夫と週一くらいで近くの山を歩いている。
山と言ってもなだらかな低い山で
登山じゃなくピクニック位のもの。
「妊産婦が歩くのに適した山」の看板まで入口にある。

夏前に行き始めて秋口の今ではもう
行くのが当たり前になった。
私は水を入れた水筒を、
夫は熱いお茶と木の湯のみ二つを持っていく。
途中で休みながら飲む。
汗をかきながらでも熱いお茶が美味しい。

街中から近い割にあまり人の来ない山で
平日だとすれ違う人もあまりいない。
ところが先日の日曜の朝、何も考えず山に行くと
どういうわけだか家族連れが溢れてた。
途中に張られたテントでは水やお菓子をくれた。

すれ違う人に夫が聞いてみると
四人以上で歩いて折り返し地点まで行くと
抽選で賞品もらえる、というイベントの日だったらしい。
四人組となると、アッパ（お父さん）オンマ（お母さん）
子供二人という家族連れが多くて
私たちはその日、沢山の家族連れとすれ違った。

夫は山ですれ違う人には「挨拶する派」だ。
「大丈夫攻撃しません」のサインなんだそうだ。
すれ違う人から挨拶が返ることもあれば
返らないこともありだけど、
返ってくる子供達の声に実に元気がない。
「アンニョンハセヨ～」が
「ァヨンヨ～」位に聞こえる。
うん、タルいのだろ、きっと。

日曜の朝早くから別に山なんかいきたくね～
家でゴロゴロしながらゲームでもしてたいだろに。
現代の小学生は塾通いで疲れてるんだから
日曜位そっとしておいてくれよ！
山なんか親だけでいけ～

途中で子供が歩けなくなって
止まっているグループが３組いた。
「健康の為に山歩こう！」とか
いい迷惑だよねと、私は子供に同情する。
私も夫の熱意に引きずられて山歩いてるだけだから笑
（といっても来たらなかなか良くて嫌ではない）

その「ァヨンヨ～」ばかりの子供の中で
１人えらくキリリとした声の
「アンニョンハセヨ」が返ってきて
ビックリして思わず顔を上げた。

そこにはまるでタコ糸で縛ったハムみたいに
プリプリしたしっかりした体の小学生男子がいた。
小学４、５年生というところかな。
むちむちの頬は赤く上気していてまるで
五月人形の兜の下の「おのこ」みたいだった。
ひょろひょろな現代っ子の中じゃ
ちょっと珍しいどっしりな感じ。

へえ～と思った。
寝ぼけた声ばかりの子供じゃなくて
こんなしっかり挨拶する子もいるんだと思った。
親に引きずられて山に来てるようにも見えなくて
足取りもしっかりしてて山慣れしているというか、
昔の子か、発展途上国の子みたいだ。
毎日滝に水汲みや芝刈りに通ってる！
（そんなわけは絶対にないのだけど）
なんか強く印象に残った。

私はその子の家も素性も年も、
学校の成績もなーんにも知らないのだけど
その声一つに
「信じられる感じ」とか
「頼りになる感じ」とかを勝手に感じてた。
合ってるのか間違ってるのかは分かりません～
検証のしようもない。
したらストーカー。
変なオバサンが家のまわりをうろついてる～
と通報されたくない笑。

子供だけでも何十人もすれ違ったけど
ふっと顔をあげたくなったのはその子だけだった。
声がきりっと立ってる、というか、
声にパンパンの元気を感じた。
こっちも山行くとぜーはー疲れるから
いちいち顔上げて相手の顔なんて見ない。
自分が歩くだけで精いっぱい。
顔をあげさせられた力のある声だった。

うまく説明は出来ないのだけど
沢山いる人の中で、
「あの子なんかいいね」
「目が行くね」ってありますよね。
人間も生き物だから、
循環の良い元気な生物に惹かれる。

あの日のあの山で
一等賞に元気だったのはあの子で
「まさかり担いだ金太郎～」みたいだったなと。
「元気賞」みたいなのがあったら
賞品はあの子がもらうのがいいんじゃないかと
勝手に思ったりしました。

金太郎飴ってありますね。
どこを切っても同じ顔が出てくる飴。
身体が元気で精神が安定してる子は、
誰にでも同じように親切に出来るような気がするのも、
私の思い込みなのでしょうが。
そんな風に思わせる感じをたたえてました。

同じ飴でも、韓国で今大人気なのは
金太郎飴みたいな飴じゃなくて
タンフルと呼ばれる
フルーツを水飴でコーティングしたスイーツ。
スマートにお洒落。
私の町でも先日タンフルのお店がオープンしたばかり。
苺やトマトだと串一本が3000ｗ（400円弱）
シャインマスカットだと4000ｗ（500円弱）

夕べ店の前を通ると子供達の長い行列が出来てた。
今は金太郎飴の時代じゃないのでしょう。
でも金太郎くんみたいなあの子、
周りに好かれてるんじゃないかなって思いました。
気が満ちてる子は世の流行りを超えて、
傍にいたら良い気分で過ごせる子なんじゃないかって。

と、思ったけどそういえば
私の夫は「気の満ちた人」です。
元気な人、おじさんになっても。
あっ！気は満ちてるけど、
年をとっても夫はやりたい事が多すぎて、
横でいたら落ち着かないわ～！！
金太郎の嫁大変！
横にいたら若い気分でいられるのだけは間違いないと思います。