お花見のない四月は何年ぶりだろう。桜が咲いて、鯉がたなびく。朝顔の傘が開き、子どもは日焼け跡を比べて笑う。花火が上がり、月に兎の影を見る。山が紅く染まり、足元には黄色い絨毯が敷かれる。鈴の音が鳴り止まぬうちに、鐘の音が木霊する。雪が積もっては溶け、ふきのとうが顔を出す。そしてまた桜が咲く。二年後の桜はきっと…