全日本模型ホビーショー・ミニカー関連のレポート! MINI GT編

MINI GT編

さて、MINI GTを含むTSM(トゥルースケールミニチュア)のカーモデルを主に扱うサンリッチジャパンさん。『miniCAR GRAPHIC』をお渡ししたら、「TSM本社の社長がこの本の事を探していました」とおっしゃっていました。ビックリ恐縮嬉しいな!営業部長さんとは、以前に何度か面識があり、今回は色々と裏事情をお聞きすることができました。

・TSMの拠点って結局どこなの?

TSMの拠点について、公式サイト(英語)では「香港」と書いてある一方、書籍(モデルカーズ等)では「アメリカに拠点を置く」と記載されています。
これがどういうことなのか、という話を聞いてみました。
① 社長は、今アメリカにいる。
② 世界流通の拠点は、香港にある。
つまり会社としての拠点=アメリカ、商品流通の拠点=香港、という事だそうです。日本に来る商品は基本的に香港からコンテナで運ばれてくるそうです。以前、ミニカーショップの店長さんから、MINI GTは中国の方が日本より発売早くて、ヨーロッパは発売が遅いみたいな噂を聞いたけど、そういう事情なんですね。

・リバティーウォークのモデルが多い理由

もともとTSM社長がリバティーウォーク(LBWK)の社長と仲良しだから、コネクションが強いそうです。新作のスキャンとかもいち早く頼めるらしい!GT-Rは安定した人気で、最近はウラカンも注目度高いみたいです。

・ぶっちゃけ、日本で売れてるモデルは?

圧倒的に日本車!特にチューニングカー系の受注はスピードが速いそう。LBWKのGT-Rは安定した人気で、新モデルが出るたびにしっかり売れるとの事。ただ、一方でポルシェなど、初回予約受注こそ少ないけど、店頭でコンスタントに売れて再出荷になるモデルもあるらしいです。「最初はスルーしてたけど、店頭で見たら欲しくなって買っちゃう」という需要も多いみたい。

・MINI GT「◯◯限定」の本当のところ

「中国限定」「北米限定」と書いてあるけど日本でも買える(けどちょっと高い)MINI GTの闇!?聞いていいのかビクビクしつつ聞いてみると……
「〇〇限定というのは、日本語訳するとどうしてもそうなってしまうのですが……」
どうやら「exclusive」という単語の持つ微妙なニュアンスが、日本語訳の時に「限定」と訳さざるを得なかったという事情があるみたい。
ではMINI GTにおける「exclusive model」とは何か?というと、「〇〇が主導で企画した」という意味合いだそう。
通常の商品は、
① アメリカ本社が企画⇒工場が生産⇒香港の流通拠点から世界各国の代理店へ
という流れなのですが、exclusiveの場合は、
② 各国の拠点が企画⇒本社がゴーサイン⇒各拠点の希望する発売日に全世界で一斉発売
という流れ。
つまり、トップダウンの商品企画と、ボトムアップの商品企画が混在してるんですね。これにより、本社だけでは拾い上げられない、各国のニーズを的確に吸い上げているのでしょう。また、流通の問題で国によって発売が遅れる(船の輸送期間とか)のを避け、発売国のベストなタイミングで発売できるそうです(旧正月に、新年を祝う干支モデルを中国で出せる、とか、クリスマス前にベントレーを出せるとか)。
ただ、通常とは違う流通になるため、価格も少し上がってしまうとの事でした。なるほど~!

・日本はドリフト推し!

という事で、日本限定はサンリッチジャパンさんが企画しており、中でもD1推し!
実は代理店の規模では、宣伝にあまり力を入れられないという事情があり、「会場の物販にブリスターで商品を並べる事で、普段ミニカーを買わない層にも訴求できる」というのも見込んでいるとの事でした。ただ、一方でD1車両は車両による造形の違いが大きく、ぶっちゃけ一つの金型でカラバリの使いまわしがあまりきかない⇒採算が難しい、という事情もあるそうで、そのあたりは車種選定に苦労されているようです。
ただ、やはりドリフト人気は世界共通という訳で、この日本発の商品は北米でも大好評だそう。今後も日本発のドリフト競技車両が(LBWKシルビアはフォーミュラドリフトなので本社企画のようですが)、どんどん出てくるのを期待しています。

・スーパーGT、GT500クラス商品化のハードル

今回のラインナップで、やはり注目が集まったのはスーパーGT車両の登場でしょう。新型Zセーフティーカーがラインナップされていた一方、GT500のサンプルがGT-Rだったので、「あれ、こっちはZじゃないんだ?」と少し不思議に思っていました。
これも開発の事情があり、「GT500クラスの車両は機密が多く、シーズン中に車両データを取らせてもらうのは難しい」とのことでした。ミニカー用に計測した車両の細かいデータが、万が一にでもライバルに漏れたりすると……というところで、なかなかデータを取らせてもらえないそうです。レース車両集めている人には常識なのかもしれませんが、知らなかったので目からウロコでした。ただし、GT300クラスは、なるべくシーズン中に発売していきたい、との事でした。
1/43では、EBBROが既にGT500新型Zを予約開始していますが、これはかなり異例のようですね。

・日本の市場規模は?

各国の市場規模、1位は圧倒的に中国!2位は北米だそうです。中国車、アメ車のラインナップが少ないので、少し以外でした。まあでも、人口考えたら当然か。その後、欧州や日本という感じ。世界で流通数が決まっている限定モデル(「世界限定***台!」みたいな商品)は、国別のシェアによって割り当てが変わるそう。今後、限定の人気モデルが日本に入ってこなくなる、という心配はなさそうですが、普段から買い支える事が大事ってことですね。

・JUN IMAIさん関連の色々

先日の来日は、やはりKAIDO HOUSE R34など今回発表された新商品の関連だったそうです。また、商品画像に乗っていたJUN IMAIの1/64フィギュアも発売予定だそう!これは絶対買って、ワイスピのハンのフィギュアと並べたいな。
ちなみに、先月発表の510ブルーバードのストリートモデルで実現した、俳優ダニエル・ウーさんとのコラボ企画も、やはりJUNさんの交友関係だそうです。どれだけ交友関係が広いんだJUN IMAI!

・KAIDO★HOUSEのイベントについて

インスタに突如投稿された、KAIDO★HOUSEのイベント。これは関係者のみのパーティ―で、一般の人は入場できなかったそうです。例のサテンブラックの510ブルは、こういった限定イベント会場で販売されたものだそうです。KAIDO★HOUSEのモデルは、「KHMG****」という通し番号があるんですが、抜けている番号はそういったイベント限定モデルに割り振られている模様。まさに選ばれたものだけが手にできるスーパーレアモデルですね。

・韓国車の1/64ってレアじゃない?という話から

実は各国のミニカー事情の中で、韓国って結構独自の道を行ってますよね。中国や東南アジアは1/64が主流。マカオのinnoが勢いを増しているのも、そんなバックグラウンドに支えられています。しかし、韓国だけはなぜか昔から3インチが少なく、1/36や1/24といったスケールがミニカーの主流でした。
そんな中、MINI GTからヒュンダイ(ヒョンデ)のエラントラが1/64で発売されたのは結構ビックリ。実はこれ、TSMがIMSAの商品化権を独占契約しているという事情から、ヒュンダイ側から持ち込まれた企画だそう。なるほど、だからヒュンダイがIMSAに参戦している、エラントラが選ばれたんですね。いまやMINI GTはヒュンダイのスポンサーにもなっているので、ここから韓国のミニカー事情が塗り替わるかもしれません。

・コロナ禍と円安の影響

苦しい話題ですが、やはりコロナ禍と円安の影響は大きいようです。もともとDmaxのS15も、もっと早くサンプル作成が進んでいる予定だったけど、コロナ禍のロックダウンで中国の工場が止まった事が影響したそう。また、円安の影響はやはり価格に乗ってくるようです。ただ、最低限の上げ幅でなんとか抑えようと苦労しているのは確かです(発売時から考えると30%を超える為替変動があるので、ダイレクトに反映させたら、もっと派手に値上がりしちゃうはずなので)。
この円安状況、買う側も売る側も苦しいですよね……。

次回予定

トミーテック編
・トミーテックの目指す「モブのミニカー」
・TLV高速道路の狙い
・ゲームで初めてチョロQを知った世代に向けて
京商編
・ミニカーのデフォルメとスケール換算距離
・京商ミニカーブックが好きだという話をした
その他
・ミニカー業界横のつながり(世間って狭いね)
・そのほか新作ミニカーこんなのあった
・titan64の台座の外し方(メーカー非推奨)
番外編:マテル日本法人の歴史

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