自分で表装してみる~裏打ち・パネル貼り~書道作品づくり
高校時代には、書道部の部室でよくやっていた作品の「裏打ち」と「パネル貼り」。これらを久しぶりに自分でやってみました。
なんと!30年ぶりです。あまりに久しぶり過ぎて、かえって新鮮な気持ちで取り組めました。
それでは、いざ!
自分の作品をまずは裏打ち
先週、高校時代の書道部の恩師の先生のお宅で、裏打ちマシーンを使って裏打ちしてもらいました。
多分、どこの高校の書道準備室にも一台はあるであろう・・・裏打ち用のこの機械。(私が知っている範囲で)だいたいの高校書道の先生は、ご自宅にMy機械を持っていて、自分の作品の裏打ち用にフルで使っていらっしゃるようです。
私の恩師の先生のお宅にもあるとお聞きしたので、お願いして、私の作品の裏打ちをやってもらいました。
ちなみに、どうして裏打ちが必要なのか・・・といいますと、書道用紙に書いたままだとシワだらけなんです。シワを伸ばすために「裏打ち」という作業をします。
学生時代は、自分たちでやることも多々ありましたが(学祭の時の作品展示など)、大きな書道展に出品するときは(全国区の有名な書道展だと2尺×6尺とか2尺×8尺サイズになります)、大きなサイズの作品になるため、素人では絶対に無理です。こういう場合は、表具屋さんに最初からお願いします。
表具屋さんはプロなので、きちっとやって下さいますが、しっかり表装してもらうと高額になるので、下手ッピーな作品だと非常に勿体ないことになります(表具屋さんにも失礼だし汗)。
ちなみに素人がやると、シワが残ったり、貼り付けるときに斜めに歪んだりして、なかなか大変なのです。
まぁ、だいたい書道(習字塾じゃなくて本格的な書道)をやっていると、どこかで自分の作品を表装することは必要になってくるので、必然的に、自分達で簡易的にやるセルフ裏打ちや表装も、どこかで体験しているものです(パネル貼りや額など)。
そこで今回は、私も昔の学生時代の記憶を辿りながら、思い出しつつ取り組んでみました。
機械を使った「裏打ち」について
今回は、機械を使った裏打ちを行います。
ちなみに、この裏打ち用の機械、「巨大アイロン」だと思って下さい。(下に写真を載せておきますのでご参照ください。)
アイロンで体操服や布袋にゼッケンやワッペンを糊付けするような感じのものです。それの書道版。
ですので、裏打ち用紙は片面に糊がついていて、プレスすることで、作品に貼り付き、作品を強化します。また、裏打ちするときに作品には水を噴霧して濡らすため、シワがとれてピチッときれいに伸びます。これも、Yシャツを糊付けするのと同じ感じだと思って下さい。
実際に「機械による裏打ち」をやってみましょう
手順は以下の通りです。
①裏打ち用の紙(プレス専用のもの)を、作品用紙のサイズに切る。
ロール状になっている裏打ち紙に作品に当てて「大きさ」を測り、作品のサイズになるよう裏打ち紙をカッターで切ります。
②作品に霧吹きで均等に水を掛けて濡らし、裏打ち用紙と合わせる。糊面を作品と密接させる。
これは先生がやってくださいました。
③スイッチを入れて適温に熱せられたマシーンで、順番にプレスしていく。
(これが裏打ち用の機械です)
☆プレスするとき、作品にシワが寄らないよう注意します。←これが素人には非常に難しいのですよ(汗)。プロの表具屋さんに頼むのがベストなんですが、時間が無いときは「セルフ裏打ち」が一番てっとり早いです。
④作品からはみ出している裏打ち用紙をカッターで切り取る。
☆裏打ち用紙は作品よりも少し大きめにカットしてあるので、裏打ちが完了した後、はみ出ている部分をカットします。
⑤完了
☆無事にできました♡
こんな感じです。最後に落款印を押しました。位置は先生に確認してもらい(汗)、失敗がないよう気をつけて・・・。
これでひとまず、裏打ちは完了です。
パネルに作品を貼る
今度は、パネルに作品を貼ります。
・・・と、その前に、実家の父にパネルを作ってもらいました。全紙サイズのパネルです。(全紙サイズパネル・167㎝×85㎝)
パネルにしようか軸にしようか・・・どうしようかすごく迷っていたのですが、先生が「全紙サイズのパネルを持っておくと、すごく便利よ」と仰ったので、それなら・・・と、今後、長く使うことを想定して作ってもらうことにしました。
父は家具職人で、81歳の今も現役。ちょうど仕事が空いていたそうなので、お願いしました。
父の工場にあった材料で、サクッと作ってもらいました♡
(以後、父には助手になってもらい、一から表装を手伝ってもらいました。)
それでは、いよいよパネルに表装していきます。
手順は次の通りです。
①パネルに貼る台紙を用意する
手頃な大きな紙を探し求めて、ホームセンターや100均ショップ、文具店へ・・・。いろいろ試行錯誤を重ねた結果、100均ショップの包装紙コーナーに売ってある「越前和紙」(日本製)が一番お値打ちでお手軽ということを発見。
これを3パック買えば、全紙サイズのパネルをきれいに表装できることが分かりました。
(下の写真・画像をお借りしました。私が利用したのは、これとは異なりますが、こんな感じで丸められて「越前和紙」と銘打って売られていました。)
台紙を貼るときも、紙に水を打ってシワを伸ばし、糊を塗ったパネルに(シワやたるみが出来ないよう)慎重に気をつけながら貼っていきます。
そのため、水を打ってもクシャクシャにならず、乾けばピンと伸びてきれいになる用紙であることが必須です。
その点、やはり和紙は優秀でした。他の普通の紙だと、ムラになったり、シワが酷かったりして、なかなか上手く仕上がりませんでした。しかし、百均の和紙は、(若干破れやすい・・・ということはありましたが) とてもきれいに貼れました。さすが和紙!「百均でも和紙は和紙だなぁ・・・」としみじみ感じました。
・・・と、余談はここまでにして(汗)、紙を用意したら、サイズを測って、必要なら切り落としておきます。
②パネルに台紙を貼る
糊を用意します。(画像お借りしました)
このタイプの糊を器(浅めの皿)に入れて、水で薄めてのばします。障子貼りの糊と同じ要領です。こうして準備した糊を、刷毛でパネルに均等に塗っていきます。
その間に、台紙に霧吹きで水をかけて、全体的に均等に濡らします。
少し置いて伸ばした紙を、二人がかりで持ち、パネルに貼っていきます。
この時、シワにならないよう、慎重に順番に紙を下ろしてパネルに貼っていきます。
百均の和紙は(通常の和紙より薄いので)、この時、あまり力を入れすぎると破れやすいので要注意です。
こうして貼り上がったものが、こちら。
一晩置いて乾燥させました。きれいにピンと張りました。
③裏打ちした作品を貼る
さて、ここからが、いよいよ本番です(汗)。
前の晩は「失敗したらどうしよう・・・」と緊張してなかなか眠れなかったという(滝汗)、超難関な作業です。
書道って、書くこともそうですが、何かにつけて「一発勝負」的なことが多くて、この表装もそうなのです。
一度貼ってしまったら、もうやり直しが効かない・・・。非常に緊張感があります。手に汗、握ります。
まず、パネルの左右と天地の空き具合を、作品を実際に置いてみて、バランスを確認しながら、作品のサイズと照らし合わせながら計算していきます。
こんな感じ・・・。
ここで助手の父に登場してもらい、寸法を測って計算してもらいました。
家具づくりに使う道具を使って、寸法をチエックし、作品の四隅に当たるパネル部分に印をつけました。
この後、二人で作品を持ち上げて、実際に貼り付ける時のシミュレーションをしました。何度も練習して、印をつけたところにピタッと貼れるように、何度も何度も・・・。
こうして、いよいよ本番へ。
実は、今回は「簡易表装」なので、両面テープで貼り付けます。禁断の両面テープ使いです(汗)。
裏に貼っているテープのシール剥がして、練習の成果をいよいよ発揮!
もう緊張しまくり・・・。冷や汗かきました。えいっ!
・・・。ふぅ。
何とか無事に一枚目は完了♡
次の二枚目も、慎重に寸法を測り、パネルに印をつけて、印通りにピタッと作品が貼れるように何度もシミュレーションして、いざ!
・・・。(気合い)
・・・・・・。
おぉ!できたじゃん♡
・・・ということで、こうして無事に作品をパネルに貼り付けることができました。パチパチ。
これで少し気が大きくなった私(汗)。心に余裕が出てきたので、思い切ってデコりました。(『一文字』と呼ばれる、作品の天地につける「横に細長い紙」も貼り付けてみました♡)
更にカッコよく装飾できましたよ。
出来上がった作品を搬入
出来上がった作品と会場の様子については、こちらをご覧ください。
ちなみに私が出品したのは、こちら↓の書道展です。地元の書家の先生方が参加されている団体の展覧会です。
久しぶりの作品作り、いろいろ大変でしたが、とても楽しかったです。
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