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360.「成人式」あらため「はたちのつどい」

(なんて、しあわせなんだろう……)

と、しみじみ。
 
いつも感じることだが、私たち家族の歴史に、子どもたちは、あるときまでは「いない」。
あるときから「いる」。
 
(いなかったのに、いる)
 
目の前の子どもたちを見るたびに、奇跡のようだと思う。
家庭という器の中で「他人丼」の夫と私が、子どもたちによって、いつのまにか「親子丼」になっている素敵なミラクル。
 
(本文より)
 
***********
 
12月に極寒の日があったので、天候を心配していた。
 
(冷たく強い風が吹いたり、雨が降ったりしたらかわいそうだな)とか、(下半身が冷えないよう、マタニティのときに履いていた膝丈の毛糸のパンツをはかせなきゃ)とか、(襟元と背中が大きくあいた、あったか下着を用意しなきゃ)とか、私が寒がりなので、防寒対策のことばかり考えていた。

ところが、2023年1月9日は、快晴! 風なし! 信じられないくらい、あたたか~。
ふわふわの白いショールもいらないほど。
 
「よかったね~ よかったね~」って、100回以上、思ったし、言った。
 
当日、娘は6時15分から、近所の公民館の和室でヘアと着付け。
この時間は、かなり良心的なほうだ。予約が遅ければ遅いほど、どんどん時間が早くなる。
 
真っ暗な中で起きるのは眠いし、寒いし、着付けが終わったあと、式典までの時間が長いほど、着崩れする可能性が高まるし、動きを制限されるし、当人にとっては、嬉しさ反面、不安な気持ちが大きいだろう。
着付け会場から、自宅に戻るのも大変だ。
 
(誰も見ていないのだから、スニーカーを履いて、さっさと戻ってくればいいのに)
 
と思うけど、慣れない草履で、がんばって戻ったらしい。
 
「らしい」というのは、私は、父の介護で、実家に単身赴任中で、父がデイサービスに出発するまでは自宅に戻れないので、娘の様子を見ていないからだ。
(主人は、布団の中から「声だけ参加で応援」とのこと)
 
出かける時は間に合わなくても、せめて、着付けを終えて帰ってくるのを自宅の玄関で出迎えてやりたいと、母親として思ったけれど……、
 
(無理でござる)
 
とっちらかった実家から、夫に電話。


「もしもし、てんちゃん?(夫の名) ごめん。間に合わない」
「おれも、間に合わない。洗濯終わってへん」
「そしたら、菜々が戻ってから、こっちに迎えにきてもらって、そのまま、菅原神社に行こうよ。そのほうが、よくない?」
 
ということになり、娘を乗せた車で実家に迎えに来てもらって、氏神様であり、産土神社であり、お宮参りをした神社に向かう。
 
(振袖姿と神社!)
(ぜったい、映える)
なんて素敵。想像するだけで、ときめく。
 
昨年、ことだま師仲間のMさんが、振袖姿のお嬢様と、ご家族で神社で撮影されていて、その素敵な光景が記憶にあり、やってみたくなったのだ。
 
前撮りは、昨年の5月、二十歳の誕生日の前日に終わっている。
このときは、私たちの次の人がキャンセルしたため、時間があり、スタジオのご厚意で、撮影用のセットの中で、思う存分、いろんな写真を撮らせていただき、大満足。
 
(次は、屋外のひかりの中の振袖姿!)
 
……と、燃えている私の、「NOを許さないパッション」に、娘も主人もつきあってくれる。


事前に、てフォトスポットをリサーチする時間がなかったので、ぶっつけ本番。
車を降りて、広い駐車場に降り立ったものの……
 
(どこで、どんなふうに?)
(映えスポットは?)
(萌えスポットは?)
(神馬もかっこいい)
(急がなきゃ!)


と、思わず小走りになる。
 
(なんでついてこないの?) 
 
と振り返ると、歩きにくそうに、ヨタヨタとやってくる娘。
 
(そうだった、着物と草履で歩きにくいのだった!)
 
と気がつくと同時に、我に返る。
そもそも、神社に来た最大の目的は、娘の健やかな成長を守ってくださったことへの感謝を、お伝えすることだった。
 
(まずは、ご神前に!)


 
心をこめて、二十年間をふりかえってご挨拶。
ご挨拶したあとは、娘が手を合わせている姿を撮影させていただき、その後は、ご神域を撮影三昧。

飾ってあるきらびやかな御神輿に、当時3歳だった息子が、ぶらさがろうとしていたことを思いだす。
 
「ななちゃん、ここ立ってみて」
「ちょっと下向いて」
「ちがう、もうちょっと横」
「まっすぐ歩いていって」
「そこで振り返って」
「かわいーーーーーっ」
 
というようなことを、延々。

(いったい何枚撮るの?)
 
という話なのだが、撮っても撮っても、もっと素敵な写真を撮ってやりたくて、いつまでも終われない。
 
イメージでは、すごい写真ができているのに、実際の写真はそうでもなくて、プレビューを見てがっかり。
「プロとはカメラが違う」と、夫になぐさめてもらいつつ。
 
ちなみに夫は、終始荷物持ちに徹して、ついてきてくれる。
もっと、たくさんのご家族がお詣りにいらっしゃると思っていたけれど、出逢ったのは3家族。
がんがん撮影しているのは、うちだけ(笑)

まだまだ後ろ髪を引かれるご神域をあとに、自宅マンション前に戻ってくると、振袖姿に遭遇!
 
娘に尋ねると、小学校の時の友達だという。
中学、高校は別なので、8年ぶりらしい。
会えたタイミングに感謝。記念の写真も撮れた。

娘3人がはしゃいで話をする横で、母3人が話すのは、どこでレンタルしたかとか、ヘアと着付けは何時だったかとか、前撮りはどこで撮影したか、などなど。
 
息子の成人式のときは、年末までぜんぜん気がついていなくて、仕事納めの日に、
 
(ひょっとして、もうすぐ成人式では?)
 
といまさらのように気付き、あわてて、近所の紳士服量販店で、スーツとシャツとネクタイを合わせて購入した。
時間にして1時間もかかっていない。
 
(男の子って、なんて、楽なの!)
 
女の子の成人式関連にかかった時間と労力と金額ときたら。
振袖が決まったあとも、髪型や、髪飾りや、ネイルや、メイクや、懸案事項が山盛り。
 
娘が、ぐうたらで、前撮りの直前まで何もしていなかったので、いったい何人の先輩ママやお嬢さんから話を聴かせてもらったことか。
 
でも、その甲斐あって、ほぼ100均ショップで髪飾りをそろえることができ、色も形もかわいくて、娘も私も大満足。

100均ショップでは同等品が見つからず、手芸店で買ったために、一番高価だったゴールドのコードは、前撮りの髪型では使うことができなかったので、今回、どうしても使いたかった娘。
美容師さんに素敵にアレンジしていただけて、ニコニコ。

神社で撮影し、マンションの前の道路で撮影し、自宅に戻ってからもリビングで撮影し、その枚数100枚以上。
 
成人式を迎えた娘さんをお持ちのご両親は、みなさん、同じことを思っていらっしゃると思うけれど、本当にかわいくて。
あっちからも、こっちからも、眺めまわして、美容師さんや、着付けしてくださったかたたちの技術に心酔。
 
夫は、神社でも、自宅リビングでも、全く写真を撮らせてくれなかったが、会場となる中学校の近くまで車で送るとき、マンションのポーチで、ようやく、
 
「一枚くらいいいか」
 
ということで、娘とツーショットで撮らせてくれた。
花嫁の父の気分なのかどうかは、謎。
 
今年は、規制が緩和され、保護者の参列は2名まで可能となっていたが、私たちは行かず、家で待機。
終わってからの流れで、友達とどこかに行くなら、それもよし。
戻ってくるなら、家族でお祝いランチを。
 
ひざしがいっぱいに差し込むリビングで、玄関にずっと飾ってある、七五三の時の写真を取り出して、しみじみ。


 
(おっきくなったー-)
 
その後、体育館で、友達と思う存分しゃべった娘から連絡があり、事後の予定はないとのことなので、家族で、近くのお店へ。
思いがけず、個室に案内してもらえて、お正月の雰囲気が漂う、雅な音楽が流れる室内で、
 
(なんて、しあわせなんだろう……)

と、しみじみ。

いつも感じることだが、私たち家族の歴史に、子どもたちは、あるときまでは「いない」。
あるときから「いる」。
 
(いなかったのに、いる)
 
目の前の子どもたちを見るたびに、奇跡のようだと思う。
家庭という器の中で、「他人丼」の夫と私が、子どもたちによって、いつのまにか「親子丼」になっているミラクル。
 
***
 
食事をしてから、のぞいたセレクトショップ的なお店で、ちょっといい感じのアクセサリーを見つけた。
 
(チューリップのかたちのピアス)
 
結婚前に、ハウステンボスでチューリップの指輪を買ってもらったことを思い出し、娘に話していたら、
 
「買ってあげようか」
 
と、後ろから夫が言ってくれて、娘の成人式のお祝いなのに、私がプレゼントしてもらうことに。

娘には、私から、ちょっと大人っぽいデザインの、しずくのついたアシンメトリーなイヤリングをプレゼント。

息子に、この三連休を、広島でどう過ごしているのかラインしたところ、会社の人に連れていってもらって、廿日市にあるカントリークラブで、ゴルフコースデビューしたとのこと。
 
息子も楽しそうなので、よしよし。
 
浜田えみな
 

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