全日本模型ホビーショー・ミニカー関連のレポート! 京商&トミーテック編

メチャクチャ時間たってしまいましたが、ホビーショーレポートの続きです。なお、時間経った分、追加取材?もできました。

京商編

ラジコンやミニッツ、ダイキャストスケールモデル、代理店として輸入している商品(ジョニーライトニング)、様々な担当の方がいらっしゃるので、最初は戸惑いましたが、興味のあるジャンル(1/64ミニカー)をお伝えしたところ、担当者の方を紹介してもらえました。
2月に新宿マルイ本館で行われた「2022京商フェア」で、営業担当の方とご挨拶していたのですが、今回はミニカー企画部の方とお話ができました。本をお渡ししたら「あれ!これ見たことあるよ」と嬉しい第一声。どうやら郵送させていただいた本が、社内のだれでも読める本の棚に置いてもらえているようです。

・京商はユーザーの声を聞きたがっている。

「2022京商フェア」でもお聞きしたんですが、やはり「ユーザーの声を聞きたい」というのが、かなり大きいそうです。どんな人が買うのか、買った後はどう楽しんでいるのか、求めているのはどんな車種なのか。最近はイベントの際もYoutuberやインスタグラマーの方などが、色々話しかけてくれることが増えたそうです。

・復活を遂げたコンビニミニカー

ファンとして聞かずにはいられなかったのが、ファミリーマートで復活を遂げた「KYOSHO 64 Collection」。自分の世代は、ミニカー収集に目覚めたきっかけがサークルKサンクスのミニカーコレクションだった、という人も多いんですよ。
これは他の玩具系メーカーで聞いた話ですが、中国は人件費が年々上がり、今までの値段では品質が悪い工場しか頼めなくなっているそう。一方で、精度の高い工場は人気が集中しており、条件(値段とか納期とか)が悪くなってしまうようです。
今回のKYOSHO 64 Collectionはバングラディッシュ製。現地の工員を教育するところからスタートし、製品レベルのものが作れるまで粘って粘って成立させたそうです。全車種新規金型+非ブラインドボックス+コンビニ限定の少数販売で、1,320円という低価格を実現し、昔の京商ミニカーコレクションを知っている人から「品質が下がった」と思われないように、製造ラインと管理体制を1から構築。その努力は、確かに整品のクオリティに活きていると思います!
(※この辺りは新宿マルイ本館で開催された、京商×さかつうギャラリーのイベント【花と遊ぶミニチュア Miniature Car X Diorama】で聞いた情報も含まれます)
(※一応、自分が見た&人から聞いたエラー品の報告はしました)

・京商ミニカーブック

京商ミニカー&ブックシリーズが好き、という話をしたのですが、やはりというかなんというか、「本は要らない、と言われることが結構ある」との事で、あの形式の冊子が好きな自分としてはちょっと残念な気持ちになりました。
ミニカー&ブックの書籍って「ミニカー&実車を軸に、それ以外の情報を掘り下げた本」なんで、読み応えがあるんですよね。ミニカーをきっかけに、携わる人のライフスタイルを本にしている。そういう本って他にはあまりありません。凄く個人的な話ですが、こういう本が、自分が撮影したり、ミニカー写真集を作ったりするときに、本当に参考になるんですよね。
また、本の企画の立て方が素晴らしくて。正直、16ページって実車のスペックとか歴史とか、既にある記事を繋ぎ合わせれば、ページを埋める事って出来ちゃうんですよね。でも、京商ミニカーブックはコンセプトから、企画から本を作っている。写真も撮りおろし。この内容で、少部数で、コンビニ限定流通で2750円っていうのは、(自分が趣味で同人誌作っているからよけいにそう思うんですが)採算取れてるのか心配になるレベルですよ。
ただ、それだけに売れる本と売れない本の差が心配に……。
と思ったところ、そこはある種の確信犯。既存のミニカーファンに向けた商品も出しながら、新たなファン層を獲得しようという挑戦の場でもあるそうです。例えば今回の『FIAT』は「今までミニカーを買っていなかった層がファンになるきっかけになるように」&「SNSを使った広がりを」という狙い。
この「既存のファン以外に、新たなファン層を獲得しよう」という姿勢がなければ、20年前にコンビニから始まった“1/64ミニカーブーム”も起きなかったかもしれないし、自分だってここまでミニカー沼にハマることは無かったかもしれない……。なので、こういった挑戦が今も続いていることは、素直に応援したいですね(『FIAT』も買ったよ!)。
勿論、既存のミニカーファンを狙い撃ちするような本もしっかり企画中という事なので、今後の続報を楽しみに待ちたいと思います。

・デフォルメって何だろう?という話

これは完全に雑談だったんですが、ミニカーのデフォルメと、メーカーによる解釈の違いについて話をさせてもらいました。
「トミカと京商とホビージャパンのGRスープラを比較したときの話」
「デアゴスティーニの2000GTはキャビンが大きめで、他メーカーと印象がだいぶ違う」
「メーカーによる、実車のキモがどこにあるか?という考察が、デフォルメに現れる」
「1メートル離れた所から見ると、換算スケールで64メートル離れて見ている事になるが、実際にはそんなに遠くから車を見ることは無いので、そこの差を埋めるのがデフォルメなのでは(仮説)」
といった事をお話しました。なんだかんだで2時間ぐらい付き合っていただき、本当にありがとうございました。

トミーテック編

トミーテックさんは京商の1/64ミニカー担当の方からご紹介いただいたのですが、本をお渡しした瞬間に「この本、コミケで何回か買ってますよ。」と言われてビックリ!

・トミーテックの目指す「モブのミニカー」

トミカリミテッドヴィンテージ(TLV,TLVN)と絡めるストラクチャシリーズ、『ジオコレ64』。このシリーズの狙いは、「人間側にドラマがあり、その背景に自働車がある」だと言います。このスケールの他メーカーでも多くのストラクチャが出ていますが、その大半は車そのものが主役。例えば駐車場、ガレージ、整備場、カーディーラー等。あくまでミニカーを際立たせるための背景と言えます。
しかし、あくまでジオコレの主役は人間(フィギュア)の方。むしろ、ミニカーが背景を際立たせる役目になるというのです。
この「主役じゃない車=モブとしてのミニカー」という考えは、同シリーズのミニカーにも一貫しています。
MINI GT、京商などで発売されるスーパーカーや最新スポーツカー、憧れの名車は、言わば「主役のミニカー」。それだけで並べても勿論良いのですが、そこに「モブのミニカー=TLV、TLVN」を並べれば、なじみ深い風景により近くなり、主役であるスーパーカーも更に際立つ、というのです。
まあ、モブにしては主役より値段が高いじゃないか、というのは有りますが。

・TLV高速道路の狙い

そういった、背景となる「モブのミニカー」の集大成が、今回企画中として展示された、高速道路。カローラバンなどの商用車、大型キャリアカー等がひしめく中、インプレッサやNSX、FDといったスポーツカーがパッと目を引く。車好きなら、そんな状況はなじみ深いものです。つまり、高速道路こそ「モブ」と「主役」の両方が栄えるシュチュエーションと言えます。
上下二弾の高層ジオラマで、いったいいくらになるんだ!と心配しましたが、実はこれは4つの商品を合わせたもの。1段の高架道路で、奥行きがあり、縦に複数段組み合わせて設置できる……。
実はこの商品、ディスプレイケースの替わりを想定しているとの事。「どうせ飾るなら、道路に飾ったほうが絶対楽しい」という発想が根底にあるそうです。「PCデスクの横にちょうど置ける幅を目指した」と言った、商品として成立させるための苦心もあり、あとは埃対策と値段が(買う側の)課題だなぁと思いました。
更に、複数を接続・拡張することができるので、イベント的に複数名で持ち寄り、大型の高速道路ディスプレイを作るといった、プラレールのオフ会みたいな遊び方も想定しているそうです。

持ち寄るって!!??これを!??

・ゲームで初めてチョロQを知った世代に向けて

タイヤの角度で表情を付けられる新感覚チョロQ「Q’s(キューズ)」。
現在の主力商品「チョロQ ZERO」は、直接チョロQに触れた事のある世代に向け、実際成功している商品ですが、そこから若い層に広げたいという狙いで生まれたのが「Q’s(キューズ)」。
若年層というのは、「オモチャのチョロQ世代ではないけど、プレステのゲームでチョロQに触れた世代」に向けた商品との事。パッケージイラストのようなポーズを取れたり、あのコミカルレーシングの空気感を再現したり、「ゲームの『チョロQ』」を楽しんできた層を取り込みたい狙い。つまりタムソフトのグッズと言っても過言ではない!?(過言です)
もともと、ローダウンのネガティブキャンバー(いわゆるハの字)をやりたくて可動を入れたそうですが、気が付いたらむしろリフトアップの方が表情豊かだった、と語ってくれました。
モルカーのチョロQとも相性がよさそうですね、と振ってみたところ、「モルカーより前から企画は進んでいたんですが……」と、少し複雑そうな表情でした。
 

・ミニカー業界横のつながり(世間って狭いね)


京商の担当の方がトミーテックさんを紹介してくれたり、ブーストギアさんとフリースタイルさんとガリバーさんにサンリッチジャパンさんを紹介してもらったり、北海道のミニカーショップの店長さんが元ホビージャパンの人だと教えてもらったり、もともとそこで同僚だったとか、〇〇さんは以前ネコ・パブリッシングで働いてたとか、昨日は鵜飼さん(モデルカーズ編集長)が来ていたとか、そういう「今は別な会社で働いているけど、昔から知ってる」という横のつながりを、複数のブースでたくさん教えてもらえました。
結局全員ミニカー好きで、メーカーや代理店であると同時にコレクターだったりするので、他社製品も当たり前に買うんですよね。ライバル企業であると同時に、コレクター仲間でもあるので、会場内でも、企業の垣根を越え、和気あいあいとした雰囲気がありました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?