恵美

フリーライター、翻訳家、ブロガー。ポーランドと日本のミックス。物を書くことと踊ること、…

恵美

フリーライター、翻訳家、ブロガー。ポーランドと日本のミックス。物を書くことと踊ること、音楽が好きです。短編、詩、エッセイみたいなものを載せていきます。

最近の記事

とあるハーフの独り言

これはあくまで、とあるハーフの独り言です。 ハーフって一口に言っても、生まれた年代、どこの国とのハーフか、どっちの国で生まれ育ったか、都会育ちか田舎育ちか、どっちの親が外国人か、どんな学校に通ったか、などなどのファクターによって、経験する出来事が違ってくるから。 ハーフという言葉だけで一括りにするのはもう難しいなと思ってます。 なので、ここはあくまで、アラフォー、田舎育ちのポーランドx日本ハーフの女子の独り言を、つらつら書いてみたいと思います。

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    • ウズベキスタン旅行記⑥~ブハラに恋をする

      ウズベキスタンのブハラは2500年以上もの歴史を持つ古都で、中国の『史記』にもその名前が登場するらしい。1220年チンギス・ハーン率いるモンゴル軍によって壊滅的に街を破壊されたものの14世紀に再建され、今もその当時とほぼ変わらない面影を強く残す中世都市だ。たぶんウズベキスタンと言ったらサマルカンドが一番有名だと思うけど、個人的な感想を言えばブハラほどワクワクした街はそうそう無い。ウズベクブルーと幾何学的な装飾がため息をつくくらい美しいイスラム建築、不思議な構造のバザールに所狭

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      • ウズベキスタン旅行記⑤~誰もいない砂漠の遺跡で

        周りのユルタに泊まる人を起こすラニアさんの明るい声が聞こえて、7:30過ぎに目を覚ました。もう出発する人たちがいるのだろうか。寝ぼけ眼で外に出てみると、真っ青な空が広がっていてとても清々しかった。どこまで見渡しても青と砂色とコントラスト。気持ちよくて大きく深呼吸をした。 顔を洗い、軽く朝食を済ませた後、キャンプの敷地内にあったブランコに乗りながら、ラクダの鳴き真似をしてラクダが振り向くか試して遊んだ。結構、上手くなってラクダが反応するものだから笑えて仕方がなかった。 さて

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        • ウズベキスタン旅行記④~砂漠でぽつんとユルタキャンプ~

          ヒヴァの街から走り出した車はひたすらまっすぐな道路を進んでいく。周りに民家が見えていたのも束の間で、やがて農地や荒野の中を走るようになった。しばらく走るうちに雨は止み、私とTちゃんはホッと一息ついて、窓を流れる景色を眺めていた。 向かうアヤズカラはウズベキスタン内にある自治国カラカルパクスタン共和国の中にあった。カラカルパクスタンはウズベキスタンの面積の約37%をも占め、独自の憲法も持っていて、一番有名な観光スポットといえば、環境汚染で干上がったアラル海だろうか。アヤズカラ

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        とあるハーフの独り言

        • ウズベキスタン旅行記⑥~ブハラに恋をする

        • ウズベキスタン旅行記⑤~誰もいない砂漠の遺跡で

        • ウズベキスタン旅行記④~砂漠でぽつんとユルタキャンプ~

          ウズベキスタン旅行③~砂漠の街ヒヴァ~

          爆睡から目覚めると柄オンパレードの部屋に自分が横たわっているのに気づき、自分がウズベキスタンにいることを思い出した。昨晩は汚いバスルームに慄いてTちゃんと2人でシャワーを浴びに行ったが、冷水しか出ないし、水も心細い量しか出ず、満足に体を洗えなかったし、潔癖症のTちゃんは半泣きだったので、十分疲れが取れたとはいえなかったけれど。しかも例のごとくバスルームへ行くには住民の部屋を通過しなければならないので、水浴びを終えて部屋に戻るときに、おばちゃんたちが室内で髪を切っている場面

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          ウズベキスタン旅行③~砂漠の街ヒヴァ~

          ウズベキスタン旅行記②~出発〜ヒヴァヘ~

          シルクロード交易で栄えた世界遺産都市がいくつもあるウズベキスタンは、北側にカザフスタン、南側にトルクメニスタンとアフガニスタン、東側はキルギスタンとタジキスタンに囲まれる、いわゆる「スタン」系の国。イスラム教国ではあるけれど、かなりゆるめらしい。アフガニスタンのせいか、スタンとつくだけで危険なのでは?と思われがちだけど、実際はかなり安全な国である。2018年からビザなしで入国できるようになり、海外旅行先として人気急上昇で、特に日本からの観光客が増えているそう。実際、私たちが乗

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          ウズベキスタン旅行記②~出発〜ヒヴァヘ~

          ウズベキスタン旅行記①~出発前夜~

          5月に10日間ほどウズベキスタンに行ってきました!それがとても強烈な体験になったのだけど、友達や家族へのお土産話ぐらいじゃ全然それが伝えきれないので、忘れないうちに旅行記をまとめたいと思う。 なぜウズベキスタンに? 私がウズベキスタンに行きたいと思ったのにはいくつか理由があった。ウズベキスタンというか中央アジアに強い憧れがあったのだ。古くからシルクロードの経由地点として栄えた中央アジアはまさに西洋と東洋が入り混じる場所。民族も多様な地域だ。昔ポーランドに留学した時に寮で出

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          ウズベキスタン旅行記①~出発前夜~

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          トラウマ

          何がトラウマになったのか、その時に気づくことはない なのに突然、涙があふれ出して 発作のように止まらなくなって 自分でもびっくりして それがトラウマだったのだと知るのだ それはそのシーンを彷彿させるような場面をみることがきっかけになることが多くて 胸がざわざわし始める そしてばーんと発作を起こす 身体が悲しみで満ちる こんなに、こんなに、悲しかったのだと 苦しかったのだと思い知るのだ こんにちはトラウマ 今夜は悲しみを抱いて眠る

          トラウマ

          対話

          対話 静かな家の中で 息をひそめ 耳をそばだてる 怯えるな 甘えるな いじけるな ささやく声が聞こえる 隠したってお見通し 隠れたってそれはわたし 真実はわたしの中にある 未来はこの手の中にある 逃げ切れやしない わたしとの対話

          降伏

          降伏 突然思い出したように その名を露にする君は あのときの音楽と あのときの香りを率いて わたしを包囲する きっと君は知らないでしょう かなた離れた小さな部屋の片隅で わたしが君に降伏していること 君がわたしの王となっていることを

          あの子

          あの子 透きとおった幕がおりた あの子のまわり なにも聞こえない なにも届かない 出ておいで そこでは凍えてしまうから 出ておいで 崖に立ちすくむきみを 見ていられないから 出ておいで 心をはねかえす幕の中 あの子は振り返らず 崖の淵を見つめてる なにも聞こえない なにも届かない 底なしの闇

          あの子

          ごめんね

          ごめんね 空はこんなに晴れているのに ぼくに見えるのは どんよりした灰色 心にナイフ 悲しそうなきみの瞳 川の水は しびれるくらい冷たい ぼくときみを分かち 薄青い水面に 醜い心を映す ごめんね ごめんね ぼくがぼくでごめんね ぼくが作り出したきみの涙 冷たい水の川を流れる こころの底から 悲しみのふちから

          ごめんね

          遠い恋

          遠い恋 触れることができなくて いつもいつも 胸にトゲが刺さってるの きみの笑顔はいま 誰のために わたしはいないの そこにはいない そばにはいない どこにもいない わたし抜きで回ってる きみの日常 どんなにいいだろう きみの隣にいられたら その肩に寄りかかれたら わたしの隣には きみのホログラム 胸にトゲがささってる

          片想い

          はははと笑ったその声は 風が連れ去り 君の耳には届かなかった 気持ちを込めた微笑みは 太陽が眩く照らし 君の目には届かなかった 差し出した手のひらは 雨が冷たく濡らし 君の指には届かなかった こんなにあたたかいのに こんなにつめたい こんなにしあわせなのに こんなにくるしい 君は一度も振りかえらず 君の道を歩む

          片想い

          ありがとう

          ありがとう どう伝えたらいいのか 人混みの向こうで 立ち尽くす 世界はあまりに騒がしく 大事な声は届かない どう伝えたらいいのか 誰にも見えていない 透きとおる君の言葉 閉じ切ったぼくの砦に 鮮やかにあらわれた あまりにも この世にそぐわない 痛いほどの美しさ どう伝えたらいいのか どう伝えたらいいのか

          ありがとう