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Think Blue Count Two の蛇足

  M3-2019秋にて頒布しましたThink Blue Count Two (Remastered) のライナーノーツ的なものを。音楽に全て込めているつもりですが、それで全てがわかっているというのも、実はただの錯覚だという可能性は否定できない。
 あなたはこの文章を読んでもいいし、読まなくてもいい。

 そもそもこれが他のInstrumentalsのシリーズと独立しているのには理由があります。
 かつて映像を生業とした友人から、趣味で制作する映像に乗せる曲を作ってはくれまいか、というのが発端です。もう15年くらい前の話。水をテーマにした映像ということで、サンプル映像だけ送られてきました。私はそれに曲をつけるときに青を貴重にした曲を思い浮かべました。タイトルも「青」というキーワードから、コードウェイナー・スミスの「青を心に1、2と数えよ」というタイトルから、この一連の作品を「Think Blue Count Two」として、4部構成にすることにしたました。
 結局映像の方は作られず、それは未だに作られていません。中止という話は聞いていないので、その友人が放置しているか投げ出したかだと思います。
 曲だけ埋もれさせておくのはもったいないということで2013年のM3秋にて頒布しました。10枚焼いてそれが全てなくなったのは、つい先日のM3でした。この中のThinkとCountをリミックスしてInstrumentals 1に収録してありますが、このEPもすでに在庫切れです。ちなみにInstrumentals 1には「Jonathan Livingston」という当サークルの名刺代わりの曲が収録されていました。これについては後日再編集して再録します。

じゃ、各曲の解説を。

1. Think
 曲のタイトルと曲の内容とはなんの関係もないと予め言っておかねばならない。アンビエントをどうやって作っていいかというのを見よう見まねで作ったはじめての曲でもある。ほぼ一発Recだったんではなかったかな。ギター・空間系エフェクタ・逆回転という、当サークルの一つの方向性を示しているかと。途中にリバーブを効かせた歪んだ音で少し不穏なフレーズを弾いているところが単に癒やされるだけの曲にするつもりがなくて気に入っている。そういえば作った当初は癒し系という言葉が大嫌いだったな。

2. Blue
 ギターを使ったから次はピアノだ、という安直なところから。コーラスがかかっているシンセのエレピを使っている。普通のピアノだと固くなってしまうので、エフェクトが掛かったものを使った。音と音の間隔をもう少し離せば良かったかもしれないが、これはこれで良しとしている。不穏なコードをここでも使っているが、いま聴くと川井憲次っぽいかも。これも一発Recだった気がする。各フレーズが揃わずにちょこちょこずれているのはご愛嬌。あとこの曲はミックスをいじる時点で鐘の音を足している。ちょっと前に作ったボカロEPの時にチューブラーベルの音いいなと思ったんだ。余談だが、各トラックの音量バランスを調整しているときに何度も寝落ちしただけあって、よく寝られる。

3. Count
 アンビエント4曲というのは今だったら全然聴けるけど、楽曲制作当時は4曲ともアプローチが同じものを作るというのはあまり面白くないかな、と思っていたので、3曲めは四つ打ちのテクノっぽいミニマルっぽい曲にした。途中に歪んだデストロイギターを入れてるのは完全に平沢進の悪影響。元の曲には入っておらず、Instrumentals 1に収録したバージョンには入っている。延々と8分も四つ打ちだけ聞かされるのがいま聴くとさほど面白くないと思ったんで、遠くに鳴り響く轟音ギターが入ったバージョンを収録している。この曲のテンポは少し早めで、急かされる感じがあってあまり好きではなかったんで、すこし弄ることにした(後述)。

4. Two
 激しめの曲のあとなので穏やかな曲で締めようと、こういう感じの曲になった。もともとはTwoというタイトルに絡んで2コードでキーボードとギター2本ずつで作った曲。楽園的な空気感があって、実はかなり気に入ってはいる。
 当初ギターは一発Recだった。制作時の私の集中力は素晴らしく、ほぼノーミスで5分近く演奏しており、それはそれで緊張感のあるベストテイクだったんだけど、探り探り弾いてるものだからところどころ頭がずれていたりミスってたりする。いまさらになっていろいろと気になったので、メロディラインはなるべくそのままにして、全面的に録音し直した。一発OKとまではいかなかったが、それなりの緊張感を持ってギターが弾けたと思う。次はちゃんとギタリストにお願いしたい。

5. Count (rearrangement)
 テンポを遅くして、いろいろと細切れにして少しアンビエント的な要素が強くなったかなと思う。うまくいってると言える。ドラムは必要ないかとも思ったけど、あまり派手ではないからこれはこれで残すことにした。ハープの音がピアノの音に変わり、デストロイギターを刻んだことで、深海っぽさが出ていると思う。アンビエント盤を出す時にこれのドラム無しまたはギター無しバージョンを収録してもいいかもしれない。

6. Two (rearrangement)
 ドラムを差し替えてベースを足した。原曲はシャッフルのビートだったけど、こちらでは普通に8ビートにしている。ハイハットにかけたディレイがシャッフルっぽさを出している。ベースを入れることでコード感が高まって別の曲みたいになっている気がする。
 余談だが、ドラムを作るときは高橋幸宏的なものをイメージしていることが多い。YMOが好きだからなんだけど。この曲ではその他にも青山純だったりPhishのジョン・フィッシュマンだったりのフィルを意識していたりする。青山純のドラムは打ち込みじゃ真似できないと思うけど、せめてそこに寄せる意識くらいはあってもいいかなと思っている。

 ということでThink Blue Count Twoのライナーノーツ的なものでした。
 気に入っていただければ幸い。心に残ればなお幸い。

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