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その店に入ったのはほんの偶然だった。

出張で訪れたとある町の、駅裏の寂れた飲み屋横丁にある小さな小料理屋だ。営業しているのかも分からないスナックや古いラーメン屋などが並ぶ狭い路地は、恐らく、普段から人通りも少ないのだろう。駅を出た途端の急な大雨で、ホテルに戻るまでの雨宿りのため飛び込んだ適当なのれんの中には、自分以外に客の影はなかった。

「いらっしゃい。お客さん、初めてね」

テーブルがひとつだけの小さな店内だ。七席ばかり並んだカウンタ

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