catch the ORION

SPECIAL OTHERSの「Have a nice day」というアルバムに収録されている「ORION」という曲が、とても好きだ。

とはいえ、以前にライブで彼らがこの曲をやったときにも遅刻して聴き逃していたりして、まだ一度も生で聴けたことがなかった。そんななか、2月初旬の東京でのライブでやっと、初めてライブで聴くことができた。やっぱり名曲だなあ。

彼らの曲は基本インストだけれど、たまに歌が入る。この曲では「ララララ」と、コーラスでハモるだけなんだけれど、そのシンプルなコーラスがまたすごく気に入っている。

今日は、このORIONにまつわる、2月の中旬に自分が考えていたことの日記的なものを。

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今年の1月をもって“会社員”という身分を卒業させてもらった私だが、気持ちの整理整頓をしきれていまま、1ヶ月くらいが過ぎようとしていた。

そんななか、いろいろと状況に自分の気持ちをアジャストできていないことが増えてきて、短くてもよいから旅にでも出ないとな、と思っていたのだけど、「あ、沖縄でオリオンビールを飲みながら『ORION』が聴きたいな」と決意し、那覇へと向かうことに決めた。別にORIONが聴きたい、とかは後付けの理由だったかもしれない。沖縄南部の洞窟でやるというSPECIAL OTHERS ACOUSTICのライブが、とても観てみたかったというのもある。

理由はさておき、“会社員時代”からの“卒業旅行”に行くための口実を欲していたんだろう。

ということで、SPECIAL OTHERSのエレクトリックとアコースティックの旅の最終地点、2日間別々の場所でのライブを主目的に置き、それ以外は本当に何も決めていないままの旅へ出た。

1月半ばから痺れていた左の腕も、先週から痛くて仕方なくて東京を出るときには明るいものを見ることすらできなかった右目の眼球も、気付けば随分と痛みが無くなっていた。気候の暖かさもさることながら、人々の温かさによって受け止めてもらって治った部分もたくさんあるんじゃないかと思う。
私はときどき、ぽーんと旅に出たくなってしまって、実際に出てしまうけど、それは「私のことを誰も知らない場所に行きたい」という欲求とかでは全然無くて、どちらかといえば、誰かに会いに行く目的でしかない。“今、このタイミングであの場所にいるあの人に会いにいかなくては”という気持ちに、突き動かされる。
学生の頃の自分の旅の目的と、働き始めてからの自分のそれの大きな違いは、そこかもしれない。
日本全国、いや、世界各地に、友人がいてくれるというのは本当にありがたい、有り難いことなんだと、今回はしみじみ感じている。
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC が、最高の響きを持つ2万年の歴史が積み重なった洞窟で、旅の最後に選んだ曲が「Sailin’」だったことも、いまの自分にとっては最高のカンフル剤となりました。
自分で“卒業の旅”と銘打ってきて、さあここからまた旅が始まるんだなあ、と、勝手に自分の状況と重ね合わせた。そういうことがあるから、音楽とか文学って、素晴らしい。勝手に解釈して勝手に感動できる。
いつもいつも、自分の周りにいてくれる仲間に、あらためての感謝を。ありがとうございます。

洞窟ライブを体験した日の夜にFacebookへと、自分はこのように投稿していた。恐らく、これがあの日の自分の偽らざる気持ちだったろうとは思う。

けど、その後、1日ちょっとの間に考えたり感じたりしたことのほうがきっと大事そうだったので、あらためていろいろ書き付けておこう、と思っていまこれを書いている。


そもそも。

SPECIAL OTHERSにこのタイミングで会いたかったのは、洞窟ライブがあるからなんだと思っていたけど、たぶん違ったのだ。というか、その気配は当たっていたんだけど、それ以上の、意味があったんだと思う。

いまの自分があるのは、間違いなく、SPE兄さんたちに仕事を通して出会えたからなのだ。

最初の最初、全く面識もなく飛び込みで電話したときに「いやーそろそろ俺らも御社の雑誌(当時私が所属していた雑誌)とか出たいよね!」って話してたんですよ、と言っていただけたときは、本当にラッキーなタイミングだった!と思ったものだったけれど。あれからいろんなことが始まっていたのだなあと今になってやっぱりしみじみと、感じた。

なので、“会社員としての自分の卒業旅行”なんてことを銘打つならば、圧倒的に会いに行く必要のある存在だったのかもしれない、とも、あらためて気付いた。


那覇へ来る前日の夜に、関わらせてもらった本の刊行記念イベントがあり、そこで聞いていた “委ねれば、うまくいく” “ご縁に感謝” といったことを実体験としてわからせてもらえる出来事が詰まりまくった旅だった。エピソードのひとつひとつをここに書いたらキリが無いので割愛するけれども。

何もプランニングしないまま降り立ったのが、幸と出たのかもしれない。

那覇に到着した途端、ゆいれーるにジャビットがくっついてて、何かと思ったら巨人軍キャンプだったり。(試合には行くけれどキャンプは観に行ったことがなくて、いまはちょうど自分にとっての一時代を築いたヒーロー達がコーチ陣をかためているから、本当にテンションが上がった)この辺りから、この滞在は何かあるな、と思っていたけれど。

滞在中にもいろいろな人と話をしたりしながら。

滞在1日目の夜は、大好きなライブハウス「桜坂セントラル」でSPECIAL OTHERSのエレクトリックツアーの最終公演を、オリオンビールを飲みながら観た。

翌日、なんの気なしにいってみた那覇の神社 波上宮は海を臨む神社で。そこで手を合わせたとき、ギュッと心を掴まれるような感覚があって、ちょっと涙が出た。

2日目は沖縄南部のガンガラーの谷まで、行きはひとりで、バスに乗って向かった。窓から眺める景色が、南部に入った途端に植生がワイルドになっていくのがわかって、ゾクゾクした。洞窟でのアコースティックライブは響きがとてもオーガニックで、ああ、ここまで来て本当によかった、と思った。ファイナルファイナル、オーラスが「sailin’」だったことにとても勇気づけられたし、演奏も最高だった。

「みんなこだわりすぎてるよね!完璧さに!」と、洞窟ライブのMCでメンバーが話していたのが印象的。(昔の歌謡曲の歌い手のピッチがあんまりあってないのがよかった、という話だったけど。笑  勝手に私はいろんなことにそれを展開させて考えてしまった。) ガンガラーの谷で作られているクラフトビール「ニヘデビール」がとても美味しかった。

沖縄にいても仕事は進められていて、ああ場所とかあんまり関係ないよな、と思ったり。と、同時によくわからないけど、すごく私のことを応援してくれたり、肯定してくれたりする仕事仲間や友人からのメッセージがやたらときたり。どうしたんだ、今日は……と思いつつも、「まあ…とはいえ今日のところは東京へ帰るしかないでしょ(当たり前だ)」と寂しい気持ちを抑え、諦めながら、滞在の最後に、タイミングよく那覇で開催中だった懐かしい友人の展示を観に行った。そこはコワーキングスペースで、飛行機に乗る前にと仕事関連のメールをいくつか打っていたら、まさかの自分が帰る予定だった便の欠航メールがくるという事態。

えええええええ……

でも、もう神様が「まあ、もう一日、いてみれば」と言ってくれているとしか思えなかった。

幸い、私は会社員ではないので明日会社へ行かなくてはならないわけではないし、今この瞬間もここで仕事できているし、と。

…と、この辺りからは、もはや前日にいただいてきた洞窟のパワーなのかなんなのか、わからなくなっていたけれど、あ、これが委ねてるとこうなるってことなのかな、ともう流れに身を任せて楽しむことにした。

この後もいろいろと楽しいことがあったがもうそういうひとつひとつも割愛しよう! 最後の「たけちゃん」まで全部楽しかった!ってひとことで済ましておくことにする。

那覇にいる間に話していたなかで、何度かキーワードとして出てきた、ダイヤモンド、とか、オリオンとか、儚いけれど確実に光っているもの、みたいな、そういったことについて考えている。

そういえば、オリオンは、太陽神に目の治療をされたそうだ。まさに、私の目が治りつつあるのは、そういうことなのかもしれないな、なんて思った。

で、まあ結論、この旅は何からの卒業を考えたのか、といえば、“何かに収まったなかで何かをする”ところからの、卒業だったんだろうなあ。

“恐怖心で身を伏せるより、好奇心で宙を舞うように。” 〜 SPECIAL OTHERS feat.kj 「sailin'」(ちなみに、このsailin' でも歌詞で「ORION」という言葉が登場する。それがこのタイトルに付けた「catch the ORION」というフレーズなんだ)

そうだよなあ。この先も、状況に委ねていくしかない。

そう、SPECIAL OTHERSは沖縄では結局『ORION』は演奏しなかった。メンバーのひとりに「私、ORIONが大好きで。あれを新木場で聴けたからこそ、あ沖縄も行こう!って思えたから。沖縄でも最後にORION聴きたかったですけどね!」と話していたら、「ああーー!そうだった。沖縄だし、ORIONはやろうねって言ってたのに!忘れてた」と言っていて、それがまた非常に和んだというか。ああ、このくらい、肩の力抜いて、気張らずに行かないといけないよな、と。

SPECIAL OTHERSは音楽という意味でも人という意味でも、いつも自分を受け入れてくれる、とても大事な存在だな、とあらためて。これからもよろしくお願いします。

そうそう。那覇を出る前、最後に大好きな桜坂劇場内にある「さんご座キッチン」へ行ったら、入った途端、まさかのまさかで、「ORION」がかかっていた。ちょっとORIONづきすぎて怖いくらいになってきたので、私はそそくさと那覇の街をあとにした。

那覇では、台湾に多くある緋寒桜(ヒカンザクラ)が咲いていてピンクの色に元気をもらった。春節を前に、2014年までのタームから卒業するきっかけをたくさんもらって、確かに気持ちが変わり、落ち着いていくのを感じだ。

那覇から東京までは約3時間。またいつでも来よう。

(投稿内容はここで終わりです。投げ銭システムを一応用意しておくことにしました。強制ではありませんので、あしからず!笑 長々とお読みいただきありがとうございました!)

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