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纏う

人は見た目では判断できないけれど、身につけているものがその人の趣味嗜好を表現していることは確かです。ファッションは、他者へ向けての何らかのメッセージなのですね。

時には、そのメッセージをどう受け取るべきなのか、迷ってしまうことがあります。
おしゃれにはとんと疎いわたしが、過去に町で見かけて印象的だった例です。

①10代~20代前半くらいの女性。全体的にポップな印象で、原宿あたりによくいそうだな、という感じです。
彼女のカラフルなバッグには、幼稚園の通園かばんにあるようなビニール製のネームプレートが付いていて、そこにはこう書いてありました。

♥️おきたそうじ♥️

何が流行っているんだろうか。

新撰組に心を寄せる歴史好き女子で、アイドルのキーホルダーをつけるような感覚なのかもしれないですね。
あるいは、彼氏の名前がたまたま同姓同名だったりして。


②大学生風、全体にカジュアルでかわいらしい服装の女性。ただ、紺の合皮素材のショルダーバッグに大々的に書かれていたのは、

New York City Police

遠巻きに眺めていた男性の集団が、「…潜入捜査?」「いや、バレバレすぎでしょう」とざわついていました。

本人の意図とは別のところで、偶然意味深なメッセージを発してしまっているのかもしれない、そんな例もあります。


③優先席に座っていたおじいさん。
夏の盛りの昼下がり、冷房の効いた車内でうとうとと居眠りをしていました。
痩せた体にだほだぼとしたTシャツ、その胸に派手に書かれていたのは

RED HOT CHILI PEPPERS

別に良いのです。ファンなのかもしれません。

でもそれならひとつ教えてほしい。
別の日に、品のよい、どちらかというとコンサバ気味の老婦人が持っていた紙袋が"Victoria's Secret"だったのは、どう解釈するべきか。。


わたしたちは話ことば以外のものを通じて、日々多彩な情報をやり取りしています。
情報の伝達がスムーズに進む場合もあれば、時に誤解やひっかかりを招く小さなズレが生じるケースもあります。

このズレこそ、日常を新鮮に輝かせるスパイスのようなものだと思って、わたしは楽しく見つけていくのです。

画材費、展示運営費、また様々な企画に役立てられたらと思っています。ご協力いただける方、ぜひサポートをお願いいたします。