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383.稲葉優子さんと行くみちひらきの旅(大津・関蝉丸神社編 2023.4.2)

画像でしか見たことのない関蝉丸神社の境内に、たたずんでいる不思議。
優子さんと一緒にいる不思議。

(桜の祝福)
(花吹雪)

花は散る。
だけど、春になれば蕾をつけ、何百年も咲き続ける。

(本文より)

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そもそも、今回のメインは、関蝉丸神社参拝。
神社まで、徒歩10分ほどのJR大津駅で待ち合わせをしていたのに、そこから、まったく別の方向に歩きだし、京阪石山坂本線の終点・坂本比叡山口駅へ。

1時間後には、桜吹雪が舞う日吉神社の参道の入り口に立ち、信じられないほどの畏敬と妖艶さで、しなやかな枝を広げて降ってくる、太閤桜の氣の下にいて、その30分後には、日吉東照宮のご神域で琵琶湖を眺めながら、お花見をして。

(おもしろいなあ)

私が一人で出かけていたら、当初決めたルートのまま、関蝉丸神社下社と上社をお参りし、そのあと、瀬田の唐橋に移動して、豊玉姫つながりの勢多橋龍宮秀郷社と、大ムカデ退治の供養塔で手をあわせていたと思うから、あんなに素晴らしい桜を見ることはなかっただろう。

ぎちぎちでなく、フレキシブルにどちらにもまわることができるゆとり。

(あそび)

時間のあそび。
心のあそび。
お金のあそび。

***

関蝉丸神社下社は、京阪電車の京津線「上栄町」駅からも行くことができるとわかり、そのルートで行くことにする。

ほどなく、上栄町に到着。
降りたものの無人の駅で、周辺図の掲示もなく、どちらに進んでいいのかわからない。

由緒ある神社なのだから、地元の人なら誰でも知っているだろうと思い、通りがかった人に尋ねると、怪訝な顔をされてしまう。

(地元の人が知らない!?)

あわてて、駅をまちがえていないか、ホームページを調べるが、合っている。
そこで、優子さんのスマホナビ登場。

グーグルマップのポイントに導かれるままに、関蝉丸神社に近づいていく。
JR大津駅を通り越して、まだ進む。

(思ったよりも遠い)

本当にたどりつけるのか心配になる。
たしか、境内を京阪電車が走っていると書かれていた…… と思っていると、いきなり線路が目に飛び込んできた。
線路沿いに歩いていると、看板が!


(やったー!)


「音曲芸道祖人」「関蝉丸神社」と彫られた石碑や、「蝉丸宮」と彫られた灯篭がある。
そして、ほんとうに、


(参道に踏み切り!)
(鳥居の前に遮断棒!)

線路を渡って、境内へ。

ご神域は、何かがぽっかり抜けたような空疎さがあり、狛犬や石碑が、ボードゲームの駒みたいに並んでいる。

本殿はブルーシートがかけられ、修復の真っ最中。
お賽銭箱もなかったので、むきだしのままの硬貨を、そっとのせる。

平日は、工事の人たちが作業をしているのかもしれないが、優子さんと私が訪れた時間帯には人の姿はなく、静かにお詣りができた。

本殿の奥のエリアは、たたずんでいるだけで落ち着くような静謐さがある。
昔は、鎮守の森が豊かに息づき、もっと繁茂していたにちがいない。

看板には「令和の大修復」「六月完成予定」と書いてある。

修復工事が終わったら、生まれ変わった関蝉丸神社に逢いに来ようと、優子さんと約束する。

時間の関係で、私はここでお別れをして、JR大津駅から帰路に。
優子さんは、猿田彦命をお祀りしている上社へ。

別れ際になり、優子さんと写真を撮っていないことに気がつき、せめて記念に一枚、苦手な自撮りを試みようと、あたりを見回すけれど、目に入るのは、ブルーシートや工事中の看板。

蝉丸の歌の石碑まで戻る時間もなく、踏切の鳥居を背景にパチリ。

(どこなのか、まったくわからない!)

あんなに美しい桜の参道や、美しい彩色と彫刻が施された日吉東照宮にいたのに、自分たちの写真を撮ることに思いが至らなかった私たち。

(まっすぐに、それぞれの体験のど真ん中にいたから)

優子さんの旅は、まだまだ続く。

神奈川県に住む優子さんと、大阪府に住む私が、滋賀県の坂本~大津で、電車に乗ったり、歩いたり、桜を見たり、バスに乗ったり、花見をしたり、お詣りしたり。
待ち合わせから、3時間のトリップ。

(なんという濃い時間)

そして、
画像でしか見たことのない関蝉丸神社の境内に、たたずんでいる不思議。
優子さんと一緒にいる不思議。

(桜の祝福)
(花吹雪)

花は散る。
だけど、春になれば蕾をつけ、何百年も咲き続ける。

そのことを体感した。

(二百年咲き続けた桜の記憶が、次々に降り注ぐから、あんなにも動けずにいたのだ)

***

最後になったが、歌舞音曲・芸能の祖神として崇められ、目が見えなかった蝉丸が開眼する逸話にちなみ、眼病に霊験あらたかで、髢(かもじ〈髪の毛のこと〉)の祖神ともいわれている「関蝉丸神社」とご縁ができたのは、昨年の10月に優子さんと八幡市の石清水八幡宮をご一緒したときに、不思議な「みちひらき」があり、導かれたから。

ホームページを見て、神社の老朽化と崩落の惨状に驚き、クラウドファンディングの支援をするとともに、チャリティセッションを企画した。

返礼品が素敵だったので、思いがけずたくさんの支援をしてくださって、嬉しかった。

旧暦のお正月に、関蝉丸神社から、ご丁寧なお手紙と返礼の品々が届き、豊玉姫の祈りが届くような、琵琶湖真珠の清楚な輝きに、ときめいている。


チャリティセッションに賛同してくださったかたと「真珠倶楽部」を発足したいくらいだ。

チャリティセッションのことは、ブログに綴っている。


上社には、今回、私は時間の関係でお詣りできなかったが、優子さんが、写真を送ってくれた。

***

(見えなかったものに目をひらいていく)

優子さん、誘ってくださって、ありがとうーーーっ
これからも、旅をしましょう。

浜田えみな

連載しています。


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