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「地球の上を上手に歩けたら、人生も上手く歩ける」をMISSIONに、姿勢教育を通して輝く未来をつくる、小野寺 麻理子さん

プロフィール
出身地:東京都出身
経歴:
1989年
筑波大学体育専門学群(体力学)卒業。在学時はバスケットボールの選手。卒業後、健康のための運動を各団体・企業に指導する活動に従事する。
2001年
デュークズウォークに入門しデューク更家氏に師事。
現在は、最高位である「ウォーキングスタイリスト マエストロ」資格 を持ち後進の指導に当たるとともに、各地のカルチャースクールなどで指導。
また多くのイベント・ メディアへの出演で、デュークズウォークの魅力を多くの人に伝える。
2016年
一般社団法人ぴんしゃんウォーキング協会の理事として設立から関わり、日本人の健康寿命を伸ばすために全国で指導に従事する。
2017年
一般社団法人アンガーマネジメント協会とのコラボレーション企画。「怒らない体操」の啓蒙普及に寄与。
座右の銘:ハッピーエンド始まる

子どもの時の姿勢つくりは、人生全般において大事なこと。

── 今どのような活動をしていますか?その中で、活動方針(大切にしていること)があれば教えてください。

小野寺 麻理子さん(以下 小野寺、敬称略):ウォーキングを教える仕事を長くさせていただく中で3つの柱を持っています。1つは子どもたちに正しく立つこと歩くことを教えるということ。もう1つは高齢者の方々へ転倒しない歩き方の指導、もう1つは人の前に立つような講師、ミスコン出場者、芸能関係者への見せ方の指導です。これらをスクールなどで教えたり、企業に呼ばれて教えたり、マンツーマンで教えたりしています。

そうした活動の中で、いつか、正しく立つ・正しく歩くということを、義務教育に入って欲しいと思っています。

姿勢がつくられるのは身体が成長していく子どもの時です。この時期は人間の身体を作る上でとても重要な時期であるのですが、誰も「正しい姿勢」を教えられていなません。ご家庭や学校で「姿勢が悪いからちゃんとしなさい」ということはできても具体的にどのようにしたらいいかを教えられる大人がいないのです。

現代はスマホやゲームの影響もあり、姿勢が悪くなっているお子さんが多います。姿勢の悪さは見た目の問題だけではありません。

姿勢の良さ悪さは学力に影響するのです。姿勢の良い状態で計算問題をさせた場合と悪いの状態で、同じ算数の問題をさせると、確実に結果に差が出ることも実験でわかっています。気持ちにも影響を及ぼします。姿勢が良い方精神的にもが安定するのでとても大事です。

昔は良い姿勢のつくり方を地域の人が「あんた姿勢が悪いよ」と、みんなでサポートしたけれども、今は諭す大人がいない。そして日本の中では歩行教育がなされておらず、学校の授業でも「行進」は、やったとこはあるれけれど、「歩く」という授業はないわけです。

突然すが、ここで質問です。
右足を出すときに手はどうしますか?

おそらく、学校などで「右足を出す時は、左手を前に出しましょう」と習ったと思います。

でも、それは間違いなんです!!
そして、このことを伝えると「え?!!」となります。

では、プールに入り、水中を歩く時に手はどうしているでしょうか?おそらく、手を後ろに引くと思います。引くから身体が前に出ますよね。陸上でも同じです。空気をかくわけではないのですが、足を前に出そう体を前に出そうと思ったら、手は必ず後ろに引くべきなんですね。
だから、「右足を出すときに左手を出す」のではなくて「右手を引け」って教えなくてはならないのに、学校では「左手を出せ」または「左手を振れ」と教えています。

子どもの時は姿勢をつくる期間なので、その間をどう過ごすのか、教育の一環として取り組むことが非常に大切です。そうすると、大人になってから、O脚や腰痛、膝痛などで悩む方も少なくなるし、もっと言えば年齢が重なって姿勢が悪くなったとしても直し方がわかる。つまづく回数が少なくなると思います。

だから子ども時の姿勢つくりは、人生全般において大事なことだなと専門家として思っています。

2つ目の高齢者の方々に対しては、人生最期の日まで自分の足で歩けるようにして差し上げたい。今は、一般社団法人ぴんしゃんウォーキングという形で動きがスタートしています。

歩けなくなることは=自由が奪われることことだと思っています。誰かに面倒をみてもらわないといけない。トイレに行く時にも声をかけなくてはいけない。

そしてこれだけ高齢化社会になっていくと、いくらお金を積んでも、若い人たちに面倒を見てもらうのは順番待ちになるかもしれない。なので、健康寿命をなるべく長くしたい。寝たきりになる多くの原因は、転倒によるものなのですね。なるべく転倒しないようにするために必要なことをちゃんとお伝えしていきたいと思っています。

ご高齢の方には、自分のためにも、みんなのためにも、日本のためにも最期まできちんと自分の足で歩きましょう!とお伝えしたいです。

3つ目は、人の前に立つようなお仕事をされている方、講師やミスコンの方々に対してです。最近のミスコンは、いろいろと細々したことを要求されます。またTEDで登壇されるような一流を目指す方などは、より良いパフォーマンスを目指して個別でウォーキングを受けられる方が、最近は増えてきていますね。

歩くことは右足の次に、左足を出すだけなんですけれどね。「歩くこと」の探求は終わりがないです。

── 今の活動のきっかけは何ですか?またその活動にどんな気づきや発見がありましたか?

小野寺:もともとは学校の先生になろうと思っていて、体育の教員免許を取りました。でも卒業時には、先生になろうと思わなかった。理由は、採用がなかったことと、バブルの最後でしたので就職したほうが楽だったからです。

社会に出て、“働く人の健康づくり”という分野で仕事をしていきました。スポーツクラブではなかったので、今日はこの企業で糖尿病予備軍の方々に体操、今日はママたちのリフレッシュのための体操、今日は道路工事に携わっている方々、今日はスーツとヒールを履いたオフィスの方々にと、ご依頼主に応じて仕事をしていました。場所も、河川敷、体育館、会議室など、毎回、対象者や目的・場所が変わります。

その人たちに何が残せるのか。やればやるほど悩んだ時期がありました。ダンベル体操が良いと言われても、ダンベルを何十個も持っていけないし、ボールの体操が良いと言われても、十個も膨らませたら倒れるだろうし。

環境を整えられない中、何ができるのか?と考えた時に、「歩く」ということがテーマに挙がったのです。もう1つは、初めて会う方に新しい体操や理論を伝えても残らないし覚えていない。だったら、人間がいつもやっている行為にアドバイスを加えるもので、持って帰ってもらえるものならと思いました。

次に、「歩く」勉強はどこで学べばいいのだろう?と思いました。たまたま知人の紹介でモデルを養成している方のところに行き、紹介されたのが、今の師匠であるデューク更家です。初めて訪れたのが2001年でした。

「歩くこと」はシンプルだからこそ、実はとても汎用性もあるし奥が深い。「歩く」の探求は終わりがない。歩くことは右足の次に、左足を出すだけなんですけれどね。「歩くこと」の探求は終わりがないです。

なぜ、右足が出せるのでしょう?どこからその動力のスタートがあるのでしょう?どうしてこの人はカッコよく歩けるのに、この人はカッコよく歩けないのでしょう?

歩き方が変われば趣向や、引き寄せてくるものも変わる。「歩く」というのは、足を出すことだけではない。そういった意味でも終わりがないということなんです。

師匠と仲間ができたことで、深さと広さ、影響を与える範囲、そして意識が変わった。

── 今の活動をする前と後で、どんな変化がありましたか?

小野寺:前職は、1人で12年くらい。現職は、師匠がいること、共に同じ思考で動いている仲間がいるということが大きな違いですね。

師匠がいるということは、何かを教わりそれを伝承すること。すごく深いと思います。誰かから何かを学んでずっと伝承していくことは、単にその”何か”だけではない、いろいろある人生を含めてのことだと思うので、すごく大きな学びとなっています。

また仲間がいるということは、「あれね!」と言ったら「OK!」と、たくさんの人数で行動できる凄さです。実際、奈良の薬師寺でウォーキング奉納というのを行い、1,500人のうち弟子が約80人、お坊さまやお客様と一緒に一緒に手をつないでとウォーキングをしました。1,500人が心ひとつにして歩く、ただそれだけですが感動の体験でした。それは1人ではできないし、みんなで一緒に1歩を出せる心地よさが違いますね。

師匠と仲間ができたことで、深さと広さ、影響を与える範囲、意識が変わった感じですね。

地球の上を上手に歩けたら、人生も上手く歩ける。

── 今後の夢やビジョンは何ですか?

小野寺:学校の授業に「歩く」を入れること。年配の方が最期の日まで自分の足で「歩く」ことです。

その目標を持った人たちが増えれば、日本がもっと豊かになると思います。

レッスンの中で、みんなで手をつなぎ歩くということをします。大人になってこんなに手をつなぐことはないと思います。人の温かみ、人を感じながら、一緒に共に進んでいくことができるのは素敵だなと思っています。

ブライダルウォークというのもあります。バージンロードって、2人で歩きますよね。レッスンでは、まず2人で徹底的にスニーカーで歩いていただきます。とにかく2人で並んで、歩幅、テンポ、手の振り方幅、身体の動かし方、などをできるだけ合わせるようにして、歩いていただきます。

それを何回もひたすら繰り返していくと、バチッと合う瞬間があるんですよ。その瞬間は、2人にもわかりますし、観ている私も当然わかります。

「あ、きた!!!」。その瞬間、2人で歩むことの素晴らしさを体験されるのです。できればこのままずっと歩かせて!と思うくらいです。

それができてから初めて、女性はヒールを履いて、男性はエスコートする型を習います。2人が一緒に歩くというのは、「人生を共に歩む」ということ。同じ方向を向いているからいいので、向かい合ってしまうとそのうちぶつかり合ってしまう。だから、同じ歩幅で相手を気遣って「歩く」ことをここで実感していただくようにしています。

ブライダルウォーク!はぜひ体験していただきたいです。

もう1つ、裏の夢

── そのための目標や計画は何かありますか?

小野寺:子どもたちに対しては、まずご両親や先生などの学校関係者にお伝えするところから始めようと思っています。そうすることによって、その方々が子どもに教えることができるようになります。ぜひ学校関係者を紹介してほしいです(笑)。

ご高齢者の方々には、私も理事として動いているぴんしゃんウォーキングで、健康的に正しく立つことや転ばない歩き方をもっと多くの方にお伝えしたいと思っています。

もう1つ裏の夢としては、映画のエンドロールにウォーキング指導「小野寺 麻理子」と名前が出るくらいになることです。北野 武 監督が、一番難しいのは「歩くこと」とおっしゃっていました。宮崎 駿 監督も、歩くシーンを入れたくて歩かせた時に誰もちゃんと歩けなかったと。ぜひ「歩くこと」を伝えさせていただきたい!そして、映画のエンドロールに名前が出たらいいなって思っています。私のこっそりの夢です(笑)

もちろんこの3つの柱の根元には、多くの「健康と笑顔と美しさ」を求める、普通に暮らしている方々とのウォーキング指導があります。これからも皆さんと楽しくウォーキングを続けていきたいと思っています。

── 本日は、インタビューのお時間いただき、誠にありがとうございました。

小野寺 麻理子さんの詳細情報はこちら

一般社団法人ぴんしゃんウォーキング協会

編集後記

“私の人生はハッピーエンドと決まっているの。途中、大変なことや辛いことがあっても、それは素敵な人生のスパイス。最後は最高にハッピーなことが待っている。そんな人生の主人公として、いつも輝いていきましょう!”

座右の銘「ハッピーエンド始まる」のイメージをお聞きしました。麻理子さんのパワーの源のようにも思いました。

インタビューを通して、ご自身もチームも人とのつながりをとても大切にされており、また人生を共に歩くことで、日本を元気にしたい思い伝わりました。地球規模で考えることが好きとおっしゃっていたことも印象的でした。このインタビューの時間を、麻理子さんと共に一緒に歩めたことが幸せです。

インタビュー担当︰左から、石塚 雅子、三笠惠美、阿久津 由香


この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


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