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【雑感日記】 「おかしな日本語(14)」

 今日紹介する言葉もついつい使ってしまう表現の1つです。まずは例文をご覧ください。

ジャガイモを一口大に切ったらフライパンで焼き色をつけてあげてください。
このどら焼き、お母様に食べさせてあげてください。

 一見とても丁寧な表現にように聞こえてきます。ところがよく考えてみるとおかしい事に気づくかも知れません。正解を先に書きましょう

ジャガイモを一口大に切ったらフライパンで焼き色をつけましょう
このどら焼き、お母様にどうぞ。

 上の文章、食材には人格はありませんのでなにかをしてあげるという表現はそもそも間違いです。その上「あげてください」というのは上から目線の表現でもあります。ジャガイモに対して上から目線の表現はそもそもおかしなものでもあります。

お料理

 ジャガイモならまだしも下の文章では「お母様」と丁寧に言っているのにもかかわらず食べ「させる」(使役表現)に「あげてください」という上から目線で実はとても無礼な表現でもあります。相手の母親に食べてもらいたいのであればここは勧める表現でもある「どうぞ」で片付けた方がすっきりしていますし、上から目線でもないと思います。

 これらの表現には2つの要因があると思います。まずはそもそも丁寧な表現に馴れていないこと。言葉に迷うととにかく此なら丁寧だろうと思える表現を使いがちです。そして人に動作を提案する際に失礼にならないように「してあげる」という言葉を使ってしまうことです。なのでこのパターンで多いのは「あげてください」という丁寧な口調になります。ところがこの表現自体がそもそも間違いで、自分はそのつもりは全くなくとも受け取る側から見れば上から目線で見下された表現と変わります。

 自分ではなんとも感じていない表現でも、受け取る側には不快に感じる言葉というものがあります。これまでこのような言葉を使っていたと言う人は今後ちょっと意識してみてはいかがでしょう。人でなく物に使うのならまだしも、人に使う場合には慎重になれるといいですね■


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