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切り花とフェイクグリーン(「リラックマとカオルさん」感想)

今までも花屋でちょいちょい切り花を買うということをやっていたのだけれど、flowerというサブスクリプションサービスを使い始めて、今は部屋の中に常に生花がある状態にしている。

切り花はドライフラワーにでもしない限り、枯れる。
ちゃんと水替えや根切を繰り返すことで長くもつけれど、それでも一か月ももたずに枯れる。

私はサボテンも枯らしたことがある人間なので、今まで部屋に飾るのはフェイクグリーンかドライフラワーが多かった。

フェイクグリーンにしておけば手入れは格段に楽だ。ただしそこには変化はない。

最近、アラサーの心をえぐると話題のリラックマとカオルさん全話を見た。

カオルさんが一緒に暮らすリラックマ・コリラックマ・キイロイトリは成長しない。

なぜか食事もしているし、太ったりもするようだけれど、基本的には変化することなくずっと同じ姿のままでいる。

彼らは「キャラクター」だからだ。彼らはいつも変わらない。だからこそ、人は彼らに癒される。

一方で、同じアパートに暮らす少年「トキオ」はカオルさんより先に引っ越していく。
トキオとやカオルさんもまたアニメのキャラではあるのだが、設定としては人間として描かれている。

キャラクターと違って、人間は成長するし老化するし、そしていつか死ぬ。
そのキャラクターと人間との残酷な差異を視野に入れていることが、このアニメが「闇」と言われるゆえんなのだと思う。

これはドラえもんの主人公をアラサー女性にしたようなもので、カオルさんに状況を自覚しろと言うのは、のび太にあまりドラえもんに頼るなと訴えるようなものだ。彼女がいるのはモラトリアムな時間で、いずれその状況から出て行かなければいけないことは暗示されている。

少し手間をかけて切り花を生けるのもとても楽しい。でも仕事が忙しい時期にはフェイクグリーンやドライフラワーに助けられる。どちらがより良いというわけでもない。

フェイクグリーンでさえ劣化はするので永遠ではない。でもどちらにしろ、そこに緑があるだけで気持ちが和らぐ効果はあって、それは本物でも偽物でも変わらない。

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