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2019年7月に見た展示 ~イラストはたのしい~

ボルタンスキー展/エスパスルイヴィトン

屋上とツイートに書いてしまっているけれど屋上ではなく最上階?でした。
藁の敷き詰め+映像というのは過去の庭園美術館での展示の時と同じだけれど、表参道のビルの中で見ると奇妙な唐突感と、風通しのよさがあっていい。

新美術館での展示が暗いトンネルの中に招き入れるようなものだとしたら、こちらは外をビルの中に呼び込むもの。やっぱりサイトスペシフィック性の高い展示が好きだなと思う。

ショーン・タンの世界展/ちひろ美術館

ちゃんと読んだことがあるのは少ないのだけれど、この機会にと思い鑑賞。思った以上によかった。

絵本の原画を中心としたラフ画、造形物などの展示で、特に代表作アライバルが現在の形になっていく制作の過程が興味深かった。

絵本のスノーマンを読んで「これだ」ということで手法をそのまま取り入れていたりするのも、新しいアイデアっていうのはやはり組み合わせなんだなと思えて面白い。

住宅街の中にある小さな美術館で緑が多く、今回は混んでいたけれど、もっと空いてるときにゆっくり過ごしてみたい。

高畑勲展/国立近代美術館

朝ドラでちょうどやっているタイミングなので、東映動画時代の作品をより興味深く見れた。

宮崎駿は「高畑勲に青春を捧げた」と言っていて、まさに若者時代の彼らの仕事から展示は始まる。

膨大な文字の書かれたノートから、どのような物語にするのか思考の量がすごいことがわかる。

自分では(ほぼ)絵を描かないアニメ演出家というのがどういうものなのか、ぴんときていなかったけれど、文字やチャートなど様々な形で明文化し、それを共有していった制作のプロセスが見える。

「レイアウト」というアニメのプロセスを作り出した宮崎駿の仕事量とクオリティもすごい。

メスキータ展/東京ステーションギャラリー

今まで存在を知らなかったアーティストだけれど、モノクロの画面が印象的なのと東京ステーションギャラリーの展示にはだいたい外れがないので。そろそろ年間会員とかになった方がいい気がする。

そもそも版画は学生時代の美術でやったくらいで、作品をあまりちゃんと見たことがなかったけれど、実在の動物のスケッチから要素をそぎ落とし、モノクロの画面で映えるものに変えていくのが、イラストとグラフィックデザインの中間という感じで面白い。

もともと白黒のものは版画にしてもしょうがない、と弟子のエッシャーに言いつつ本当はパンダやシマウマも版画にしてるのも笑いどころ。

きりっとした動物作品と、後半の混乱した夢想にあふれたゆめにっきみたいな作品とのコントラストもよかった。


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