2019年7月に見た映画 ~アニメ多め~
旅のおわり世界のはじまり
正直歌い出したりするのがどうにも性に合わないところはあるし、なんか変な映画だなという印象のまま始まって終わった。(黒沢清作品はそもそもだいたい変なんですが……)
でも前田敦子の異国にいるのに閉じまくった佇まいや、ウズベキスタンの風景がとても印象的だった。ウズベキスタン、今行きたい国No1だけど一人旅に向かないと聞いて足踏み中。。
トイストーリー4
これは本当に素晴らしかった。トイストーリー1~3も見直したのだけれど、(下記参照)そして3がとりわけ傑作なことも確かなのだけれど、「その先」を作るピクサーには本当に一生ついて行きたい。
ある意味3より好き。
作らなくて良かったという声が(主に日本の観客から)あるようだけれど、でも3を作った後に、ウッディのことを考え尽くした作り手たちだからこそ、どうしても作らなければならなかったのだと思う。
「なぜおもちゃなの?」「なぜ動いているの?」「なぜ意識があるの?」というメタ思考の一歩手前にまで行ってしまう深さ、だけどそれをエンタメにまとめる技量、豊かな映像、小ネタの多さ。最高としか言いようがない。
天気の子
別添にまとめたのでそちらで。
プロメア
グレンラガンみたいだな、というのが第一印象で、見終わった印象もかなりそれに近い。良くも悪くも。
そもそも話が全体に雑で、しかも恐らくそれは自覚済みなのでたちが悪い。自覚していなかったら、主人公が偶然に出会うキーとなるロボにデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神。ご都合主義の固まりみたいなもの)と付けないはず。皮肉なのか自虐なのか。
確かに勢いを重視するために細かい整合性を無視していいケースはあると思うけれど、ノイズになるレベルの雑さは排除した方がもっと勢いに集中できると思う。上記の名称しかり。
アラジン
あまり気乗りしていなかったのだけれど見てよかった。ほぼ完璧に近いエンタメ。
主人公たちの役者さんも若くてフレッシュだし、手垢のついたストーリーもちゃんと「2019年の今語るべきもの」に変えている。ジャスミンかっこいい!本当に少し泣きそうになってしまった。音楽やダンスもハッピー。
配信などで見たもの
トイストーリー1~3
昔は吹き替えで見ていたけれど、この機会に字幕で再鑑賞。トム・ハンクス!
トイストーリー1からして、自分が「特別」なんかじゃなくただの玩具なんだと受け入れ、だからこそできることをやるバズの物語がほろ苦かつ爽快ですごい。ウッディの描かれ方が意地悪だったり、シドの家の改造された玩具が本気で怖かったり、子供も大人も楽しめるとはこのことか……。
トイストーリー2は制作期間などが短かったということだけれど、1でキャラを好きになった人が楽しく見ることができる友情物語にまとめていてこれはこれで。
トイストーリー3はひとつの絆に結論を出し、新たな世代に目を向けた傑作。
太陽の王子ホルスの大冒険
高畑勲展を見たのを機会に初めて鑑賞。驚いたのが朝ドラの「なつぞら」で彼らが描いているのが思った以上に同じ作品だったこと。(岩男とかヒルダとか。そのくせ朝ドラ、くっつく人たちなど人間関係は好きに改変してるので二次創作みがすごい)
悪魔の妹で、人間を滅ぼす立場でありながら村の人々に惹かれている美少女ヒルダの一筋縄ではいかないあり方がとても現代的で魅力的。萌え系の祖というのもわかる。単にかわいいとかだけではなく、孤独で、葛藤・矛盾のあるキャラクタは本当にいい。
プレデター
名作を見るシリーズ。宇宙人とバトルだと思っていたので、ほぼベトナム戦争みたいな舞台立てに驚いた。この映画でもやたら「エクスペンダブルズだ」と口にする。
シュワルツェネッガーが若く、ロッキーでのアポロ役のカール・ウェーザーズがいい味を出している。赤外線モニタのような画面がじわじわ挟み込まれて、「何だかわからないけれど危機が迫ってる」と示してくるのがうまい。
しかしこの宇宙人が謎で、なぜがここぞという場面で武器を捨ててタイマンを挑んできたりする。少年マンガか……?
アシュラ
見よう見ようと思って見損ねていた韓国ノワール。新しき世界のファン・ジョンミンがもう見たら忘れられない市長を演じている。男同士のパワーゲームの要素が強く、その一環で体を重ねたりしてても驚かない関係性の密度。
最初から最後までほぼ翻弄されるだけで何もできない主人公にはらはらする。しかしとにかくパク・ソンベ市長がすごい。こわい。
劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE- 未来篇
少しずつ京アニの作品を見返そう、と思ったのだけれど思い入れの強いものは辛すぎるので、まだ見ていなかったこちらを。テレビシリーズは全部見たはずなのだけれどだいぶ忘れていたのでこんな話だったかという感じ。(よくある異能バトル)
高畑勲には「日本の風景をアニメにすべき」という考えがあったようだけれど、それを実現しているのは京アニじゃないかと思った。(新海誠の「風景」はちょっと違うので)何気ない地方都市、住宅街やアパートの描写が丁寧でリアル。
マリーアントワネットに別れを告げて
王女と侍女もので映画が何かあるかなと探して鑑賞。マリーアントワネットの朗読係の女性が主人公。ただ矢印は完全に朗読係→マリーアントワネットで、マリーアントワネットは有名なポリニャック夫人に完全に執心している。(完全に同性愛的な描き方なので、つまり女性の三角関係)
主人公はレア・セドゥでとてもいいし、美術など見応えもあるのだけれど、さくっとした苦いラストであくまで小品にとどまる印象。
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