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弁護士です。 都内の法律事務所で企業法務を担当しております。 特にGIS、ロケーションデータ、パーソナルデータ関連の事業に興味があります。 ご連絡等はこちらにお願いします。 @elv_p_chan (Twitter)

最近の記事

【法務】×【地図GIS】~地図の著作権~

皆様が普段使う地図データにも著作権が発生していることがあります。 今回は、地図と著作権の関係について簡単に説明をしたいと思います。 1.著作物とは著作権の発生する「著作物」とは、端的にいえば「創作的」な「表現」です(法2条1項1号)。 イメージしやすい具体例は、絵画、小説、漫画、音楽等です。 同じ知的財産権でも特許権(登録が必要)と異なり、著作権は「表現」の創作時点で権利が発生し、また「表現」に至らない「アイディア」を保護するものでもありません。 どんな「表現」でも保護さ

    • 【法務】×【地図GIS】 ~どんな事業?~

      1.はじめに 私は、弁護士になる前、地図データやロケーションデータ等のGISコンテンツ(以下「地図コンテンツ」とします)を生業とする会社に勤務しておりました。 現在でも地図コンテンツ事業には関心があり、業界関係者や展示会で話を聞いたり、関連事業の相談を受けることもあります。 最近はメタバース、生成AI、自動運転等が話題になっておりますが、こうした最先端分野と切っても切り離せないのが地図コンテンツ事業であります。 官公庁関連でも、話題に事欠きません(2023年8月4日現在)

      • 【法務】弁護士1年目の振り返り

        今年から弁護士として法律事務所で働き始めたのですが、色々と考えさせられることの多い一年でした。 私はもともと会社員として法務を担当しておりました。 一口に法務といっても、会社によって取扱分野等が異なりますが、法律事務所に入り(当たり前ながら)更に異なる点が多いことを実感しました。 私の数少ない経験を一般化するつもりはないですが、気づきと反省点を洗い出すことで、来年の自分につなげてみます。 また、皆様の参考にしてもらえれば幸いです。 1.所掌範囲⑴ 正確性と効率性のバラン

        • 【法務】「夢の国」ではリーガルなんて要らない…か?

          今回は「裏 法務系 Advent Calendar 2022」のネタとして寄稿しております。 znkさんからバトンを受け取りました! 今回の私の投稿は、姪を連れて東京ディズニーランドに行った時の日記です(笑) 本記事では「リーガルな現実世界」と「夢の世界」を行き来するニュアンス(?)を出してみました。 まず、Disclaimerがてら私の自己紹介をさせて頂きます。 ========= ※テーマパーク法務の関係者ではありません。 ※弁護士ですがクライアントにテーマパーク関

        【法務】×【地図GIS】~地図の著作権~

          【法務】ディズニーリゾート内の撮影はどこまでOK?

          今年の9月、東京ディズニーリゾート(TDR)来場時の禁止事項に「撮影」に関する文言が追加されたことで、VTuberの活動が制限されるのではないかが話題になりました。 今回は、当該文言等を踏まえ、園内での撮影(動画・写真含む)がどこまで許されるかを、法的視点を交え分析してみたいと思います。 1.はじめに TDRを運営するオリエンタルランド(OLC)は、同園の来場時の注意事項として「東京ディズニーリゾートからのお願い」(以下「お願い」)を定めております。 「お願い」に記載さ

          【法務】ディズニーリゾート内の撮影はどこまでOK?

          【書評】会社員(法務)の時に読んでおきかった書籍

          ※ 今回は #裏legalAC の企画で投稿させて頂く記事となります。 ※ ぼっち法務 さんからバドンを頂きました! LegalACは「裏」も含めて3回目の投稿となります。 そもそも私が何者かというと、以下の登場人物欄に示したPちゃんの記載通りであります笑 【登場人物】Pちゃん:現在は司法修習生。修習開始まで会社員として法務の経験あり。Q先生:Pちゃんより修習期が結構上の弁護士。 0.はじめにP: 先生,こんにちは! Q: こんにちは!司法修習は充実していますか?

          【書評】会社員(法務)の時に読んでおきかった書籍

          【書評】弁護士になった「その先」のこと

          法務在籍時に読んでおきたかったかもと感じた書籍【第5弾】です! 【概要】弁護士が知っておくべき仕事の進め方・事務所の運営の仕方等のノウハウを学ぶ【難易度】★【法務役立ち度】★★★★ 前記のとおり,若手弁護士向けに書かれた仕事の心構え的な内容が大半を占めますが,記載内容の7割程度は法務(というか仕事全般)のそれに通じる部分があると思います。 法務関連で汎用性の高いテーマとしては, ・スケジュールの立て方,仕事の段取りの組み方 ・関係者との連絡の取り方 ・秘書(庶務の方々

          【書評】弁護士になった「その先」のこと

          【書評】企業の営業損害の算定 -裁判例と会計実務を踏まえて-

          法務在籍時に読んでおいてよかったかもと感じた書籍【第4弾】です! 【概要】企業の営業損害の算定方法について,具体的なケース毎に裁判例の考え方を踏まえながら学ぶ【難易度】★★★★【法務役立ち度】★★★ 著者は弁護士・公認会計士のダブルライセンスを保有する原口先生です。 1.概説まず裁判実務における営業損害について触れた上で,営業損害の分析・算定に役立つ会計知識が紹介されております。 この項目については,法務担当者であっても企業に勤める以上,なるべく理解しておきたいところ

          【書評】企業の営業損害の算定 -裁判例と会計実務を踏まえて-

          【書評】システム開発紛争ハンドブック

          法務在籍時に読んでおいてよかったかもと感じた書籍【第3弾】です! 【概要】システム開発・運用に関する紛争・トラブルの類型毎に解決指針・方法を考察【難易度】★★★【法務お役立ち度】★★★★★ この分野を専門とする松島先生と伊藤先生の共著で,伊藤先生の他の著書である「ITビジネスの契約実務」は,法務部門時代に何度も読み返しておりました。 こちらを購入したのは修習開始後でしたが,弁護修習中にソフトウェア開発トラブルに起因した訴訟に関わる機会があり,その時にちょうど本書にお世話

          【書評】システム開発紛争ハンドブック

          【書評】要件事実や事実認定の関連書籍

          修習きっかけに読んでみたが,法務在籍時に読んでおいてよかったかもと感じた書籍【第2弾】です! 裁判修習では全体的に「事実認定」の手法を学ぶのですが,特に民事裁判では,事実認定に加えて「要件事実」の重要性も認識させられました。 そこで今回は,民事訴訟手続に関して「要件事実」と「事実認定」にスポットを当てた書籍を2冊紹介したいと思います。 「なにそれおいしいの?」と言いたい方もいらっしゃるかもしれませんが,書評の部分でイメージでもお伝えできればと思います。 1.「完全講義

          【書評】要件事実や事実認定の関連書籍

          【書評】企業法務のための 民事訴訟の実務解説

          本日から「修習をきっかけに読んだが,法務在籍時に読んでおきたかったと感じた書籍」を紹介していきたいと思います。 今回は【第1弾】です! 【概要】民事訴訟手続の内容・実務的な流れを分かりやすくかつ詳細に解説【難易度】★★★【法務お役立ち度】★★★★ 1.はじめに 裁判官経験のある圓道至剛先生が書かれた著書ですが,企業法務経験者ではない司法修習生からも非常に評価が高いです。 民事訴訟の実務の全体像について,訴訟提起前~第1回口頭弁論期日~続行期日~証拠調べ…と言った感じで

          【書評】企業法務のための 民事訴訟の実務解説

          予備試験口述試験の流れ

          予備試験論文合格本当におめでとうございます!。 ただ,これで終わりではなく,合格を勝ち取ったとしてもすぐに口述試験ですので,ラストスパートに向けもう少しの辛抱です・・・ 口述試験がどのような段取りで実施されるかブラックボックス的な部分も多いですが,少しでも不安が和らぐかと思い,本記事を書いてみました 時間がないと思うので10分くらいで読める内容にしてます。 ※あくまで自分が受験した2019年時点の状況に基づくものであり,コロナ禍の現在は多少状況が異なる(方法も場所も変

          予備試験口述試験の流れ

          2021年3月の振り返り

          もう5月となったので今更といった感じですね(笑) 前回同様、3月の出来事を記憶に固定させるため(日記ならぬ)月記を書いておきます。 といっても、記憶の減退も激しいので今回は短めにしますね・・・ 全体サラリーマンのラストスパートとなる仕事の追い込み、司法研修所から次々と届く書類の整理と事前課題の処理に追われた1ヶ月でした。 退職日は3/30、司法修習開始日は3/31というスケジュールで(退職時点であり余っている)有給も満足に取れない中で、想定以上に忙しかったです… 会社

          2021年3月の振り返り

          2021年2月後半の振り返り

          今更ながら…といった感じですが笑 以前このような記事を投稿したので、日記(月記?)がてら続けてみたいと思います。 本当に直近の出来事としては、3月29日に会社を退職し、3月30日から司法修習が始まるというイベントがありましたが、詳細は別の記事にします。 それでは、始めます! 2月17日司法試験の合格証書を受領し、合格したことの実感が沸く。 ペライチだった予備試験の合格証書とはワケが違います笑 ただ、こちらから申請手続(切手を貼付した返信封筒の送付等)しないと証書を頂

          2021年2月後半の振り返り

          受験生活に関するQAまとめ

          最近、某予備校のYoutube社会人司法試験合格者のインタビュー企画のインタビュアーとして参加させて頂きました。 (注:3/14時点でまだ動画はアップされておりません) せっかくなので当時用意したカンペ(想定問答集)の主要部分をこの場で公開します。 実際に本記事のとおりにインタビューが進んだわけではないですが、社会人をしながら予備試験や司法試験の合格を目指している人にとって少しでも参考になればと思っております。 ただ、当該企画がある程度予備校の色に染まっている内容があ

          受験生活に関するQAまとめ

          予備試験後~司法試験までの困難

          今回は、少なくとも僕みたいな凡人が、本試験受験までに何に苦労してどう取り組んだかを書き留めておきたいと思います。 標題と類似のテーマについては既に加藤先生のブログがあると思うので、まずこちらを読むので十分かもしれません。 https://kato.blog/7093/ 今年の司法試験合格発表では、予備試験合格組の対受験者合格率は89.4%ということが判明しました。 ただ、昨年はコロナ禍での延期ということもあり、2019年以前のデータを考慮しても少し割り引いて考えるべきで

          予備試験後~司法試験までの困難