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企画が始まるまで③/壊されそうなピアノとの出会い

ブログより転載

人口減少は、ピアノのスクラップ化という現象にもつながっています。

どういうことかというと、人口が減って、取り壊しになったり、統廃合されたりする学校や公共施設に置いてあったピアノが、行き先を見つけることができず、建物と一緒に取り壊され、粗大ごみとして捨てられてしまう事態です。

とくに公共施設にあるピアノは、個人に譲ったり転売したりということが難しいとされていて、限られた施設の中で受け入れ先を探さなければなりません。受け入れ先がなければ、そこにどんなに沢山の思い出が詰まっていても、廃棄という選択しか残されていないというのです。

価値がないと感じる人にとっては、ゴミと同じになってしまう。音楽が社会にとってどういう意味があるのか、心から考えさせられるエピソードです。

福井に来て1年目のあるとき、昔お世話になっていた声楽の先生からこの話を聞きました。その後私も、取り壊しになる施設のピアノ問題を何回か聞きつけ、受け入れ先探しに奔走したことがあります。

写真のピアノは、任務地だった坂井市竹田地区にある薪火レストラン「ラ・クラルテ」さんにめでたく迎え入れられたグランドピアノ。50年ほど前に作られ、象牙の鍵盤でなんとも言えない柔らかな音がする、希少な型番の立派なものです。食事つきのコンサートや発表会に利用されています。

高度成長期に量産されたピアノ。個人のお宅にも、公共の場にも、本来の音を忘れられて、ほこりをかぶっているピアノがたくさんあるはず。

そんなピアノたちがある場所が、ぜんぶコンサートホールになったら…。そんな妄想がふくらんでいきました。

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