私はいつからかわからないけど「後悔はしたくない」と強く思って生きてきた。
だから、どんな決断の時も自分で決めて進んできた。
そうすると想い描いた結果にならなくても人のせいにする事なく反省でき、これが最善だったんだと思えたから、人生で後悔は1つだけ。

私が30才の時父が直腸癌の再発で入院し、余命1週間位ですと告げられ病院へ泊まり込みで付き添う事になった時のこと。

癌は肺に転移し呼吸器を取り付けていた。
そのため喉が乾くけどお水を飲むとむせてしまう。
夜中でも2時間おきに氷を舐めたいと呼ばれて
睡眠時間は細切れで1日4時間ほど。
そんな状態が続いた7日目。
私に限界が訪れました。

とにかく涙が溢れる。
父が私を呼ぶ声を聞くことが嫌になって「家に帰りたい」と頭の中で声がする。

父は甘えん坊の子供みたいになっており、痛みを感じないようモルヒネの投与もしていたため意識は朦朧としていて私がいない事にも気づかないかもしれない。
時刻は深夜2時。父には何も言わずに病室を出て知り合いのタクシーの運転手さんに来てもらい泣きながら家に帰り1週間ぶりに連続睡眠を取りました。
あの時、号泣している私を乗せ何も聞かずに家まで送り届けてくれた運転手さんには心から感謝してます。
家の前に着くとお金も後日で良いから早く家に入って寝なさいって言ってくれた。
何も言ってないけどわかってくれてたのかも知れないな。

起きると気分はスッキリしていて涙はもう出ない。
父のもとへ早く戻ろうって思えるほどに回復。

朝9時頃には父の病室へ戻りました。
声をかけると父が一言「ごめんな」って言ってそれから甘えん坊の父はどこにもいなくなっていた。　元気だった頃の凛とした中に優しさのある父に戻っていて二度と私に氷は頼まなかった。

それから3日後に父は亡くなりました。
最後は「ありがとう」と笑って息を引きとりました。

私はなぜあと3日我慢できなかったのか。
最後まで父に甘えさせてあげられなかったのかと後悔が押し寄せ自分を責めました。

彼やお世話になった住職からは限界だったしそれで体調や精神バランスを崩すより休んでよかった。
なにより父も父親らしく最後を迎えられたのは幸せだったよと言ってもらえて頭ではそう思うようにしてきた。

何年経っても父の話をする時は涙が溢れて後悔が押し寄せる。
私は自分を責め続けてました。

それが最近、覚醒を経験し心の状態が変わってから父の話をする機会があった。

やっぱり涙は出たけど、今までみたいな後悔の涙とは違う。
ひとしきり泣いたあと、
「あの時はあれが最善だった。よく頑張った」
心からそう思えた時、自分の中の黒いモヤみたいなものが抜けていくのを感じた。

そのあと凄く怠さを感じたけど心は軽くなりあの時の後悔を浄化できたんだと感じました。

浄化してくれたのは旦那さんでした。私よりずっとずっとパワーが強く私の後悔を全て取り去ってくれました。

後悔が一つも無くなった今。父も喜んでくれていると感じます。
父が肉体を持っていたときよりずっと近くに感じ、いつも父の愛を感じます。

最後まで読んでいただき感謝します。

こんな個人的な話でも誰かの何かの役に立つことがあるといいなと思います。