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ELLE⭐️⭐️⭐️⭐️(5最高)

「恥なんて感情で私たちは止められない」

あらすじ

「氷の微笑」のポール・バーホーベン監督が「ピアニスト」のイザベル・ユペールを主演に迎え、「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」の原作者フィリップ・ディジャンの小説「oh...」を実写映画化したエロティックサスペンス。ゲーム会社のCEOを務める女性ミシェルは、ある日突然、自宅に侵入してきた覆面男に襲われてしまう。何事もなかったかのように今まで通りの生活を送ろうとするミシェルだったが、襲われた時の記憶がフラッシュバックするようになっていく。犯人が身近にいることに気づいたミシェルはその正体を突き止めようとするが、自分自身に潜んでいた欲望や衝動に突き動かされて思わぬ行動に出る。

感想

エロくて生々しくてフランス映画らしさ全開の映画。イザベルユペールの色気が半端無い……。究極の美魔女だよホント。ハリウッドで出来ないからフランスで作ったらしいけどそれも納得の映画。

ミシェルは絶対に自分を被害者にはしない。必ず加害者になる。自分と関わった男たちには必ず何かしらの辱しめを受けさせている。自分の女性としての魅力、色気、性的魅力を武器に男たちを引き付け、その罠にかかった獲物には必ず辱しめを受けさせる。

ゲーム会社でミシェルをレイプするかのようなゲームを作った社員:首にされたくないなら局部を出せと命令。

友人の夫:SEX中マグロになり死んだように行為を行う。そして、最終的には友人に自分との不倫をばらす。

隣人の夫(レイプ犯):彼を受け入れるも、レイププレイじゃないとできないため、行為中に「ほら、どうぞご自由に」と挑発。最終的には息子に撲殺される(意図的なのか、偶発的なのかは不明)。

ミシェルはSEXを武器に、そして罠にして男たちを成敗していくヒーローなのだ。

恐らく、父親がレイプ犯であることへの憎しみから彼女はできているのだろう。父親は女性をレイプした男であり、自分の人生を生きずらくした男である。父親への憎しみが男への憎しみに変わったのだ。ミシェルは絶対に男には屈しない。どんなに辱しめられても、私はそれごときでは止められない。ミシェルは必ず復讐する。まさに「恥なんて勘定で止められない」女なのだ。

しかし、母が死に、父が死にミシェルは変わっていく。ミシェルのしていることは一種の父親がやってしまった事への罪滅ぼしだったのかもしれない。家族としての責任を感じていたのかもしれない。しかし、父親が死んだことでそんな感情を持つ必要はなくなった。だから、ミシェルは自分に正直になろうと周囲の人たちへ嘘をつくことをやめた。友人に不倫をばらし、レイプ犯とも関係を切ろうとした。彼女は本当に自由になったのかもしれない。

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映画では世間的にはかわいそうだと哀れの目で見られるような女性が多く登場する。レイプされた女、結婚相手とは違う男との間にできた子供を育てる女、夫に不倫されてしまった女。しかし、彼らはみな強い。みんなは哀れみの目で見るかもしれないが、それぐらいじゃあ私の尊厳は傷つけられないし、私はそれぐらいでへこたれる女じゃないのよ!!といった感じに見える。なぜなら、最終的には、映画に登場する女性はみな笑顔だからだ。その一方で男はみな散々な結果。男なんかよりも女は強いのだ。

かなり歪曲的だが、すばらしい女性賛美の映画だと思う。

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映画ではレイプ犯・パトリックを通してローマ・カトリック教会へのアンチテーゼも込められているパトリックはもちろん児童へ性的虐待をあたえた聖職者のメタファーだが、パトリックの妻・レベッカは教会の上層部を表している。映画のラストの会話の中で、実はレベッカはパトリックの性癖とミシェルとの関係を知っていたことが匂わされます。それはまさしく聖職者の児童虐待を知りながら口をつぐんでいた教会の人々のメタファーとなっている。まあ、妻があれだけ敬虔なクリスチャンだと夫も欲求不満になるだろうなー。だから妻もはけ口として不倫を容認していたのか。詳しくはスポットライトを見ないとね。

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