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2019年2月に見た展示の記録~岡上淑子やイケムラケイコ~

余裕のあるときに記録しておこう、とか思っているときっと一生やらないので、とりあえず勢いで書いておきます。

岡上淑子「沈黙の奇蹟」/東京都庭園美術館

作品の素晴らしさは言わずもがな。シス書店(LIBRAIRIE6)で2回ほど展示を見たことがあり、オーナーさんから「まだ岡上さんはご存命で……」とか聞いて驚いたことなどを思い出す。

コラージュ作品は1950年代のものがすべて。今回はコラージュ後に作成した油彩や写真なども展示がある。写真作品はシュルレアリスム的なセンスが十分に発揮されていて、もっと見てみたいと思った。

作者はヴァリスの表紙絵などで有名な藤野一友氏と結婚し、創作をやめている。(のちに離婚)

池上:じゃあご結婚されてからもご実家のお手伝いを。岡上:ええ、一緒に住んでましたから。だから結局、自分が引いていくしかなかったんですね。池上:お仕事が増えるだけという感じになりますよね。岡上:うちのことがね。自分のことをする余裕はもうなくなったんですね。そして子どもができましたしね。だから結局、彼を支える形になっていきました。

もちろん時代背景その他様々な事情があるのだろうけれど、その後の作品、というものをもっと見たかった気もする。それともこの素晴らしいコラージュ作品たちは、戦後すぐの時代ならではの、奇跡的な一時の産物ということなのだろうか。

奇想の系譜/東京都美術館

旧博物館動物園駅の展示が見たかったのだが、整理券配布時間に行ったらもう完全に終了していたため、すぐそばにある都美へ。

書籍『奇想の系譜』は村上隆が影響を受けた本として紹介されていて昔読んだことがある。入り口からがんがん並んでる若冲をはじめ、どこかで見たことのある作品、見応えのある作品など大作が揃っている。

「奇想の系譜」という本で扱われている作家を集めた展示なので、捨て作品がないというか、オールスター揃い。蕭白なんかもたくさんある。ゴージャスだが、死ぬほど混んでいてちょっとつらかった。

イケムラレイコ/国立新美術館

エピローグ部分にある作者自身の映像で、「フェミニストとして理論を主張したりするわけではないけれど、誰よりフェミニスト的なことをしてきた」(うろ覚え)と言っているのが印象的だった。

ヨーロッパでアジア人の女性アーティストとして生きてきて、様々な苦難があっただろうことが想像される。なんとなく、岡上淑子さんの人生も思い起こしたりする。二人は23歳差。

アントニ・タウレ/シャネル・ネクサス・ホール

物語の終わりや始まりを想起させられるような絵だなぁと思う。基本ワンアイデアというか同じような構図ばかりなのだけれど、他のものよりもこのテーマのものをずっと見たいと思わせられる。

名和晃平/蔦屋書店銀座

たぶん2011年の現代美術館以来? 名和晃平は有機的なものに無機的なものが合わさったキメラ感が魅力だと思うのだが、より一体化が進んでいる印象。

ルーブルでジャポニズムの展示をするにあたって、あの有名なピラミッドの下に展示されているらしい。金色なところに何となく村上隆@ベルサイユを思い浮かべなくもない。

向井山朋子 ピアニスト/メゾンエルメス

上演時間が変わっていくことが特徴的な演奏および展示。かなり寒い室内とか、ガラス越しに見える銀座の明るさとか、結構目一杯に入った人だとか、そういうことを含めて楽しい。

音楽はかなりミニマルで、そういうピアノ曲を聞いたのは初めてだったので少しうとうとしてしまった。

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