたと思ったら、ビートとベースとフレーズと謎の響きの間からサックスの音が聴こえる🎷 あれ、音がたくさん鳴ってる…でも、目の前には一人しかいない。楽器も一つしか持ってない。

見てるとコリンの指や口元や喉の動きがどれかの音と全てリンクしていて、明らかに今鳴っているこの音は、目の前にいる人がひとりで奏でているということだけはわかる。

全てその場でコリンとサックスのみで出されてる音なのは間違いないけど、理屈が全く分からない。しかも、すげー音量で音色でテクスチャーで、サウンドも立体的。その音の凄さと音の不思議さとで頭が混乱したままライブが進む。こういう体験は初めてだ。ライブ前はコリン・ステットソンがリリースしている録音物とは別のフレージングを楽しむタイプのインプロ的なライブなのかなとか軽い気持ちで考えていたら、録音物をはるかに凌ぐ驚きのサウンドの連続。ホントに心の底から驚きました…🎷

ちなみにボリュームペダルとかルーパーとかサンプラーは一切無し。足元にはそういった類のものは一切ない。ただただひとつの管楽器のマウスピースを口で咥えて指を動かして鳴らしているだけだ。

終演後、楽器に近寄ると、一つの楽器からおびただしい数のコードが出ていることが分かった。あと、サックスの様々な部分にピックアップみたいなのが貼ってあって、それがコードと繋がっている。どうやら、息を吹き込んで出した楽音以外の指で押した時のガチャガチャ音などもピックアップで拾って、更にそれの音を拡大して音色を変えたりしてリズムにしてたぽい。つまりサックスの可動部の様々なところから出るノイズ的な物音を楽音に変換していた、ということなのだろう。

こうなってくると、もはやサックスではなく、新しい楽器の発明ってことなのだろうな…

演奏終わってからサックスのストラップ以外に、首に巻いてあった謎の黒い帯状のもの外して、椅子の上の置いてたけど、それにもコードが付いていた。どうやら身体に貼り付けて直接、喉の音を拾ってたぽい…変な音のどれかは喉の響きってことか、マジか… アイデアがいちいち面白すぎるし、想像を超えている。演奏後に見て分かったことはこのくらいで、おそらく僕にはわからんことが他にもなんかあるんだろなと…

とはいえ、それらは曲芸になっていないのがすごいところで。
そういったアイデアが全て《曲》に結びついてて、尖ったところやストレンジなところはありつつも《楽曲》だったところが本当に美しかった。手段が目的化してないし、聴き手がヴィジョンを共有できるフォームのためにその手段が奉仕してた。だから面白さもありつつ美しかった。最高のパフォーマンスだ。

コリン・ステットソンがボンイヴェールとかトム・ウェイツとか幅広い場所で起用される理由がよくわかった。それはきっと音楽が求めることを吹けるからなんだろなと思う。超個性的で圧倒されたけど、どこかフレンドリーで、不思議な慎ましさがあったのはその辺からかなとも思った。
ここ最近の中でもとても刺激になったライブだったと思う。

日本をエンジョイされてるようで何よりです。


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