車いすユーザーが当選席での観劇を叶えるまで

良い席のチケットが取れたけど当選席までは階段を降りないといけないからどうしよう…と困ったことは、コンサートや観劇に足を運んだことのある車いすユーザーなら一度はあるのではないでしょうか。
車いすだからと当選席での観賞を諦めている人の力になりたい思いから、
舞台「オデッサ」に足を運んだ際に、自力歩行ができない私が当選席での舞台観劇をどのようにして叶えたのかを書きます。

Ⅰ.会場と私について

まず参考までに会場と私の障害について簡単に書きます。

1.会場について

会場:森ノ宮ピロティホール
車いす席:前から14列目
当選席:前から2列目のど真ん中
入り口は14列目の扉で、そこから先は階段

2.私の障害について

障害名:脳性まひ(痙直型)
障害状態:歩行器具や手すりがない状態での自力歩行は不可、座位保持可、上肢にも麻痺はあるが普通に動く
車いす:簡易型電動車いす利用 
普段はヘルパー利用なし

Ⅱ.当選席で観賞するまでの手配

前に書いたように自力歩行が出来ないことにより抱えてもらって階段を上げ下ろしする専門的な技術が伴う介助が必要になります。
そのため、今回は開演前後にチケットを持っていない介護ヘルパーさんの会場への出入りを会場に許可してもらうために動きました。
ヘルパーさんの出入りを許可いただくまでの流れを書いていきます。

1.障害者の観賞サポート団体への依頼

内容的に交渉に時間がかかり個人で会場に配慮をお願いすると断られる可能性が大きいと判断しました。
そこで、会場や主催と連携して障害者のコンサートや舞台観劇をサポートする団体UDキャストさんに公式LINEで、介護ヘルパーさんの劇場内への出入りを許可してもらえるよう会場との交渉を依頼しました。
依頼してから3日後に、開演前後なら介護ヘルパーさんの出入りしても良い許可が下りたとUDキャストさんより連絡がありました。

2.介護ヘルパーの予約

次に大阪市内の介護事業所を探しました。
一回限りかつ短時間での介助をやっている事業所が意外と少なく大変でした。
やっと見つかったところで、7000円で介助をしてもらうことになりました。
予約後に、私の氏名と事業所名およびヘルパーさんの人数をUDキャストさんに伝えました。
その伝えた情報をUDキャストさんを経由して会場と主催に連絡していただき調整を行ってもらいました。

3.主催より連絡

数日後に主催からUDキャストを通じて当日の流れについての連絡がありました。
いつもは自分で主催に電話をかけて車いす席の用意をお願いしてるのですが、今回は必要ありませんでした。

Ⅲ.観劇当日

観劇当日の流れについて書いていきます。

1.入場

当日は早めにヘルパーさんと待ち合わせをしました。
会場がヘルパーさんの入場許可証を発行してくださっていたので、入り口でスタッフさんに声をかけるとすぐに入場できました。
時間がかかるため本来の開場の時間より15分ぐらい早く入場させてもらいました。  入り口がある14列目からは階段のため、介護ヘルパーさんにおんぶで席まで運んでもらいました。

2.退場

他の方が退場してからヘルパーさんに迎えにきてもらいました。
帰りは、推しを至近距離で見れたことで興奮したせいか、体が固くなり上手く足が曲がらなくなったのでお姫様抱っこで運んでもらいました。 
出入り口でお金を払いヘルパーさんと別れました。

Ⅳ.やってみた感想

良い席で観劇することができたので手配は少し大変でしたが諦めなくて良かったと思いました。
ただ、介助料が7000円とけっこうかかるので何公演も利用することは出来ないと思いました。
ですが、あそこの席で観劇出来たはずなのにと思いながらモヤモヤした気持ちで観劇することに比べたら痛くない出費だと個人的には思います。

Ⅴ.さいごに

近年、交通機関や商業施設のバリアフリー化は進みましたが、全ての障害者が他の人と同じようにエンタメを楽しめるバリアフリー化はまだまだ進んでいません。
必要な配慮が受けられなかったり、冒頭で書いたように良い席が当選しても車いすだから歩けないからという理由で当選席に座ることを諦めてる人がいるのが現状です。
現状を変えるには誰かがアクションを起こし前例を作っていくしかありません。
私が今回起こしたアクションで大きく何か変わるわけではないけど、後に続く前例になり誰かの助けにことを願ってます。

★UDキャスト リンク
https://udcast.net/feature/accessibility-support-center/

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