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ムーンチャイルドの初来日公演が素晴らしくて、彼らの音楽性がよくわかったこと

ムーンチャイルドのライブが本当に素晴らしかった件。

ムーンチャイルドはボーカル、シンセ、シンセベース、ドラムの4人。ドラム以外の3人はそれぞれサックスもしくはトランペットを吹くという特殊編成。ドラマーは無論良かったけど、それより他3人のコンビネーションが魅力かも。

シンセベースなので、左手でベースライン。空いた右手が自由になる。シンセの両手と合わせて、3本の手を使って重ねる音色の豊かさが肝かなと。プラス、時にベースラインを弾かない時の左手も加わる。完全にリズムよりハーモニーが魅力の音楽かなと。

ボーカルはソウルぽさが全くなくて、声も張らないでアタックのない空気が抜ける発声。どちらというと歌を聴かせるというよりは、バックのサウンドと溶け合わせる目的感。でも、あくまでも詞は聞こえる歌としても機能も果たしてて、とても気持ちがいい。

そこに時折、誰かがホーンを入れたりして、上物の気持ちよさで空間を包む。4人でやってて音数は多くないのに常に適度に厚みがある。この気持ち良さは何かなと思ったら、キングに近いかもと思った。あれもコーラスとシンセで、シンセベースが効いてる。

前にジェイコブ・コリアーを見た時にもこれはこれはいろいろすごいけど、特筆すべきはハーモナイザー使った1人多重コーラスのハーモニーの気持ち良さじゃないかと。ここ最近、リズムよりもそっちに惹かれる音が多い。個人的にはイベイーもそっち側。

とはいえ、ロバート・グラスパーもあの柔らかなハーモニー感覚がリズムゴリゴリの音楽をまろやかでメロウで豊かでリッチにしていた。ネオソウルの人がホーンセクションを入れるところをあそこはKCベンジャミンのシンセ/ヴォコーダーとの2人でやっちゃうのすごさ。

という意味で、ムーンチャイルドは今風の生演奏ヒップホップ感がドラムにありつつ、豊かなハーモニーの感覚もある。これで思ったのは5とか7とかで割るリズムはいろんな上物に会うんだなと。汎用性を改めて感じた。普通のファンクではこうはいかない。

ムーンチャイルドは個々の要素だけを取り出すとハイエイタス・カイヨーテとは一見似たようなやり方に見えるけど、全く違うフォーカスの仕方で別の個性を見出してる気がしてる。とても良かった。あと、これは日本のバンドにも参考になりそうとも思った。

あと言うまでもないが、シンセベースの重要性は高まっている。音色の良さもあるけど、それだけじゃなくて、生演奏にこだわるライブバンドにとって可能性を広げる楽器になりつつありそう。スティービー・ワンダーの音楽がまた新しい意味を持ちそな予感。

ちなみにエリカ・バドゥ〈アップルツリー〉のカバーも良かったけど、アレサ・フランクリン〈デイドリーミング〉のカバーしてて、これが素晴らしかった。どちらかというとアレサのオリジナルよりはポップでスウィートでメロウでちょっとリズムが効いてるジョセリン・ブラウン版、つまりアリワ=ラバーズロック感があったのもセンス良すぎた。この辺はNYにはないセンスかも。UKに近いLA感。気が利いてる。

ライブ見て、CDよりも良すぎて、一発でファンになってしまった。フェスとかに呼ぶといいと思います。緩めにチルれるし、ちょっと踊りたいみたいな時間帯とかにぴったりのバンド。いそうでいないと思います。

※ムーンチャイルドの今のところの最新作はこちらです。
Please Rewind | Moonchild https://t.co/MUqxPXWDAS

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