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佇まい

どこかで時間を潰すとき、本屋さんがあれば、大抵入ってしまいます。
コンビニやスーパーというのはあまり長居をするようにできてはいないし、カフェに入れば何か注文しなくてはならない。
服屋で買うものがなければ、店員さんに話しかけられるのも気まずい気がする。
その点、本屋というのは背表紙を見ながら店内をぐるぐるしてもあまり怪しまれないのです
(迷惑している書店員さんがいたらごめんなさい)。

本には、相性や縁というものをとりわけ強く感じます。
ベストセラーであったり、何かでおすすめされたりして読んでみたいと思った本を、実際に本屋で手にとってみてから棚に戻したことが何度もあります。
自分の興味関心に近いから読みたいと思ったはずなのに、いざ対面すると印象が違うのです。
これは、今のわたしに合う本じゃない、と。

逆に、店内そぞろ歩きの最中に偶然見つけた本を手に取るや、即レジに持って行ったこともあります。
大げさに言えば、これこそ出会うべき書物であったと一瞬の電流が走るのです。
そうして選んだのが、後に忘れられない一冊になったり、勘違いであったり。

その本に惹かれる理由は明確にはわかりません。
一冊が醸し出す佇まいをかぎとっているのだ、というほかないでしょう。
こればかりは、電子書籍では今のところ再現できない感覚ではないでしょうか。

心に寄り添う一冊を目指してさまよう、書店という森が消えませんように。

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