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【雑記】蓮實さんの言葉を聞いて思ったこと - テキストがテキストを引き寄せていく~音が音を引き寄せていく


▼「会見前から怒り狂った」 蓮實重彦さん一問一答http://www.asahi.com/articles/ASJ6M3V6FJ6MULZU001.html

『伯爵夫人』が三島賞を受賞したときのこの会見で蓮實さんが言っていた

「ひとつのテクストが次のテクストを引き寄せるようになってくれれば、と考えていました~作者の意図というようなものはなくして、言葉が言葉を生み出していくという部分に賭けてみようと」

という部分を見た時に、ぼんやりとこれはジャズのソロ・インプロヴィゼーションみたいだなと思った。

自分が出した音に対して自ら反応して音を紡ぎながら、たった一人でセッションを行っているような感じという方が近いのかもしれない。少なくともフリーインプロヴィゼーションではない。

音的には、僕が思い浮かべたのは、アーロン・パークスがECMからリリースしたソロピアノ『arborescence』のようなものだったかもしれない。

自分の中にあるものを引き出していくような即興演奏ではなくて、自分が出した音としての「結果」が必然として次のプロセスを結果を生んでいくようなことの連続として楽曲が出来上がっていくもの。最初の音が次の音を引き寄せることの連続として、音楽が生まれていくと言ってもいいか。元々作曲されたものではなくて、その場で出来上がっているので、一見、偶然の産物のようでありながらも、その音の連なりには何らかのルールや法則があり、つまり出来上がった楽曲は結果的になんらかの因果の中にあるような、そんなコンポーズの仕方のように蓮實重彦はあの小説を書いたのかなと音楽に置き換えながら、想像していた。

以前、丈青さんがソロ・ピアノ・アルバム『I See You While Playing The Piano』を出した時にインタビューしたんだけど、その時に「このアルバムでの演奏は、自分が出したひとつ前の音の伴奏をしているみたいな演奏ですね。」というような話になった。不思議な表現だが、僕にはそう聴こえた。

ちなみに蓮實さんは若い頃にジャズをかなり聞いておられたから、実はけっこう詳しいんだと瀬川昌久さんが仰っていた。蓮實さんが語るジャズの話を聞いてみたいもんだなと思った。

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